『ヒュー!日向』プロジェクトで、サーフィン目的の訪問客数144%増。サーフタウン構想の先駆者・宮崎県日向市の取り組み。

宮崎県日向市が2016年12月から展開しているサーフタウン構想『リラックス・サーフタウン日向』プロジェクト。“ヒュー!日向”のポップなキャッチフレーズ、Jonas Claessonのアーティスティックなビジュアル、公開する度に話題を呼ぶPR動画▼など、サーフィン業界外からも日向市の取り組みは注目を集めている。

日向市は、この『リラックス・サーフタウン日向』プロジェクトの成果検証結果を公開しており、サーフィンを目的とした訪問者数が30万人を超えるなど、プロジェクト立ち上げ当初の目標値を大きく上回る成果をあげていることが分かった。

2017年には「ISA世界ジュニアサーフィン選手権」も開催され、年々注目度の高まる日向市のサーフタウン構想の効果とは。


『リラックス・サーフタウン日向』とは

宮崎県日向市では、人口減少対策として「元気な“日向市”未来創造戦略(日向市総合戦略)」を策定。そのなかの「豊かな自然を生かし新たな人を呼び込む未来創造戦略」の一環として、2016年12月より『リラックス・サーフタウン日向』プロジェクトを始動させた。

全国でも有数のサーフスポットがある日向市に、新しい人を呼び込むことで地域活性化を目指しているほか、サーフィンをしながら働きたい、学びたいという方に情報提供や相談体制・サポート体制を構築し、定住人口の増加を図ることを目的としている。

将来のサーフタウン日向のイメージ
(出典:「サーフタウン日向基本構想」発表資料)

プロジェクト始動後の実績

■2年間で計99名が県外から移住

これまでに東京・大阪などで移住相談会を計20回開催。その結果、2016年4月~2018年3月の2年間で計99名が県外から日向市へ移住した。

■サーフィン等を目的とした日向市の利用客数は、2014年からの上昇率144%を達成

サーフィン等を目的とした日向市の利用客数について、プロジェクト始動時に掲げた2019年までの数値目標は252,000人。
2017年末時点で301,983人を記録し、その目標を早くも突破し、2014年末時点の209,330人から、144%の上昇結果となった。

■空き家・空き店舗等の利活用数は2年間で45 件

空き家・空き店舗等の利活用数は、2016年は15件、2017年は30件。2019年までの総利活用件数目標25件をすでに上回っている。

■ISA世界ジュニアの経済効果は13.5億円

日向市では、過去にも(旧ASP時代も含め)WSLの世界大会が何度も開催されてきたが、2017年にはお倉ヶ浜海岸を舞台にアジア初となる「ISA世界ジュニアサーフィン選手権」を開催。

世界41ヶ国から約500名の選手や関係者が日向市に約12日間滞在し、延べ約38,200人の観客が集まった。日向市は、これによる経済効果は情報発信も含めると約13.5億円、前述のサーフィン目的の利用客数の拡大にも大幅に寄与したと分析している。

また、この大会を契機に、日向市とアメリカ代表チームは2020年東京オリンピックに向けた強化合宿に関する覚書の締結に至っている。

「2017 ISA世界ジュニアサーフィン選手権」開幕式の様子 PHOTO: ISA / Ben Reed


『ヒュー!日向』のこれまでの取り組み

■公開する度に話題を呼ぶPR動画

『リラックス・サーフタウン日向』プロジェクトでは、これまでに3本のPR動画を公開。そのユーモアと旅情あふれるムービーは、公開するたびにサーファーのみならず世間で大きく注目されている。

第1弾「Net surfer becomes Real surfer」
「サーファーの成長物語に感動!」「日向市でサーフィンがしたくなった!」などの大きな反響を呼び、各局のテレビ番組を始め、数々のメディアで取り上げられた。2016年12月公開。再生回数は 954,573回に及ぶ(2018年10月23日時点)。ACCフィルム部門シルバー、観光映像大賞ファイナリストなどを受賞。

