15歳の時に初めてプロコンテストで優勝。
1998年、2004年にワールドタイトルを獲得したカリフォルニアのカリスマ、ジョエル・チューダー。
ツアーを去った後も独特の思考と表現力、ライフスタイルなどでケリー・スレーターとも違うカリスマ性を持っている。
43歳になった今は『Duct Tape Invitational』の主宰者であり、ブラジリアン柔術のチャンピオン、サーフボードブランドのオーナー。
そして、14歳と10歳の息子の父親でもある。
ジョエルがコンテストに戻った2019年
2019年は『Duct Tape Invitational』が日本初上陸を果たし、平日にも関わらず多くのギャラリーが集結。
改めてシングルフィン回帰のロングボード人気を感じたイベントだった。
この年、デヴォン・ハワードがWSLロングボードツアーのディレクターに就任。
同じ年に生まれたカリフォルニアの第2世代、道は違えどサーフィンの本質が同じである彼らが示し合わせたのだろう。
NY戦でジョエルが選手としてコンテストの世界に戻ってきたのだ。
NYでジョエルの示したロングボードの進むべき方向は本当に彼らしかった。
カニエラ・スチュワートとシェアライドをしてお互いのサーフボードをチェンジ。
それは『Duct Tape Invitational』では高得点に繋がるが、WSLではインターフェアで減点。
ジョエルが敗退して道を譲り、このイベントでカニエラは優勝、きっと望んでいただろうドナルド・タカヤマ繋がりの世代交代は大成功だった。
この年にワールドタイトルを獲得したジャスティン・クインタルも『Duct Tape Invitational』の強豪として知られており、シングルフィン愛用者。
ジョエルが追求してきたロングボードの姿は正しかったのだ。
2020年にジョエルは3度目のワールドタイトルを狙う
2020年のWSLロングボードツアーはオーストラリアのヌーサ、アメリカのNY、台湾の台東でタイトルが決まる。
ジョエルは二人の息子と共に訪れたヌーサでワイルドカードを渡されて参加。
ヌーサと言えばロガーなら誰でも憧れるパーフェクトでメローな長いライトのファーストポイントが有名だが、イベント期間中はコンディションが整わず、手前のビーチブレイク、「メインビーチ」が舞台になった。
ライト・レフト共にあるビーチブレイクでジョエルは時代を超えたクラシックスタイルを存分に見せてハリソン・ローチ、ザイ・ノリスなどのヌーサローカルや、カニエラ、最後は『Duct Tape Invitational』で主役級のロガー、21歳のケヴィン・スカヴァーナまで倒してしまい、16年振りの優勝を成し遂げた。
二人の息子の目の前で父親の勇姿を見せられたのが一番嬉しいことだったそうだ。
「20年前、このイベントで優勝した時は今回参加している大半の選手はまだ生まれてもいなかったと思う。最後にASPで優勝したのが16年前だから、かなり昔のことだね。当初、このイベントに参加するつもりはなかったんだ。ワイルドカードを手に入れてヒートを続ける毎にリズムに乗ってきたのさ。SF進出まで優勝のことなんて考えてもなかった。ケヴィン(ファイナルの対戦相手)との勝負は面白かったね。ダクトテープイベントでも最高の奴とヒートをシェアすることが出来たよ。ここに自分の子供がいることが、今回の優勝で最大のポイントかな。彼らは過去の父親の話を聞き、トロフィーを見てきたけど、今目の前で実際に勝つ姿を見ることが出来たんだ。最高だよ。3度目のワールドタイトルを狙う必要があるのも素晴らしいね」
ジョエル・チューダー
ちなみにジョエルの師匠でもあるナット・ヤングが最後にワールドタイトルを獲得したのは1990年、今のジョエルと同じ43歳の時。
これも何かの運命なのかもしれない。
なお、今イベントに参加した日本人選手の最高位は田岡なつみの9位。
メンズでは浜瀬海の17位が最高位。
2019年、スペインで3位に入った経験がある井上鷹は33位でフィニッシュした。
『Noosa Longboard Open』結果
メンズ
1位 ジョエル・チューダー(USA)
2位 ケヴィン・スカヴァーナ(USA)
3位 デクラン・ウェイトン(AUS)、カイ・サラス(HAW)
ウィメンズ
1位 ケリス・カレオパア(HAW)
2位 ソフィア・コーヘーン(HAW)
3位 エミリー・レスブリッジ(AUS)、クロエ・カルモン(BRA)
WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)