Photo: WSL

【サーフィン世界ランキング】WSLチャンピオンシップツアー(CT)のランキング形式や大会ルールを解説

(2018/8/9更新)

世界最高峰のサーフィンレースであるWSLのチャンピオンシップツアー(通称CT)。年間全11戦のうち、例年開幕戦はオーストラリア・ゴールドコースト、最終戦はハワイ・パイプラインで行われる。

今年はミック・ファニングの引退ジョエル・パーキンソンの引退表明五十嵐カノアの日本人登録、ケリー・スレーターのウェイブプール「サーフ・ランチ」、バリ島のクラマス、ウィメンズにJ-Bayが加わるなどスケジュールの大幅な変更もあり、更にCT選手によるリージョナル対抗戦『Founders’Cup of Surfing』の開催など話題が豊富だ。

2018年も残り5戦。WSLのCTにおけるランキングの決め方のほか、ヒート形式や採点方法などの試合ルールも改めて解説。

複雑なルールはないが、知っておくと面白さが倍増する点がいくつかある。

2018年CT第6戦『Corona Open J-Bay』の優勝者フィリッペ・トレド(BRA)

世界ランキングは年間上位9試合の合計ポイントで決まる

各試合の優勝は10,000ポイント。それ以下の順位は、今年からポイント数が変更になり、2位は8,000→7,800ポイント、3位は6,500→6,085ポイントに変わった。
全11戦の上位9戦のポイントが加算され、年間ランキングが決まる。

WSL公式サイトでは、CT選手のランキング・獲得ポイント・獲得賞金などが、試合毎に更新掲載されている。
≫最新世界ランキングは「WSL公式サイト」でチェック

2018年のメンズCT第6戦『Corona Open J-Bay』終了時点では、フィリッペ・トレドが35,900ポイントを獲得して暫定1位。日本人として唯一CTに参加している五十嵐カノアは暫定17位。

2018年8月5日時点の世界ランキング。

チャンピオンシップツアー参加人数

メンズCTに参加している選手は34名。
昨年のCT最終ランキング上位22名と、セカンドリーグとなるクオリファイングシリーズ(通称QS)のトップ10名から構成される。
これに加え、怪我やWSLが考慮した合計2名がWSLワイルドカードとして年間を通して参加出来る。
更にイベント毎のワイルドカード2名を追加して、合計36名で争われる。

ウィメンズCTは17名。
昨年のCT最終ランキング上位10名、QSのトップ6名から成る。
WSLワイルドカードは1名。
イベントワイルドカードの1名を追加して、計18名で争われる。

試合形式

⇒2019年の試合フォーマットはこちら

CTはR1からファイナルまでのトーナメント形式で進行。

R1は3人ヒートで、1位がR3に進み、2位と3位は敗者復活戦のR2に進む。
R2が唯一の敗者復活戦となり、以降のヒートは敗退すると終了。

R3は2人ヒートで、勝者はR4へ。
2017年まではR4の後に敗者復活戦(R5)が用意されていたが、2018年からはカット。(ウィメンズのR4もカットされた。)
R4の1位と2位がQFに進み、3位は終了となった。
QF、SF、ファイナルはそれぞれ2人ヒートで争われる。

また、2018年から、パイプラインのアーリーラウンドで採用されている2つのヒートを同時に行うデュアルフォーマット(オーバーラッピングヒート)が、ゴールドコースト、ベルズビーチ、J-bay、フランスで使用されることになった。
これにより、イベントの時間短縮が見込まれる。

【図解】2019年WSLチャンピオンシップツアーの試合形式が変更。

採点方法(ジャッジングとスコア)

各ヒートのジャッジは5人。
1本のライディングは0.1〜10の幅でスコアを出し、5人の中の最高と最低のスコアが外され、残りの3人のスコアの平均が使用される。
選手が乗る波の数に制限はないが、2本のベストスコアの合計(最高20)で勝負が決まる。

ジャッジの判定基準、スコアリング・クライテリアは以下の通り。

・コミットメントと難易度
・革新的で進歩的なマニューバー
・メジャーマニューバーのコンビネーション
・マニューバーの種類
・スピード、パワー、フロー

つまり、どんなにアクションの数が多くても単調で面白みが無ければスコアは出ないし、逆に一つのマニューバーでもスピード、パワー、フローが揃い、革新的であればハイスコアが出る。
これは選手側だけではなく、プロスポーツとして観客の視点も意識した基準と言える。

プライオリティ

各ヒートにはプライオリティ、優先権がある。
選手Aと選手Bが戦っているヒートで選手Aが波に乗ると自動的にプライオリティは選手Bに移る。
邪魔にならない限り、選手Aがプライオリティを持っていても選手Bは波に乗ることが出来る。
例え波に乗らなくても、波に乗るようにパドルをしたり、波を逃した場合でもプライオリティを失う。

ヒート開始にはプライオリティが無く、最初にピーク優先、テイクオフゾーンにいた選手がプライオリティを得ることになる。

CTではこのプライオリティの使い方が勝負の重要な鍵となることが多く、スコアを出されたくない場合はプライオリティを持っている選手が強引にドロップインして阻止するケースもある。
最近では2017年の『Billabong Pipe Masters』、R5でガブリエル・メディナがケリー・スレーターに対して行った行為が大きな話題になっていた。
(ケリー・スレーターはジョエル・パーキンソンに対して更に危険なドロップインをした経験がある)

PHOTO:© WSL/Heff

インターフェア

プライオリティを持つ選手を妨げた場合、インターフェアというペナルティを課せられる。
インターフェアを犯した選手はベストスコアの2本目が奪われる。

2017年のインターフェアで印象的だったのは、フィジー戦と『Vans US Open of Surfing』
非常に重要な場面でフィリッペ・トレドが五十嵐カノアに対して2度もインターフェアを犯している。

COVER PHOTO:© WSL/Morris

ヒートリスタート

ヒート開始後10分間、選手が一本も波に乗らない場合、ヘッドジャッジの判断でヒートは最初から再開される。

なお、WSLでは他プロスポーツ組織同様にドーピング検査が行われる。

WSL公式サイト

(空海)

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