日本サーフィン連盟公式サイト

新型コロナウイルスで広まるサーフコミュニティへの影響

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国の自治体や企業は一斉休校やテレワークなどの対策を取り、イベントの開催自粛も相次いでいる。サーフィン業界も例外ではなく各所が対応を迫られているが、現時点で把握できているサーフィン業界への影響をまとめた。


NSAからイベント等の開催自粛のお願い

政府から先月26日に発表された「新型コロナウイルス感染症対策の方針」を受け、日本サーフィン連盟(NSA)は28日、各支部や関係各所に向けて3月末までに予定しているサーフィン検定・支部会議等については、中止、延期または規模縮小等の形で開催自粛するよう発表した。

各支部は3月中に実施予定だったサーフィン検定の開催を中止。NSA自体も、29日に予定していた定時社員総会等の中止を決定したほか、時差出勤やテレワーク等での対応に切り替えた。

また、3月26日から27日に実施予定だった強化合宿についても開催見送りが決定した。

日本サーフィン連盟公式サイト:http://www.nsa-surf.org/

海外転戦選手にも影響

世界保健機関(WHO)は2日、新型コロナウイルスの感染拡大について、中国以外に日本、韓国、イタリア、イランの4か国に深刻な懸念があるとの見解を示した。中国のQS選手に影響が出ていることは報じた通りだが、世界各国ではこれら4国からの渡航者に対しても入国制限措置や入国後の行動制限をし始めている。

海外転戦中の選手達は、不安な状況のなか協力し合い情報収集に努めているという。新型コロナウイルスによる入国制限により参加不可となるケースは現時点で明らかになっていないが、流動的な世界情勢に合わせてフライト変更や延泊などの対応が迫られる可能性もあり、経済面の心配をする声もある。

オーストラリア・アヴォカビーチでの『Central Coast Pro』で5位入賞した松田詩野 Photo: WSL / Ethan Smith

3月5日時点で外務省より発表されている内容のうち、直近でQS開催が予定されている国をいくつか取り上げる。選手だけでなく、サーフトリップを予定されている人も確認が必要だ。

(各国の対応策は極めて流動的であり今後変更される可能性は十分にあります。渡航の際は外務省海外安全ホームページや各国当局のホームページを必ずご自身で確認してください。)

各国の入国制限措置等(3月5日時点、外務省海外安全ホームページより)

■オーストラリア
現在、多くの日本人選手が大会出場しており、26日からはCT初戦も控えているオーストラリア。
まだ日本は対象になっていないもの、中国本土、イラン、韓国に滞在していた外国人の入国制限措置を設けており、イタリアから到着する外国人に対して到着時の医療スクリーニングが強化されている。

■ニュージーランド
3月14日からジュニア&男女の「ピハプロ」が開催される。
現状日本に対しては、症状がある人はCOVID-19専用ダイヤルに電話等が必要。
クック諸島は日本人の入国制限をしている。

■アメリカ
3月12日からフロリダで男子QS1500とジュニアが、3月26日からカリフォルニア・ハンティントンで男女QS1500が開催される。
現時点でアメリカ政府は、中国とイランにいた人の入国を拒否しているが、現地時間3日トランプ大統領が日本も検討の対象としていることを明らかにした。
また、現地時間4日カリフォルニア州内で感染拡大していることを受け、全域で非常事態宣言を出し、医療関係者の受け入れ強化等の対策がされる。

■イスラエル
3月17日から男子QS3000が開催されるが、 過去14日間に中国・韓国・イタリア・マカオ・香港・タイ・シンガポール・日本に滞在した外国人の入国を禁止している。

バルバドス
3月17日から男女QS3000が予定されている。
現時点で特に入国制限などは発表されていない。

■ポルトガル
3月末から4月頭にかけて複数のQSイベントが予定されている。
現時点で特に入国制限などは発表されていない。

■タヒチ(仏領ポリネシア)
日本人選手から参加する者は多くないが、3月9日からタヒチで男女QS1000とジュニアが開催される。
日本とニュージーランドから入国するアジア諸国の渡航者に対し健康診断書の提示が義務づけられている。

出典:外務省ホームページ

外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/

国内サーフトリップ先「直近よりGWが心配」

航空各社が航空券の払い戻しなどを実施しており、この時期に人気のサーフトリップ先である九州・奄美大島・種子島の関係者に話を伺った。現時点では大きな影響は出ていないとの見方が大半のようだが、この先の繁忙期への影響を懸念する声も上がった。

「例年に比べて1~2割減った印象です。明らかにコロナを懸念してキャンセルされた方もいましたが、サーファーの方はいつも通り来ています。」
ゲストハウスオーナー(種子島)

「少しキャンセルが出てきましたが、奄美大島全体が大打撃という感じではありません。内地からゲストを呼ぶイベントやライブは中止になっているものもあります。」
ゲストハウスオーナー(奄美大島)

数件キャンセルが入りましたが、ほとんど影響はなく、むしろ2月は盛況だったくらいです。市街の一般観光客を対象とした宿の方が影響が大きいかもしれませんね。」
ゲストハウスオーナー(奄美大島)

「サーフィンスクールを受講する一元のお客様は例年に比べ2割ほど少ない印象で、市内の他のショップもスクール客は減っているそうです。ただ常連のお客様は変わらず来ていて大きな影響はありません。学校が一斉休校になったので逆に海には子供が増えました。」
サーフショップオーナー(宮崎)

「3月はもともと閑散期ということもあり、予約キャンセル等もなく現時点ではそこまで大きな影響は出ていません。ただ、例年であればそろそろ埋まり始めるGWの予約が全然入らなくて心配です。」
ゲストハウスオーナー(宮崎)

「宿泊キャンセルは多少出てはいますが、ホテル横の駐車場は常に埋まっていて、目の前のポイントも至って普段通り多くの人が入っています。」
ANAホリデイインリゾート(宮崎)

IOCはオリンピックを予定通り開催の方針を強調

オリンピックの開催懸念が広まる中で、NSAは以下の見解を発表している。

スポーツ庁の鈴木大地長官は2月27日の記者会見で 「今は耐える時期。一丸となって乗り越えていく姿勢を見せ、いい形で東京大会を迎えたい」と、感染防止の取り組み協力を呼びかけ、東京五輪・パラリンピック開催へ早期収束を図りたい考えを示しました。当連盟でもこの呼びかけに応じたいと思います。

2020年2月28日 日本サーフィン連盟 発表資料より抜粋

また今月3日には、国際オリンピック連盟(IOC)の理事会で、IOCと大会組織委員会、東京都、日本政府、WHOから構成される特別作業部隊で新型コロナウイルスの対応に当たっていることや、理事会として「東京五輪の成功に向け全面的に関わっていく」ことなども盛り込んだ緊急の声明を発表した。

IOCバッハ会長は、予定通り大会実施する方針を改めて強調したほか、各国の選手らに対して「自身をもって大会に向けて準備を続けてほしい」と述べた。


一部メーカーからは中国工場への影響を懸念する声も上がっており、ここでまとめたものは氷山の一角に過ぎないだろう。なにか不安なニュースが連日報道されており先行きが見えない状況ではあるが、一刻も早く日常が取り戻せるようマスク着用や手洗い等を徹底しつつ冷静に対処したい。

(THE SURF NEWS編集部)

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