12月12日、2024年パリ五輪の大会組織委員会は、サーフィン競技の会場にフランス領ポリネシア・タヒチ島を選んだことを発表した。先月末、AFP通信がタヒチになる可能性が濃厚と報じていたが、この度組織委が正式に発表。2020年初旬に、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を経て実施確定となる。
これを受けて、国際サーフィン連盟(ISA)とワールド・サーフ・リーグ(WSL)が声明を発表した。
「チョープーは世界最高の舞台を用意してくれる」-ISA フェルナンド・アギーレ会長
「素晴らしいリーダーシップのあるパリ2024組織委員会と協力しながら、パリ2024五輪のサーフィン競技開催地を選定できたことをとても嬉しく思います。私たちは5つの候補地に敬意を表します。どの候補地も優れたサーフポイントでしたが、タヒチは選手やこのスポーツにとって最高のコンディションを用意してくれるという点において突出していました。」
「私たちにとって、タヒチはサーフィン本来の姿を見せてくれ、またサーフィンのユニークな文化とライフスタイルを祝うというISAのミッションを体現してくれる場所です。同時に、私たちのサーフィンはポリネシアから始まったことやその長い歴史と遺産を思い出させてくれます。」
「究極的には私たちの仕事は選手とサーフィンそのものに対するものであり、チョープーが世界最高のサーファーを輝かせるための素晴らしい舞台を提供してくれるのは間違いありません。アスリート委員会はこの選択に対して全面的にサポートしましたが、それも驚くことではありませんでした。」
「2020年東京五輪での成功とレガシーを基に、タヒチで素晴らしいオリンピックが開催でき、そして世界をインスパイアし、世界の舞台でサーフィンのユニークな価値と文化を祝い続けることができると確信しています。」
「長年CT開催地だったチョープーが選ばれてうれしい」-WSL ソフィ・ゴールドシュミッドCEO
「WSLは、長年WSLチャンピオンシップツアーの開催地であったタヒチ・チョープーが、2024年のパリ五輪サーフィン競技会場として選ばれたことを嬉しく思います。」
「オリンピックは、サーフィンを新しい観客に届けるための素晴らしい舞台であり、またサーファーにとっても自国を代表するためのまたとない機会です。オリンピックで素晴らしい成功を収めるために、私たちはISA、IOC、東京2020、そしてパリ2024組織委と協力し続けることを楽しみにしています。」
タヒチの選定理由
IOCは通常、複数の候補地がある場合は開催都市に最も近い場所を選ぶ傾向があるというが、今回本国から約1万5000キロ離れており、フライトには23時間も要するタヒチが選ばれた。
タヒチの他には、フランス本土南西部にあり、世界選手権も複数回開催されたビアリッツ、過去にCTの会場にもなっていたラカナウ、北西部のラ・トルシュなどが候補地として挙げられていた。
各種報道によれば、夏にほぼ確実にサーフィンに適した波が期待できること、競技環境や五輪期間前半の実施で選手が閉会式に参加可能であること、フランス領を含む連帯感の醸成などを理由からタヒチが選定されたという。
とはいえ、チョープーの底掘れするレフトのバレルは“世界で最も危険な波の一つ”と言われ、チャンピオンシップツアー(CT)にヘルメットを被って出場する選手がいたり、ケガを負う選手も珍しくなく、その波の脅威から女子のCTは開催されない。
CT以上に様々な国の選手が参加すると予想される五輪で、チョープーを採用したことについては様々な物議も呼んでいるが、AFP通信によれば、「大会組織委員会は、慎重にスケジュールを組むなどして、女子のサーフィン開催に向けての問題点を回避する」そうだ。
(THE SURF NEWS編集部)