Hydro Therapy:ハイドロ・セラピー
うつ病の科学とサーフィンによる生化学的恩恵
サーフィンは癒しになる。これは疑いようの無い事実。どんな心理カウンセリングや抗うつ剤よりもサーフィンにはストレスを解消する効果がある、しかも副作用は全く無い。
しかしながら欠点といえば、じゃあ癒されるためにサーフィンをしようと思っても『素人さん』には手が出せない高次元にそれがあるところだろう。つまり何年もかけて修行を積まなければ、サーフィンから得られる癒しの域に達することはできない。素人さんはSUPはいかがってこと?
さて、このエッセイ、『ハイドロセラピー』は作者のパートナーが『うつ病』に悩む描写から始まっている。『うつ』になったそのパートナーがシェーピングルームに閉じこもってしまう。そうサーファーも『うつ』になる。この文章では、サーフィンだけでは解決できない重い精神病を医学的見地から考察し、さまざまな文献を取り上げつつ、サーフィンの癒しの効果についても分析している。(もちろんサーフィンには精神的ストレスを癒す効果はあるけれど、重症の精神病患者は海に行くことさえ拒絶してしまうとこの記事にある)
読者の読解力が試されるような内容の濃い文章だけど、たいへん興味深いテーマであると思う。段落ごとに区切って熟読していかれると理解しやすいかな。
You Won’t Go:おまえは行かない
サーファーは波に育てられる。パワフルな波でサーフィンを始めたサーファーはそれがフツーだと思ってしまう傾向がある。ハワイのノースショアーで育ったサーファーは、十代の頃からワイメアやパイプランでサーフィンを始める。その結果がジョンジョン・フローレンスやJOBと思っていい。彼らは子供の頃からそのような環境でたくましく育っていく。
でもそれはハワイだけの話ではなく、世界中には大人になるための通過儀礼がいろいろあるんですよ。という記事です。かなりネタバレですがご一読ください。
編集者の立場で見ても、この切り口はなかなか興味深いですね。さて、ノースショアーのサーファーと付き合うとたいへんです。行けと言われたらどんな波でも行かないと相手にしてくれませんから。
Locals Are Made of This:瞬間と永遠
横山泰介さんは、もしかしたら映画監督になっていたかもしれない人。大船の撮影所で修行を積み、才能が認められて京都の太秦へ呼ばれ、そこでさらに飛躍したかもしれないのに、その誘いを断ってしまった。
理由はサーフィンができなくなるから。横山泰介さんの半生記です。どんだけ女性にモテたかという話は削除されたようです。残念。
Down from the Spin Ghar Mountains:スピンガーの山を駆ける
謎の人、ミキ・ドラの新たな証言。というべき記事。その証言はナット・ヤング。『すけべで、嘘つきで、金を持っていて、サーフィンがめちゃくちゃ上手い』それがサーファーの定義だとしたら、その象徴がミキ・ドラだと思って間違い無い。
ビッグウェーブに乗ったとか、すげえ技を決めたとか、そんなことではない。理想のサーフィンを貫くためには社会通念などクソ食らえという人生を全うしたアンチヒーロー。CTのトップテンなんて覚えなくていい、ミキ・ドラというサーファーがかつていたということは忘れるな、もし君がサーファーになりたいのならば。
(李リョウ)
THE SURFER’S JOURNAL(ザ・サーファーズ・ジャーナル)日本版9.5号
発売日:2020年1月15日
定価:2,090円
●世界でも選りすぐりのフォトグラファーによって捉えられた、サーフィンの美しく迫力に満ちた瞬間。
●新旧様々なライターたちに綴られる、本質的でバラエティに富んだストーリー。
最も信頼されるサーフィン誌として世界中のサーファーたちから愛され、書店では買うことができないライフスタイル・マガジン。
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