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『Momentum Generation』がスポーツエミー賞を受賞!

2018年春、モーメンタム世代 26年後の顔としてサンディエゴ出身の写真家、トッド・グラッサーが自身のInstagramにパット・オコーネル、テイラー・スティール、テイラー・ノックス、ケリー・スレーター、ロブ・マチャド、ベンジ・ウェザリー、カラニ・ロブ、シェーン・ドリアン、ロス・ウィリアムスの9名のモノクロ写真をポストしてからじわじわと広がったサーフィンの一時代を築いたヒーローの今と昔。

このヒーローの物語はサッカー界の神様、ブラジルのペレのドキュメンタリー映画を手がけたジェフ&マイケルのジンバリスト兄弟監督によってドキュメンタリー映画『Momentum Generation』として完成。
ニューヨークで開催された「トライベッカ映画祭」で公開され、大きな話題になった。

2018年冬にはLAでプレミア試写会が行われ、当時の彼らの作品の立役者にもなったパンクバンド、オフスプリングがアフターパーティーでライブを披露。
90年代のニュースクール達のなんとも豪華なリユニオンパーティーになった。

今度はその『Momentum Generation』が、40回目を迎えた優れたスポーツ番組に与えられるアメリカのスポーツエミー賞の「Outstanding Long Sports Documentary(ロングスポーツ・ドキュメンタリー)」部門にノミネートされ、見事に受賞というニュースが入ってきた。

★エミー賞とはテレビに関する賞で映画におけるアカデミー賞、音楽におけるグラミー賞に相当する

『Momentum Generation』は1990年代初めにモダンサーフィンの原型を作った才能溢れるカリスマサーファーとそれを撮影して魅力的な作品に仕上げた友人のテイラー・スティールの思いがけない成功を描いたドキュメンタリーだ。

このプロジェクトのアイディアが生まれたのは、6年前にモーメンタム世代のメンバーが再会したメンタワイでのサーフトリップまで遡る。
このトリップの後、ロブ・マチャドの長年のマネージャーが歴史的な意味を持つ彼らの素晴らしい映像の可能性に気付き、ドキュメンタリーを製作するインスピレーションになったと言う。

2012年のメンタワイトリップで再会したモーメンタム世代のメンバー
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1989年/1990年の冬、サンディエゴの自宅からオアフ島・ノースショアに撮影に向かったテイラー・スティールはパイプラインの前にあったベンジ・ウェザリーの家の前にバンを止めて寝泊まりをしていた。
二人は友人となり、ベンジは家に遊びに来ていたケリー・スレーター、ロブ・マチャドを紹介した。
そこから輪が広がり、1991年には最初の作品『Momentum』をリリース。
ケリー、ロブ、シェーン・ドリアン、ロス・ウィリアムス、トッド・チェイサーなどを主に撮影し、サーフィンの他に舞台裏も公開。
まだDVDさえも無いVHSの時代だ。

「私たちの生活の中で物事が進み、自然に変化していった時間だった。本当に興奮したね。私たち全員がベンジの家にいて一緒に成長していったのが注目すべきポイントさ」
サンタモニカのプレミア試写会でのケリーのコメント

ベンジ・ウェザリーの家から始まった絆による彼らの作品は2作目の『Momentum 2』で大ブレイク。
もちろん、それは彼らが世界中のサーファーを魅了する才能を持っていたからだろう。

アラフォー、アラフィフの方はVHSのテープが擦り切れるまでヘビーローテションで見ていたのでは?

当時、モーメンタム世代は「ニュースクール」とも呼ばれていた。

彼らの活躍の場はサーフムービーの世界だけでは無く、ワールドツアーでもマーティン・ポッター、トム・キャロル、トム・カレンなど80年代のサーフィン界の象徴を追いやった。
スピード、リップでのフィンを抜くパフォーマンスなどサーフィンの全てを変えてしまったのだ。

2013年『Pipe Masters』のファイナルでジョン・ジョンを倒したケリー
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コンテストで優勝して賞金や契約金を稼ぎ、サーフィン界のスターとなった彼らだったが、1990年代後半には次の新しい時代が到来。
影に潜んでいた嫉妬とドラマによって関係性にも変化が出たのだ。

1997年、ノースショア・アリゲーターロックスで亡くなったトッド・チェイサーの話がこのドキュメンタリーのクライマックスになる。
サーフィン界のトップに立ったという成功話だけではなく、その後に起こったことや、解散、約20年後にどのように再会したのかまで語っている。

「この30年間、伝えたいことは沢山あるよ。でも、ディレクターとして彼らにインタビューを行い、その断片をまとめて物語を作ろうとしたんだ。今までカメラを持っていた自分が逆にカメラの前に立つのは難しかった。あの時に起きたことを正直にマイクの前で話すのは緊張したよ。それが世に出ることによって何が起こるか想像もつかなかったしね」
テイラー・スティール

プレミア試写会で初めてレッドカーペットを歩いた彼らは一様に緊張していた。
それは完成した作品がどのようなものになるか不安だったからと話している。
しかし、その作品は多くの人に深い感銘を与え、2019年の春、見事にスポーツエミー賞を受賞した。

参考記事
Momentum Generation Wins Emmy

 

 

 
 

 
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Very cool.. Congrats @momentumgeneration for the Emmy. Special thanks to these two. @taylorsteele creating the Momentum and @justinechiara for the passion to get the story told. @zimbalistbros stoked. Well deserved. 👏

Pat O’Connellさん(@patchy_o)がシェアした投稿 –

(黒本人志)

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