7月18日から21日まで、五輪サーフィン会場である千葉県一宮町の釣ヶ崎海岸(通称志田下)で開催されている五輪テストイベント。
大会運営や会場設備の確認などを主目的に実施され、組織委スタッフ120名、ボランティア80名のほか、県警や銚子海上保安部も参加した。
今回の具体的な実施項目としては、競技エリアの確定、試合の順延や中止があった際の判断や関係各所への連絡プロセスの確認、セキュリティの確認、医療の連携確認を行ったという。
報道陣に公開されているのは初日と最終日のみだが、初日の組織委員会からの説明で明らかになった点をいくつか紹介する。
ヒート時間と“ギャップタイム”
試合フォーマットについては、「ISAとWSLのハイブリット型」が採用される。≫ヒートフォーマット詳細
ヒートの所要時間は、ラウンドごとに異なり、ラウンド1が25分、5人ヒートとなるラウンド2は30分。1人あたりの最大ライディング本数は15本で、ベスト2ウェーブがカウントされる。ヒートとヒートの間は「ギャップタイム」と呼ばれ、今回は5分に設定された。
前のヒート終了後に次ヒートの選手は「プレゼンテーションポイント」と呼ばれる場所に集合。大会初日の時間設定では、ギャップタイムの最初の3分で選手名がコールされた後、ヒート開始の合図が出て、残りの2分でビーチから海に走りパドルアウトする。
通常のプロサーフィンの大会であれば、選手は試合開始前に波打ち際でスタンバイ可能で、前のヒート終了3~5分程前にパドルアウトし、ヒート開始まで海の中で待機していることが殆ど。
初日は、ビーチ上の「プレゼンテーションポイント」から、自分が狙うポジションまでゲッティングアウト(沖に出る)する時間が2分しかなく、間に合わない場合はヒート時間が削られてしまうため、選手たちはビーチを駆け抜ける。
特に女子選手からは、ビーチダッシュで体力を消耗してしまう点や、波のコンディションによってパドルアウトに時間がかかる場合や、狙うポジションがプレゼンテーションポイントから離れている場合に、ヒート時間を十分に使えないなどの懸念点が上がった。
通常のプロサーフィンの試合では加味されないビーチダッシュが、競技パフォーマンスに影響してしまう可能性があり、今回のテストイベントの結果、どの程度調整されていくのかが一つの注目ポイントになるだろう。
ジャッジタワー
会場に設置されたジャッジタワーは以下のブースで構成されている。ビーチの観客用と選手用でそれぞれ別のアナウンス、スピーカーが用意された。
上左:スポーツプレゼンテーション(ビーチの観客にアナウンスをする)
上中:ビーチアナウンサー(試合中の選手に向けてアナウンスをする)
上右:ジャッジ席
下左:国際サーフィン連盟用ブース(コンテストディレクターなど)
下右:リザルトシステムブース(上部のジャッジ席からデータが連携される)
競技中断・順延時の対応
サーフィンの大会であれば、波や天気のコンディションによりヒート開始が遅れたり(ON HOLD状態)、レイデイ(OFF)になることは常識だが、五輪という場においてはサーフィンのそういった試合進行はかなり特殊であり、運営上も大きな影響がでる。
テストイベント初日も、濃霧の影響で競技開始が当初予定より1時間遅れになり、組織委の森泰夫大会運営局次長は「気象条件に強く左右される競技とは分かっていたが、改めてその影響の大きさを実感した」とコメント。
「IF(国際サーフィン連盟)のテクニカルディレクターや、スポーツマネージャー、組織委の現場責任者などと連携して、遅延があった際にどんなプロセスで判断~関係各所と連絡をとるかを、このテストイベントでしっかり確認していきたい」と説明した。
遅延や日程変更の観客に向けた案内は、オンラインでのアナウンスも含めて、これから協議するとのこと。
競技エリアと安全確保
両サイドに設置されたブイの内側が競技エリア(FOP:Field Of Play)となる。
その内側に待機しているウォータージェットは選手救護用、外側は警備用となり、緊急時のメディカルチームとの連携方法などを確認した。
(THE SURF NEWS編集部)