シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 46
今や当たりまえの有料波情報。毎月たった数百円で、全国の波情報がしかもリアルタイムで分かるというのは本当に便利だ。サーファーに広く普及したこの波情報だけれど、誰もが有効にその情報を活用しているかっていうと…そうでもない。
どこどこのポイントが40点だから行ってみよう。そんな使い方しかしていない?もっともっと有効に使って、シークレットポイントや明日の波まで予想しちゃうという裏技を紹介しよう。
シンクロするポイントを探せ!
波情報は『波』を点数で評価している。30~40点だとまずまず練習にはなる波。波が良くなってくると50点なんかが出たりして「おっ」と注目してしまう。出そうで出ないのが60点以上、もしそれが出たら仕事をほっぽりだしても海に行く価値あり!?と言いたくなるほどの点数だ。
さて、波の点数はランキング形式で見ることもできるから、どこが一番かはすぐに分かる。しかし同じ評価点数がずらりと並ぶこともある。そうなるとどのサーフポイントに行けば良いかが分からない。
とにかくランキングトップのところへ、と思いがちだけれど、それはどうだろうか?『そのランキングを見て同じことを考えているサーファーはたくさんいるはず』。波情報によって1つのポイントにサーファーが集中してしまうという混雑は、いまや日常よく起きることだ。
混雑しているよりは、空いているポイントの方が良いに決まっている。空いていて、そこそこ波の良いところがあればなぁと思うけど、どこに行っていいかわからないと思う人は多い。そんなときに『シンクロするサーフポイント』で波を予想すれば、良い波をゲットする確率が増す。
シンクロするポイントとポイントを結ぶ
シンクロするポイントとは、簡単に言えばウネリと風の向きが同じポイントのことだ。サーフポイントはそれぞれにベストコンデションを構成するウネリ、風そして潮がある。それらが同じ、つまり点数の高いポイントとシンクロする別のポイントを探すと、評価点数が低くても良い波をゲットする確率が上がる。
例えば、遠州灘のポイント、ロコ、舞阪メイン、豊浜はシンクロしているビーチブレイクだ。そのどれもジェッティ(テトラ)がブラインドとなり西寄りの風でオフショアとなる。ウネリの向きは東西南とどの方角からでもヒットする。だからロコが60点だけど、他が低い点数というときなどでもシンクロしているから、まずまずのコンデションだろうという推理が働く。
評価点数が違うのはなぜ?
シンクロしているポイントなのに点数が違う理由はいくつかある。まずは潮だ。風とウネリが同じでも、地形の違いで、満潮で波が良いポイントと、潮が引いたときに良くなるポイントとがあるからだ。
さらに、波情報のスタッフがチェックしたときに波がブレイクせず、評価が低くなった。ということも考えられる。さらに海にいたサーファーが上級者で、しょぼい波をメイクしそれを目撃すれば評価はどうしても上がってしまう。その逆もありうる。
エリアが離れていてもシンクロするポイント
サーフエリアが遠く離れていても、シンクロするポイントがある。例えば千葉の平砂浦だ。ここはなんと湘南とシンクロしている。湘南のイーストサイドと平砂浦は、ウネリも風も方角が同じ、湘南が良いときは平砂浦も波が良いということがよく起きる。そういうときは、たいてい平砂浦のほうが、波が大きい。ということは、湘南でサイズがイマイチというときは、平砂浦がワンサイズアップという可能性がある。
伊豆白浜と新島の羽伏浦もシンクロしている。波のサイズは2倍ほど羽伏浦の方が大きい。じゃあすぐに新島へというのは難しいが、白浜の波がこれからどうなっていくか予想できれば羽伏浦の波も予想できる。その逆もある。
波情報の無いポイントも、シンクロでその波を知ることができる
シークレットと呼ばれるサーフポイントが全国にある。そもそもは、教えたくない秘密の波をそう呼んだのだけれど、今では、誰もが知っているけどSNSなどでは公表してはいけないポイントを指すようになった。つまりみんな知っているシークレット。
そのようなサーフポイントはAクラスの波だけれど、海底がリーフなどで危険なポイントが多い。だからビギナーがトラブルに逢わないように、リアルサーファーたちの暗黙の了解でシークレットとしていることが多い。波情報の運営側も配慮しているというわけだ。
シークレットポイントへは、ビジターは近づかないのが得策だ。けれども、何らかの理由でその波のコンデションを知りたいときには、シンクロする波の情報でその波を知ることができる。
例えば千葉の御宿の波が良いと、そことシンクロするシークレットポイントがある。湘南の鵠沼とシンクロするポイントも…、そこがどこかはここでは残念だが教えられない。いずれ君がサーフィンを良く理解し、上手になれば「なるほどあそこか」ときっと分かるようになる。
波を起こす『低気圧』は西から東へ移動する
波を起こすのは低気圧だ。低気圧はつねに動き続けている。地球の自転が影響しているらしいけれど、ほとんどの低気圧は沖縄の下のほうからやってきて、北海道の北の方へと移動する。ということは、『波』は西から上がりはじめて東へと移っていく。だから、台風シーズンになると、沖縄や九州そして四国などの波情報が全国のサーファーにとっても気になる存在となる。数日後には東日本の地域でも波が上がる可能性があるからだ。
つまり、波を予測するときに、自分の住む地域よりも西方面のサーフポイントは有力な情報源となるわけだ。例えば、湘南のサーファーに大きな意味を持つのが、御前崎や伊豆の波情報だ。とくに御前崎は外洋にダイレクトに接しているためにウネリの反応が早い。御前崎で波が上がれば時間差で湘南でも波が届くと考えていい。また、東伊豆にある各サーフポイントは、接する海の向きが異なるためにうねりの方向を知る上で役に立つ。『低気圧は西からやってきて東へと向かう』日本に住むサーファーはこの大原則は覚えておこう。
(注意:波の発生源や方向はさまざまです。ここでは通年で移動する低気圧をもとに説明いたしました)
まとめ
有料波情報は、いまや欠かせない情報源となった。しかし各ポイントの点数だけをたよりにサーフィンへ出かけるというだけでは芸が無い。ここが良ければ、あそこも良いはず、ここがオンショアの風ならばあそこはオフショアが吹いてフェイスが良いはずと、1つのポイントの情報をシンクロさせて、どこが良くてどこが悪いかと複数のポイントを読めるようになれば、そのうち誰も気づかなかったポイントのシンクロを発見するかもしれない。それもサーフィンの楽しみの1つだ。
(李リョウ)