今年、5年ぶりにQSが開催されるニュージーランド。今年から新たにチャレンジャーシリーズと呼ばれるQS10,000の第2戦として3月中旬に『コロナ・ピハ・プロ』が開催され、ケリー・スレーターやカリッサ・ムーアなど世界トッププロが参戦を表明している。(※3/13 編集部注:ピハ・プロは開催延期が発表された)
今回会場となる「ピハ・ビーチ」や、かつてCTイベントも開催された「タラナキ」をはじめ、豊富な波に恵まれたニュージーランドの魅力やサーフィン・エリアを紹介しよう。
ニュージーランドの魅力
日本から北海道を引いたぐらいの国土に人口約500万(北海道より少し少ない)。近くに大陸がなく、四方が海に囲まれているニュージーランドは常にどこかで波がある。1キロ以上続くことがあるラグランのポイントブレイクからピハのビーチまでバラエティーに富んだサーフポイントが点在し、有名どころが混雑することがあっても、近くを探せばガラガラな波があなたを待っている。
玄関口のオークランド周辺でも日帰りで行けるサーフポイントが数多く存在し、東のギズボーンや西のタラナキへは車で半日程度。ニュージーランドは日本と同様左側通行で交通ルールもほぼ同じなので、車での移動が便利。治安は比較的良いが、置き引きなどの軽犯罪には注意が必要。車も絶対に鍵をかけ、用心のためハンドルにロックをかける人も多い。
西海岸は年中波があるが、やはりベストシーズンは南半球の夏。東側は低気圧が通ったら波が入り、西よりの季節風が吹くとオフショア。水温は夏の北島で21℃前後とやや低く、ウエットは欠かせない。南島は夏でも16℃前後なので、ブーツとグローブを忘れずに! ニュージーランドは波の質と同じぐらいワイルドな絶景とどこまでも広がるのどかな牧草地など、景色が息をのむほどで、自然とどんどんサーチしたくなる。
North Island / 北島のサーフエリア
Auckland / オークランド周辺
ニュージーランド最大の都市オークランドの周辺でも様々なサーフポイントがある。西海岸はピハをはじめとする複数のサーフビーチが点在。オークランド市内から車で40分程度なので、週末は混雑することがあるが、少し探せば空いているピークも見つかるはず。西海岸のビーチは水量が多く、突如現れる沖に流れるカレントに注意が必要。西海岸の弱点は風。
西寄りの風でオンショアになることが多いので、そんな時は東海岸へGo!オークランドの北1時間弱のパキリやテ・アリは南太平洋からのうねりを受けるファンなビーチブレイク。また、黒砂の西海岸に対して、東は白砂のビーチが多く、その雰囲気の差を感じるのも楽しみの一つ。
うねり:西海岸は南西~北西。東海岸は北~南東
風:西海岸は東より。東海岸は西より
Raglan / ラグラン
66年の名作エンドレス・サマーにも出たワールドクラスのポイントブレイク。条件がそろえば奥のインディケーターズからマヌ・ベイまで2キロほど乗れると言われている。入水は岩場から飛び込むため、中・上級者向け。メインポイントのマヌ・ベイが混雑してきたら、一つ奥のウェール・ベイに足を延ばせばいくらか空いてくる。また、時には北側のビーチにサンドバーが形成され、ライトも乗れることがあるので、こちらも要チェック。
うねり:南西
風:南東
Gisborne / ギズボーン
北東から南までのうねりを受けるギズボーンは東海岸トップのサーフエリア。ワイヌイビーチをはじめ、南北にいくつものポイントが点在し、チューブを巻くこともしばしば。また、少し南下すればマヒア半島にも多くのポイントがあり、うねりや風の向きを問わず平均して波乗りができる日が多い。
うねり:北東~南
風:北西~南西
Taranaki / タラナキ
ニュー・プリマス周辺にいくつかビーチブレイクがあり、富士山を連想させるタラナキ山の周りには質の良い玉石のレフトとライトのポイントブレイクが点在。かつては女子のCT大会が開催されるほどの波質だ。タラナキも南極海からのうねりを受けるためコンスタントに波があり、東よりの風がベスト。
うねり:南西~北西
風:北東~南東
SOUTH ISLAND / 南島のサーフエリア
Kaikoura / カイコウラ
ホエールウォッチングでも知られているカイコウラは世界クラスのサーフポイントも誇る。町の北にあるマンガマウヌのライトのポイントブレイクがあり、サイズが上がると数キロも続くそうだ。近くにいくつかのリーフやビーチブレイクが点在するが、岩場からの入水のため、基本的には中・上級者向けのポイントが多い。
うねり:南東
風:西
Dunedin / ダニーディン
町の目の前にセイント・クレアやセイント・キルダのビーチブレイクがあり、Aフレームのレフトとライトが楽しめる。北に40分にあるアラモアナもパワーのあるビーチブレイクでチューブになることが多い。
うねり:北東~南
風:北西~南西
ここには載せきれないが、北のスピリッツ・ベイから南キュリオ・ベイまで、ニュージーランド全国に何百と知られているポイントがあり、おそらく内緒にされているところも同じぐらいあるだろう。旅行者としての常識を忘れず、笑顔、ローカルへのリスペクト、安全管理をしっかりしていけば、サーフィンだけでなく、景色、そのほかの経験でも思い出になるトリップができるに違いない。
ケン・ロウズ