Mick Fanning from Stab In The Dark https://www.youtube.com/watch?v=1-mORwXRM4A

世界で最も注目されるサーフィントレーナー「マット・グリッグス」のサーフフィットネス

ミック・ファニングを世界チャンプにしたサーフトレーナーのアドバイス


一昔前ならばトレーニングをするサーファーってほとんどいなかったと思うけど、今ではネットを開けば、SNSやユーチューブでさまざまなトレーニングやサーフィンのレッスンを見ることができる。そのどれも、興味深く「へ〜」の連続だ。でもなかには?で、かえって混乱してしまうような珍レッスンもあって面白い。

さて、ミック・ファニングを世界チャンピオンに育てたトレーナー、マット・グリックスがサーフラインのインタビューに答えた。サーフィンが上手くなるにはどうしたら良いか?について彼はここで明快に答えている。強さよりもスピード、器具を使わないトレーニング、メンタルのためのメディテーション等々、このインタビューを読めば、あとは実践だけかなというほど目から鱗だ。彼に言わせればウェイトトレーニングは20年前に終わっているらしい。

Mick・Fanning from Stab In The Dark

ミック・ファニングとどのようにトレーニングしたんですか?

サーファーとしてより上達するためにはどうしたら良いかというテーマに沿って、私はミックと、多くの優秀なトレーナーからの情報を集めてそれを分析したんです。私たちが理想とするような身体を鍛え、サーフィンに重要なスピードとパワーを手に入れるのが目標でした。我々が求めていたものは、瞬発力というよりむしろ加速性でした。というのもサーフィンは、瞬発力というよりボディムーブメントとスクワットでサーフボードを早く走らせることが重要だからです。ミックやテイラー・ノックスはそのボディムーブメントの稼働域がたいへん広いのですが、それは偶然ではなく。トレーニングによって得たものです。

Mick Fanning from Stab In The Dark

全てのサーファーはトレーニングが必要ですか?

理性的に考えて、トレーニングは効果があります。疑う余地はありません。誰でも理想の身体になれるように鍛えることができます。でもサーフィンの世界には否定的な考えもあります。例えば「おい、デーンはトレーニングをしないんだってさ」なんて会話も耳にしますよね。でもそういう人は怪我が多いと思いますよ。波の上で過度な動きを行ったときに身体が悲鳴を上げます。身体に掛かるプレッシャーを制御する神経系もトレーニングで鍛えておくことができます。

Mick Fanning from Stab In The Dark

サーファーにとって最も重要なトレーニングはなんでしょうか?

バランスのとれた姿勢です。サーファーのテクニックを分析すると、いつも気づくのは良い姿勢が保たれているかどうかということです。姿勢が崩れるとパワーの使い方に無駄が出てスピードをロスするんです。
良い姿勢をトレーニングで得ることは可能です。トレーニングボールを使って、サーフィンのときのようなボディムーブメントとスクワットをローテーションするトレーニングができます。
例えばゴルフのタイガー・ウッズが人々からよく言われるのが「どうしてそんな早いスイングができるんですか?」という質問です。彼は必ずこう答えます「そうできるようにトレーニングしているからですよ。姿勢のバランスが壊れない範囲でスイングしているだけなんです」これはサーフィンも当てはまります。姿勢とバランスが壊れないようにターンできるようになることが重要です。

Mick Fanning from Stab In The Dark

激しく身体を動かしてもバランスが崩れないようにするにはどうしたらいいでしょうか?

私はウェイトを使ってトレーニングはしません。体重を利用します。というのは、サーフィン中、サーファーは自分の体重を使っているからです。さらに波のフェイスは常に不安定ですね。じゃあ静的な安定した場所で、特定の筋肉だけを鍛えるような、まるで20年前のようなトレーニングをしたら効果があるでしょうか?サーファーが求めているのは、サーフボードと身体が一体となって、不安定な波のフェイスを自由にサーフする感覚です。そのようなトレーニングができたとしたらどうでしょう?つまり動きとフィーリングと全筋肉とが一体となって連動するのです。

Mick Fanning from Stab In The Dark

そのようなバランスを得るためのエクササイズはありますか?

スプリットスクワットのローテーションです。両足の安定性を向上してくれます。サーフィンや、歩いているときは、片足を交互に持ち上げてそして下へ踏み込んでいますね。このスプリットスクワットはその微妙な動作のバランスと安定性を鍛えることができます。これはまたローテーション(連続動作)のトレーニングにもなります。サーフィンでもっとも重要なボディムーブメントのローテーションです。ケリーやミックが良い例ですが、身体の可動域を広げればサーフィンでの可動域も広がります。その可動域が狭ければそれなりのサーフィンしかできなくなるのです。

ストレッチングについて基本的な決まりごとはありますか?

