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和井田理央 アジア・リージョナルチャンピオンへの軌跡

今年からQSのリージョナル区分に変更があり、昨年までオセアニアに含まれていたアジアが独立。
日本、中国、台湾、インドネシア、フィリピン、スリランカ、モルジブ、インドの選手でリージョナルのランキングが争われ、チャンピオンには来シーズン前半のQS10,000、6000のシード権が与えられる。
QSからCTへのクオリファイは実質この二つのグレードでのポイントが主になるため、CTを目指す選手にとってリージョナルチャンピオンになることは大きなチャンス。

記念すべき初のアジア・リージョナルチャンピオンはインドネシアの和井田理央が獲得。
今回はその軌跡をたどってみる。

■プロフィール
和井田理央(わいだ りお)
17歳。
母が日本人、父がインドネシア人。
日本で生まれ、8歳の時にバリ島に移住して国籍はインドネシア。
バリ島でサーフィンを始め、『Ripcurl grom seach』での優勝を始め、グロム時代から数々のタイトルを獲得。
Quiksilver主催、18歳以下の世界最強サーファーを決定するオン&オフラインコンテスト『YOUNG GUNS SURF』でも優勝経験あり。
QSは2015年から参戦とまだ2年目だが、早くも才能を開花させる。
弟の龍貴(りゅうき)もすでにローカルコンテストで上位に入るなど活躍している。

ローグレードとは思えないハイレベルな『Komune Bali Pro』で2位 PHOTO:© WSL/Hain

■オーストラリアレッグからバリ島へ
シーズン前半のオーストラリアレッグ、ジュニアではニューキャッスルで2位、アヴォカビーチでは5位とまずまず。
しかし、QSの出だしは決して良く無かった。
オーストラリアのQSと一転してホームのインドネシアに帰ってからは「水を得た魚」のように次々と好成績を重ねる。
まず、4月にバリ島・クラマスで開催されたJPSA開幕戦では2年連続でファイナル進出の2位。
すぐに同じクラマスのQS1,000『Komune Bali Pro』に出場。
ローグレードながらスポンサーの関係などでタジ・バロウ、エイドリアーノ・デ・ソウザ、シーバスことセバスチャン・ズィーツなどCT選手が参加したハイレベルなイベントで快進撃を続け、SFではシーバスとのクロスゲームを制してファイナル進出、堂々の2位に入る。

フリーサーフィンでは歴史に残るようなスウェルがヒットした6月のメンタワイでタジ・バロウ、深川達哉などと共に映像を残す。
彼の一番の強みはこのバレルのスキルの高さだろう。

『Hello Pacitan Pro』ではバレル勝負を制した PHOTO:© WSL/Hain

■日本からインドネシア そしてスペシャルイベントへの招待
暑い夏に来日、湘南でのQS1,500『Murasaki Shonan Open』に出場。
夏の湘南らしい風波に苦戦しながらも9位に入り、手堅くポイントを重ねる。
そして、イーストジャワで開催されたQS1,000『Hello Pacitan Pro』でQS初優勝を果たし、この時点で西慶司郎を抜いてカレントリーダーの座を手に入れた。
このイーストジャワのイベントは昨年ASC(アジアン・サーフィン・チャンピオンシップツアー)として開催され、2位に入っていた。
彼にとって相性の良い場所でもある。

今夏は彼のサーファーとしての格を上げるニュースがもう一つ。
パダンパダンの招待制スペシャルイベント『Rip Curl Cup Padang Padang』にスポンサーワイルドカードとして選ばれる。
条件に満たずイベントは見送りになったが、インドネシアを代表する素晴らしいサーファー達と肩を並べた。

海南島でも表彰台に上がる PHOTO:© WSL/Hain

■アジアレッグからリージョナルチャンピオン
シーズン終盤、中国の海南島、台湾の台東と続いたQSのアジアレッグ。

バリ島ではほとんど無いようなスモール&バンピーのビーチブレイクでの戦いになった海南島、風が入りながらも十分なコンディションに恵まれた台東を共にSF進出の3位でフィニッシュ。
また、10月に国府ノ浜で開催されたジュニアイベントでもスモール勝負で3位。
オーストラリア、インドネシアとは違う種類の波でも安定した強さでオールラウンドのコンペティターぶりを示した。

国府ノ浜の後はASC(アジアン・サーフィン・チャンピオンシップツアー)のイベントに参加するためにメンタワイの北側にあるシメルー島に飛び、ここでも3位。
シーズン後半は他にもフィリピンのCloud 9でQS(17位)に参加するなど多くの経験を積んでいた。

2位の西慶司郎に大差をつけてアジア・リージョナルチャンピオンに輝いた和井田理央。
2018年の前半はQS10,000、6000に出場することになる。
彼の戦いはこれからが本番だ。

幼少の頃から熱心に更新している母親のブログもグレードアップすることだろう。

「WAIDA Brothers」

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