第2弾「ヒュー!日向に移住&結婚おめでとう!サプライズ・ウエディング・パーティー」
第1弾PR動画の撮影中に、制作スタッフの西沢さんが、出演者でもあった地元サーファーの松本さんと恋に落ち、実際に当市へ移住した二人のリアルサイドストーリー。移住者誘致のための動画のはずが制作者みずからが恋をして移住しちゃった!?という意外な展開や、町を挙げてお祝いをする様子に多くの祝福コメントが。2018年ACCフィルム部門のファイナリスト選出作品。

https://www.youtube.com/watch?v=NRIxZZq9694&feature=youtu.be

第3弾「ヒュー!日向でおじさんサーフィンデビュー」
都会で懸命に働きながら 日々の生活に悩みや疑問を抱える“おじさん”3人が、日向に招待されサーフィン特訓!そのほかにも、宮崎のグルメ・温泉・絶景を味わい、ハートフルでリラックスした3日間を過ごす旅ストーリー。2018年10月22日の公開から、わずか10日で29,441再生回数を突破している。

■「ヒュー!日向でサーフィンデビューツアー」企画実施

上記第3弾のPR動画に関連して、3人の“おじさん”が体験した2泊3日のツアーを11月30日(金)~12月2日(日)に実施予定。11月23日(金)まで申し込み可能で、“おじさん”でなくても参加OK。2019年3月には第2回の実施を予定しているという。

ツアー内ではサーフィン体験以外にも、細島港の焼き牡蠣や、日向岬・馬ヶ背・クルスの海観光、海を一望できる温泉などさまざまなアクティビティを用意。フリータイムでは、地元の方と触れ合える昔ながらのスナックを訪れたり、当市の名産物を堪能できるグルメホッピングなども充実。青春時代にタイムスリップしたような2泊3日の旅で、心も体もリラックスできる。

開催日程:2018年11月30日(金)~12月2日(日)2泊3日
申込期間:2018年11月23日(金)まで
人数:20名様まで(最少催行人数は15名様)
参加費:41,500円(宿泊費込み/日向市までの交通費は各自負担)
※年齢・性別関係なくだれでも参加可能
詳細:「ヒュー!日向」公式サイト|ツアー詳細

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■PRサイト公開

2016年12月1日にPRサイトを公開。ポップなキャッチコピー「ヒュー!日向」と、世界的にも人気を高めているサーフアーティストJonas Claessonによる「ヒューくん」のイラストが、サーファーの間でも“オシャレでかわいい”と話題に。2017年にはサイトの英語化もされた。

Jonas Claesson(ジョナス・クレアッソン)は、ウェーデン・ストックホルム出身、シドニー在住のイラストレーターで、オーストラリアと北欧が融合したユニークな世界観を持つ。「GREENROOM FESTIVAL」にもアート部門で参加している話題のサーフアーティスト。

Jonas Claesson

「ヒュー!日向」PRサイト

■移住相談会の実施

定住人口の増加を目的として、日向市をより良く知ってもらうための移住相談会を全国で開催。2018年10月までに東京・大阪などで計20回開催し、延べ333名が参加した。

相談会には、日向市のサーファーや、実際に日向市外から移住した方がゲストスピーカーとして招かれ、トークセッション形式で実施された。

■お倉ヶ浜海岸周辺の環境整備

県と連携し、お倉ヶ浜入口の整備や、眺望スポットの磨き上げ、立木伐採・除根等が行われた。また、お倉ヶ浜にはおしゃれなフォトスポットにもなる「ヒューくんモニュメント」が設置された。

日本では、日向市だけでなく、千葉県一宮町・愛知県田原市・静岡県牧之原市などサーフタウン構想を掲げる都市がいくつかあるが、その中でも先陣を切って様々な取り組みを行い、効果を挙げている日向市。
2020年のオリンピックに向けサーフィンへの注目が集まることは間違いないが、それ以降も見据えたサーフィンを利用しての街づくり・地域活性化の成功事例として、今後の展開にも期待したい。

(THE SURF NEWS編集部)

参考:
日向市公式サイト|「元気な“日向市”未来創造戦略」の成果検証
日向市公式サイト|「サーフタウン日向基本構想」
「ヒュー!日向」PRサイト

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