ベストな時間帯は朝と寝る前です。ストレッチをするときは筋肉を眠らせてリラックスするようにします。でもサーフィンの前にはそのようなストレッチはしません。ストレッチには2面性があります。筋肉を活動させたいときはアクティブなストレッチをして目覚めさせます。朝と寝る前は静的なストレッチです。それぞれ30秒間ほどストレッチのポーズを保ちます。

Mick Fanning from Stab In The Dark

精神面を鍛えるには?

キーリー・メディテーションがあります。これはたった5分の瞑想で効果があります。瞑想によって意識を自己の中心へと留めます。良い感情と悪い感情の間という、これまでの人生の中心に自分を置くことができます。それだけでなく不動心と精神集中を鍛錬でき、冷静に自己を見つめることができます。精神集中に反するものは精神の混乱です。混乱は人生やサーフィンでの失敗を引き起こします。このメディテーションを実践すれば、それらの失敗を減らすことができます。    
(The Kelee meditation by Ron・W・Rathbun)

Mick Fanning from Stab In The Dark

トレーニングを始めようとするサーファーになにかアドバイスは?

楽しんでください。自信を失っては意味がありません。とにかく始めることです。すぐにミック・ファニングに成れるなんて思わないことです。段階を踏みましょう。自分にあったエクササイズを見つけることです。いろいろな情報が溢れていますが、もしお金に余裕があって人とうまくやっていけるならば、トレーナーを雇いましょう。そしてトレーニングを行い、結果をよく分析してください。結果に満足できればそれを継続しましょう。もし満足できないときは別の方法を試してみましょう。注意しなければならないのは、毎日のトレーニングを自分に課するのではなく、週2日くらいに決めて休息をとり、サーフィンや人生を楽しむことが大切です。

エアリアルに効果のあるトレーニングはありますか?

私がコーチしている生徒たちと体操のトレーニングを始めたところなのですが、驚くべき結果が出ました。私は生徒達にスピードの出し方を教え、彼らからエアーのしかたを教えてもらいました。エアーでの問題は姿勢が崩れてしまうことです。ボードを掴むために体を折り曲げるからです。そこでトランポリンでボードを持って跳ぶ練習をしました。通常のエアーのテクニックだけでなく、まだ未開発のエアーも練習しています。

ビッグウェーブへのトレーニングは?

すごくシンプルなトレーニングがあります。30秒息を止めて、30秒休みます。1分間息を止めて、1分間休みます。そして最後は可能な限り息を止めます。それを毎日行います。3週間か4週間後には私はそれで3分間と50秒息を止められるようになりました。このトレーニングはビッグウェーブをサーフする上で大きな自信になります。

最後になにかアドバイスをお願いします。

トレーニングで最も鍛えなければならないのはメンタルだと私は考えています。多くの人はついフィジカルな面に時間を掛けてしまいますが、フィジカルを制御するのはメンタルです。だから私は自ら瞑想を実践し、それを教えてもいます。
すばらしい身体を手に入れても、気持ちの浮き沈みがあれば、身体のエナジーを常に良い方向にコントロールできません。精神面を学ぶことは重要で、スポーツのパフォーマンスだけでなく人生にも影響します。
私はこれまでさまざまな事象から学び、さらにフィジカルやテクニカルそしてタクティクスも学んできましたが、その結果、心を学ぶことがいかに大切かということに気づきました。これはとてつもなく大きなパートを占めていますが、メディアはこのメンタルに関しては質問してきません。質問してくるのは、サーフボードかテクニックについてです。何故ならそこに関心があるからです。感情や心については質問してきませんね。結果として文章にならず、読まれないわけです。ですが心を学ぶことは、人生にも良い影響を与えると理解することが大切なのです。

mattgriggs.com.au

マット・グリックスのプロファイル
シドニー出身、元プロサーファーで、現在は心とハイパフォーマンスのトレーニングコーチを務めている。彼がコーチしたサーファーにはミック・ファニング、ステファニー・ギルモア、オーエン・ライト他がいる。

この記事はサーフラインのインタビューを基に構成いたしました。
This article is based in below;
https://www.surfline.com/surf-news/matt-griggs-train-surfing/5349

ミックの写真は映画 Stab In The Dark よりお借りしました。

(李リョウ)

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