建設予定地の2018年7月時点の様子

千葉・木更津「サーフランチ東京」人工波サーフィン施設建設計画の現在。

(2018/10/18公開:遂に開発許可。千葉・木更津のウェーブプールが2020年3月末に完成予定

まもなく品川大井町に誕生するcitywave Tokyo。都市型・コンパクト・一般向けの「citywave」オープンを目前に控え、国内のウェーブプール事情はますます盛り上がりを見せている。

そんな「シティウェーブ」とは対照的とも言える、郊外型・大規模・プロ向けのウェーブプールがケリースレーターによって開発された「サーフランチ」だ。

この人工サーフィン施設の木更津市内での建設計画を、毎日新聞が1ヶ月ほど前に報じたことは記憶に新しいだろう。その報道は、Yahooニュースのヘッドラインへ掲載され、その後各種サーフィンメディアもこのニュースをこぞって取り上げた。

当THE SURF NEWSでは、その時点で既に建設予定地の特定、用地買収が完了していること、開発許可がまだ下りていないことなどを押さえていたものの、Kelly Slater Wave Companyの親会社であるWSL(ワールドサーフリーグ)への事前確認作業を行っていた。

現時点までに、当THE SURF NEWSが独自取材を通じて得た情報をお伝えする。

建設予定内容

建設地は、木更津北ICのすぐ近くの木更津市笹子地区。

2018年9月着工、2019年12月完成。2020年1~3月開業予定。

木更津市によると、先月末の取材時点でも、都市計画法第29条に基づいた開発許可が下りておらず、まだ事前協議段階とのこと。木更津市での事前協議は今年冬頃から進められており、通常より時間がかかっている模様。

事前協議完了後は、開発申請~許可まで通常3週間~1ヶ月程度とのことだが、開発の規模によりそれ以上かかる可能性もあるという。

なお、袖ヶ浦市でも同様の申請を行っており、千葉県にも一部申請を行っていることが確認できている。

住民説明会

6月24日、東清公民館にて木更津市笹子地区在住の住民を対象に、説明会が行われた。

住民説明会の行われた木更津市内の東清公民館

参加者によると、「特に建設反対の声は出なかった。滝の口エリアでは、渋滞に関する懸念が出ているらしい。」という。

また、別の参加者によると、「このあたりの農家では40~100メートルの井戸を引いて農作業をしている。ウェーブプールも地下水を利用するとのことで、地下水の汚染・枯渇などの問題が本当に出ないのか。」と心配する声もある。

木更津市笹子地区住民に配布された住民説明会の案内書面

またKelly Slater Wave Co Japanは既に用地買収を終え、現在は土地の掘削が始まっている状態であり、現時点から計画倒れする可能性は低いとのこと。

さらに同社は、周辺に飲食店や商業施設を建設する予定はないものの、今後第三者が建設する可能性はなくはないと話した。

なお、今後の住民説明会の開催は予定されていないという。

ウェーブプール施設について

Kelly Slater Wave Co Japanによると、現時点では「WSLハイパフォーマンスセンター」と称して、プロ向けのトレーニング施設を予定しているとのこと。

駐車場が5000台分併設される予定だが、施設の一般公開については、可能性は十分あるものの現在は検討中だという。

今後の工事の進捗状況については、開設検討中のWebサイトにて公表していく可能性もあるようだ。

現在の入口ゲート。単なる鉄門でも「Surf Ranch」を連想させる。

カリフォルニアLeemoreの「Surf Ranch」にて。 PHOTO: © THE SURF NEWS / Steve Sherman

オリンピック会場の可能性

7月20日、大手波情報サイトMagicseaweedは、同月上旬に行ったWSLのCEOソフィー・ゴールドシュミッド氏へチャットインタビューの内容を公開。

オリンピック会場の可能性について「ウェーブプールはまだ建設もテストもされていないため、IOCが海を会場に選択したことは理解できます。現時点では不確定要素が多く道のりは長いですが、もし順調に建設されたら、練習場所やショーケースの場所として、ひいてはオリンピック自体の会場として、IOCが検討することを望みます。」と回答。オリンピックまで2年を切った段階でも、まだ諦めていないようだ。

一方、自治体における事前協議は、前述の通りかなり長引いている様子で、今月中に開発申請に進まなければ9月着工も怪しくなるだろう。業界内では、建設の進行状況とプレオリンピックやチケット販売などのスケジュールを鑑みると、「現時点からの会場変更は難しいのでは」との見方も強まっている。

また、2020年に向け国内の建設需要が高まる中で、建設事業費の確保に苦戦しているのではと懸念する声もある。

果たして「ウェーブプールとオリンピックを巡る戦い」はどのような結末を迎えるのだろうか。当THE SURF NEWS編集部では、国内のウェーブプール事情についても引き続き調査・取材を行っていきます。

(THE SURF NEWS編集部)

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