東京の都心から南160キロ、伊豆諸島に位置するのは日本を代表するサーフアイランド新島。かつては世界最高峰のプロツアーWCTの開催実績もあるほどの波質を誇り、1990年代にはジェリー・ロペズやトム・カレン、アンディ・アイアンズやケリー・スレーターなどがたびたび訪れていたとか。一時の離島ブームは過ぎ去ったものの、今もなお新島にワールドクラスの波が押し寄せる。
アクセス
新島までの交通手段は船と飛行機。竹芝桟橋からは東海汽船の大型船が夜に出発し、翌朝に新島に到着。高速船は朝に都内を出て、約3時間の航海。時期によって運休日やダイヤが変わるので、最新情報は東海汽船のウェブサイトをチェックしよう(高速船はロングボード持ち込み不可)。
空の便は調布空港から20人乗りのプロペラ機で約30分。飛行機が小さいため、サーフボードの持ち込みは事前確認が必要。下田からはカーフェリーが水曜日以外毎日運航。いずれの交通手段も荒天で運休する場合があるので、出発前は確認しよう。
新島の波・サーフポイント
南北に長い新島には、メインブレイクの羽伏浦(はぶしうら)をはじめとした東海岸を中心にサーフポイントが点在する。その多くがビーチブレイクのため、地形が変わりやすいが、島特有の条件として海底が急激に浅くなっているため、遠洋からパワーを維持したまま到達した波が一気に掘れ上がり、チューブを巻くことも多くある。西側には、特に南うねりに反応するレフトのブレイク、ママ下海岸などがある。
地球温暖化や海面上昇の影響が懸念されるなか、新島でも海岸線の浸食が目立っていて、島を代表する羽伏浦をはじめ、島内の各サーフポイントでここ数年サンドバーが形成されづらい状況が続いている。それでも、ひとたび地形が決まれば今も日本国内でワールドクラスの波を経験できる数少ない場所だ。
新島では毎年多くのプロやアマチュアの大会が行われていて、2020オリンピックサーフィン競技会場の候補地でもあった。波予報を見て、低気圧や台風のうねりを狙ってくるプロサーファーが多くいる。
サーフトリップにおすすめの時期
新島のベストシーズンは春に低気圧が通過した後、特にゴールデンウイーク周辺でよい波が来ることが多い。7月後半も沖縄付近の台風からのうねりが入ると、東側も西側も安定したよい波が来る。また、秋は台風の前後に良い波が立つことが多く、島の東側がクローズしても、西側のママ下海岸が反応し、ワールドクラスのレフトがブレイクすることも。
仮に波に当たらなかったとしても、透き通った海での海水浴、24時間無料の露天温泉や釣りなどで、新島ならではの楽しみがたくさんある。
NSA公認大会「東京都知事杯」
毎年7月下旬にアマチュアの大会「東京都知事杯・SEVEN X TOKYO SURF MASTERS」が行われる。伊豆、東京、島しょの7支部が協力して行われている大会ではNSA公認のスペシャルクラス以外はオープン参加で毎年関東圏のサーファーが多く来島し、新島の波とフレンドリーな大会を楽しんでいる。
今年は6月28日エントリー締め切りなので、興味がある方は新島村役場内の特設ページをチェックしよう。
マナーを大切に
新島には良い波が余っている。地元のサーファーもフレンドリーでビジターを歓迎する人が多いのでマナーさえ守ればトラブルはめったに起きない。とはいえ、ローカルサーファーは普段は少人数で波乗りを楽しんでいるため、波争いが苦手な人が多い。トリップで来島した際は前乗り禁止はもちろん、空いているピークを探して入水する、奥のピークに居座らないなどの配慮、またローカルが多く入る昼休みの時間帯を避けるなどの心遣いでみんなが楽しく多くの良い波に乗れることを願いたい。
(ケン・ロウズ)