PHOTO:© WSL/Dunbar

世界中でスタートしているニューノーマルのコンテストとは?

新型コロナウイルスの影響でWSLイベントが再開されず、最新情報がアップデートされない状況の中、映像を利用した新しい形のコンテストが続々と行われ、今後も広がる可能性がある。

先日お伝えしたメキシコの『Surf Open League』が始めたInstagramを有効活用したオールデジタル形式のサーフィンコンテストツアー『Surf Web Series』はコスタリカ、ブラジル、日本、アメリカ、ハワイまで広がり、2020年12月にグロバールファイナルまで開催が予定。

今回は新たに始まる2つのニューノーマルのコンテストを紹介する。

初のオンライン女性コンテスト

(イザベラ・ニコルス)
PHOTO:© WSL/Dunbar

この10年間でラインナップに並ぶ女性サーファーの数は確実に増え、レベルも向上しているのはご存知の通り。

世界中の海でチャージを繰り返し、動画を貯め続けているアップカマーがいるが、新型コロナウイルスの影響でコンテストがストップしている今、彼女達のために出来ることはないだろうかと立ち上がったのが、オーストラリア・ビクトリア州の女性サーファーでQSをフォローしている19歳のインディア・ロビンソンが創設した『Queen in Me』だ。

「私はサーフィン界の女性にスポットライトを当てるためにこのブランドを始めました。これは同じ志を持ったサーファー達のためにコミュニティで、お互いをサポートしあい、高め合い、成功を祝うための集まりなのです」
インディア・ロビンソン

『Queen in Me』はサーフィンの男女平等を象徴するプラットフォームであり、若い女性サーファーに自分の才能を披露する機会を提供している。
その『Queen in Me』がハッシュタグ#qim2020を使って動画を投稿する初のオンライン女性コンテスト、『The Quarantine Queen competition』が3週間に渡って行われ、60以上の投稿をWSLツアーの部長、ジェシー・マイリー・ダイアーと2020年CTルーキーのイザベラ・ニコルスがジャッジ。

オアフ島出身のベティ・ラウ・サクラ・ジョンソンが優勝した。

まだ15歳のベティは2019年のISAワールドジュニア、16歳以下のガールズで銅メダルを獲得したアップカマー。
ハワイの美しい波でのパワフルなリップとターン、バレルライドの映像は優勝に値する実力で、今後も目が離せない女性サーファーだろう。

ミック&ジョエルも参加するバーチャルコンテスト『RIVALS』

Image: my SURF tv(YouTube)

『Surfing Australia』が民間テレビ『Nine Network』と契約して行われる『RIVALS』は元ワールドチャンピオンのミック・ファニング、ジョエル・パーキンソンの他、ディーン・モリソン、ビード・ダービッジ、ジョシュ・カー、ダニー・ウィルス、ショーン・キャンスデル、ジェイ・トンプソン、グレン・ホール、カイ・オットン、ネイザン・ヘッジと11名の元CTサーファーによるバーチャルコンテストだ。

舞台は2020年8月8日からスタートするTVシリーズの『RIVALS』

11名の元CTサーファーが地元の波で2時間サーフィンをして、それをオンラインプラットフォームのwww.clippero.comを利用してオンリピック・サーフィンヘッドジャッジのグレン・エリオット、一般の人々によるベスト3の波で採点するシステム。

コンテスト期間は45日間あり、冬の南ウネリによって素晴らしいコンディションが期待出来る。

「あの二人(ミックとジョエル)とは長い間一緒にサーフィンしてきたよ。彼らとは、ヒートではなくてもいつも競い合っているんだ。私達は常にお互いを刺激し合ってきた。それがここまでサーフィンが上手くなった大きな要因なんだ」
ディーン・モリソン

『RIVALS』の可能性

この11名の元CTサーファーによるバーチャルコンテストは従来のコンテストフォーマットに固執して未だ再開時期が不透明となっているWSLイベントにも影響を与える可能性を秘めている。
サーフィンはスポーツの要素だけではなく、一般サーファーにとって娯楽としての要素が強いため、より自由な今回のコンテストフォーマットが評価されるだろうと期待されているのだ。
そもそもWSLの従来のコンテストは展開が遅く、ルールが複雑でエクストリームスポーツの世界の中では安全過ぎるという見解もある。

もちろん、ビッグスウェルが入ったパイプラインや、チョープーでのジョン・ジョンとガブリエルの対戦などは例外だが、それ以外の条件でプロのサーフィンコンテストを100%理解して楽しんでいる人は全世界のサーファーの何パーセントなのだろう?
イタロとガブリエルがワールドタイトルを賭けて戦った昨年のパイプラインがベンチマークだとしたら、あのドラマを超える展開が毎年期待出来るのだろうか?

2020年、プロサーフィンの世界は私達のような関係者も含めておかしな時間を過ごしている。
そんな中、WSLイベントの再開を待たずに新しいフォーマットを求めて前に進んでいるコンテストに今後も注目していきたい。

(空海)

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