シリーズ「おいらはサーファーの味方」No.31
新しいサーフボードデザイン「エッジボード」はサーフィンの世界に新風を起こすだろうか!?
マニアックなサーファーならば、もうご存知とは思うけれど、アンドリュー・キッドマンとエリス・エリクソンが、今月オーストラリアより来日し、彼らが開発を進めているエッジボードの映画を日本各地で上映します。
彼らが進めているエッジボードのプロジェクト『One The Edge of a Dream』は、ジョージ・グリーノが考案したダブルハルのコンセプトを、さらに推し進めているものです。アンドリューとエリスはこのサーフボードの開発に合わせて映画を製作し、その上映を来日に合わせて行うのが今回の目的です。
さて、そのエッジボードとは何か?ということで、予備知識となるように、わかりやすく説明させていただきます。
結論を先にいうと『水の抵抗を減らして加速性能を高める』のがこのエッジボードの目指すところと言ってもいいでしょう。水の抵抗を減らすために、サーフボードのボトム面が、ダブルハルになっているのがエッジボードの特徴です。一般のサーフボードはモノハルといい、ボトム面が一つしかありません。
パドル中も、波に乗ってからも、モノハルのサーフボードは一つのボトムでサーフィンをします。しかしエッジボードはダブルハルですからボトムが二段になっていて、パドル中のハルと、波にテイクオフ(プレーニング)してから水の接するハルのエリアが変化します。そのことによって水の接する面積が減少するので摩擦抵抗が減ります。(注:ダブルハルという言葉は双頭船(カタマラン)を指す場合もあります)
このダブルハルはモーターボートで広く活用されています。モーターボートは低速のときと、高速で滑走するときとでは、滑走面が変化するようにデザインされています。高速になると船がプレーニングを起こすからです。水面を連続でスキップしている状態をプレーニングと呼びます。サーフィンではテイクオフしてサーフボードが波のフェイスを滑っている状態がプレーニングです。正確にはハイドロプレーニングと呼びます。自動車のタイヤでハイドロプレーニングというのを聞いたことがあると思いますが、まさしく同じ現象です。
ジョージ・グリーノは、このアイデアを60年代に考案し、彼のニーボードに採用していました。近年になってウィンドサーフィン用のエッジボードを製作、その有効性をさらに推し進めるためにサーフィン用のエッジボードも製作。そのボードをデイブ・ラスタビッチがタバルアで使用しました。その後、アンドリュー・キッドマンとエリス・エリクソンが関わり「On The Edge of Dream」のプロジェクトがスタートしました。
サーフボードのデザインという角度からこのプロジェクトを考えると、将来このエッジボードはサーフボードの性能を、飛躍的に向上させる可能性を秘めています。もしかすると、将来このエッジボード、いわゆるダブルハルがサーフボードのスタンダードになるかもしれません。ですから今回の彼らの来日は、サーフィンの歴史においても、また日本のサーファーにとっても記念すべき出来事になるかもしれないのです。上映会のスケジュールは下記をご覧ください。
(李リョウ)