5月にバリ島・クラマスで開催されたCT第3戦『Corona Bali Protected』で日本人としてCT初優勝を成し遂げた五十嵐カノア、21歳。
次のマーガレットリバー戦では9位に終わったものの、現在のランキングは堂々の4位。
来年のリクオリファイを心配する必要がなくなったどころか、タイトルコンテンダーの一人になっている。
そんなカノアに、WSLが6月20日から開幕するブラジル戦を前にCT初優勝、ルーチン、新しいプロジェクトなど9つの質問。
彼の勝利の方程式とは?
WSL:バリ島での優勝からウェスタンオーストラリアのR1まですぐだったよね。CT初優勝の気分は味わえた?
カノア:正直、今になってゆっくり考えているところさ…。
バリ島とマーガレットリバーの間は僅か3日間しかなかった。その期間を最大限に利用したけど、常にコンテストモードにあったから、優勝を祝うような状況ではなかったね。
でも、ここ数日は友人と一緒に喜ぶ機会が増え、本当に実感してきたよ。
シーズンが始まってまだ2ヶ月、マーガレットリバー戦が終わってから数週間で何をしていたの? ゆっくり休んだ?
マーガレットリバー戦が終わってから、第二の故郷でもあるポルトガルに向かった。
時差ボケを解消するには西へ移動した方が良いから、カリフォルニアに戻るよりここを選んだのさ。
時差を調整して1週間後にブラジルに向かうよ。
自分にとっての休憩とはサーフィンなんだ。
それはサーファーとして当然でもあるよね。
一人でも友人とでも海に入って息抜きするのが一番、全て楽しんでいるよ。
出来る限りサーフィンをしてスマホを電源を切って親友と遊んだ。フェスに行ったのも凄い楽しかったね。全てのスイッチをオフにしてただの21歳として遊びまくったよ(笑)
それも、あの激しい競争から心を入れ替えるためであり、数週間離れることは重要さ。
海に行き、サーフボードや自分のサーフィンのことばかりを考え過ぎるのは良くないね。とは言ってもバリ島での優勝は自分にとって最高のモチベーションだし、今は毎日ブラジルのことを考えている。
つまり、もう次の戦いの準備は出来ているんだ。
長いツアーの間、どれだけルーチンを維持している?食事制限や特別続けている練習はあるの?
自分にとって何かに依存しないことが強みであると思っている。
食事にもこだわらないし、特に熱心にやっているトレーニングもない。
臨機応変にやっているよ。
自分のやりたいことは何でもするし、行きたい場所に行く。
つまり自分が一番快適な環境に身を置くようにしているのさ。
合理的でしょ?
そうだね。ルーチンを持たないようにすることがルーチンなんだね
確かに。ルーチンは特に必要ない。
自分が必要なのはサーフボードと良い会社さ。
開幕戦のスナッパーの2週間前、3月下旬にカリフォルニアの自宅を出発して7月の『US Open』まで約5ヶ月間も帰らず、オーストラリア、バリ、ポルトガル、ブラジル、南アフリカと移動するけど、別に疲れはしないよ。
本気で取り組んでいることだから、他の場所に行く必要があると思わないし、妨げにもならない。
スーツケースに必要な物だけを積めて飛び回ることが嫌になることもないね。
どちらかと言えば、それが自分にとって唯一のルーチンなのかも。
SNSにどのくらい重点を置いている? SNSを楽しんでやっている?
良い質問だね。
フォロワーに自分の本当の姿を見て欲しいからキチンとやっているよ。
私生活とプロサーファーとしての生活をごちゃごちゃに捉えられたくないんだ。多くの人がInstagramを他の管理者に任せているけど、それは自分の目的に反する。
SNSはファンとフォローしている人が自分のことを見るための舞台でもある。
それが利点だよね。
フォロワーと直接関係することも出来るんだ。例え、フォロワーが12人でも1200万人でも同じ投稿をするよ。
SNSは趣味でもあるし、楽しいね。
SNS上の自分も大好きさ。
今年はターナー・カーニー(Red Bullのフォトグラファー)と一緒に旅しているけど、何か一緒に仕事しているの?
彼とは一緒に「Red Bull」のVlogのプロジェクトをやっているんだ。
将来に映像を残せるのはとても良いし、楽しみにしている。このVlogではウェブキャストで見られないような舞台裏も撮影されているよ。
さっき言ったようにファンや自分を気にしている人との透明性を高めたい。それを実現するための機会になれば良いね。
最初のエピソードはバリ島、来週には公開される予定さ。
これまで弱点だったツアー前半の試合で、優勝1回、9位が3回。この結果はあなたの考え方にどのような影響を与えている?シーズン中盤でワールドタイトルレースに絡んでいる今、何か変えたことはある?
全くない。
最初からワールドチャンピオンを目標にして常にトレーニングや準備をしているから同じことをやるだけさ。
リクオリファイをするためにトレーニングをしている訳ではないし、ワールドタイトルのために突然違うトレーニングはしないでしょ?
常にチャンピンになるためにトレーニングをしているよ。
今年の成功の理由の多くは成長してサーフィンが大きく向上したことだと思う。
身体的に成長して強くなっているし、アスリートとして人間として自分自身を理解し始めている。
小さな積み重ねが大きな違いを生み出しているのさ。
過去2年、ブラジル戦は9位だよね。ツアー開催地の中でブラジルの好きな部分は?
ブラジルは大好きさ。
これは本当のことだよ。
あの場所のエネルギー、食べ物、ビーチの雰囲気が大好きなんだ。
ツアーでお気に入りのイベントの一つだし、毎年楽しみにしている。
’観客のエネルギーが力になる’と最近言っていたけど、もし、ブラジルのファイナルでフィリッペ・トレドと対戦したらビーチにいる多くの観客も相手になる。その状況を考えている?
それは自分が最も燃える状況だね。
みんなが自分を疑ってまさか勝つなんて思っていない状況が大好きだし、怒り、奮い立たせ、やる気になるんだ。
もし、ガブリエルやフィリッペのような相手をその状況で倒すことが出来たら、リスペクトの度合いも上がるでしょ。
それが戦いだし、本当にその機会を得ることを願っているよ。
ブラジルのリオデジャネイロで開催されるCT第5戦『Oi Rio Pro』は6月20日からスタート。
カノアはR1(Seeding Round)でピーターソン・クリサント、ジャドソン・アンドレ、二人のブラジリアンと対戦する。
参考記事「Kanoa Igarashi Has Found the Winning Formula|WSL」
(空海)