ショートボードはこう考える
さてショートボードをバイクで例えると125ccくらいのパワフルな2サイクルモトクロッサーだろうか。
ギャップや坂道、タイトなコーナーでも軽量で小さな車体とパワフルなエンジンでどんどん走破(そうは)してしまうそんな感じだ。もちろんジャンプ(エアー)だってできる。
ただしこんなバイクを乗りこなすには、熱しやすく冷めやすい2ストロークのエンジンをコントロールできるテクニックが必要。
ショートボードもそれと同じで小さくセンシティブなサーフボードをうまくコントロールできるかどうかが重要になる。それだけでなくバイクと違ってショートボードは、パドルとテイクオフの技術が重要だ。ここを疎(おろそ)かにしているとショートボードのサーフィンはなかなか上達しない。
ショートボードの乗り方
ショートボードはロングボードのようにボードが加速してくれるのを待つのではなく、サーファーのボディムーブメントによってサーフボードを加速させる。さらにショートボードのサーフィンの基本はターンの連続。そのためにショートボードの多くはトライフィンが多い。
その理由は3枚のフィンがターンをすると相互作用でサーフボードの回転を助け、かつ前方に押し出す効果があるからだ。これはスケートボードのスラロームで加速するのに似ている。
つまり正しくターンをすれば波のパワーが足りなくても加速することが可能だ。ショートボードのサーフィンはターンでしっかりした加速ができるかできないかがキーポイントとなる。ちなみにターンはカービングともいう。
※相互作用:おたがいが影響を及ぼし合うこと。
ショートボードの基本を学ぶには元世界チャンピオンのトム・カレンのビデオを見るのが良い。ケリー・スレーターやロブ・マチャドそしてデイブ・ラスタビッチ等もトムのビデオをくり返し見て研究した。
速く、正確、シンプル、スムースそしてスタリッシュとショートボードのサーフィンに必要な要素をすべて満たしているのがトム・カレンのサーフィンだと言われている。(映像:28Media)
番外編とまとめ
ロングとショート以外にもパフォーマンスタイプのロングボードやミッドレングスなどさまざまなカテゴリーのサーフボードがある。それらは全てロングとショートボードの中間に位置するハイブリッド。それぞれの特徴を生かしてクロスオーバーされている。これらのジャンルに入るサーフボードはロングとショートの利点を生かしているためにユーザーフレンドリーであるものが多い。例えばパフォーマンスロングボードはテイクオフが早くかつショートボードのようなターンを可能にしている。
クラシック・ロングボーディングはカリフォルニアで育った。ノーズライディングも同時に生まれて、それらはまるでクラシックバレエのように一つの定型となった。テイクオフからフィニッシュまで最小限のテクニックで波を乗り切るこのスタイルは引き算のサーフィンともいえる。
ショートボードのサーフィンはオーストラリアで生まれ、その有効性がハワイのビッグウェーブでも証明されて、サーフィンの本流となった。サーフボードが短くなったことによって波のフェイスでの自由度が高まり、ターンがショートボードの重要なテクニックとなった。同時にチューブライディングも可能になり、一本の波でどれだけテクニックを駆使するかがショーボードサーフィンの核心となった。つまり足し算のサーフィンといえる。
(李リョウ)