7月16日、日本サーフィン連盟の吉永修強化本部長ががんのため逝去した。享年61歳。
2001年にジャッジ委員として日本サーフィン連盟に加わり、2011年の酒井理事長就任とともに吉永氏も理事に就任。2010年からは強い日本チームを作る事を目標に、日本代表を再編して強化チームを発足した。選手の育成と代表チームの強化に力を入れ、当時国別ランキング10位前後だった日本代表は2018年に世界1位を獲得。五輪新競技の提案にも尽力した。
世界選手権、世界ジュニア選手権、世界アダプティブ選手権など、過去数年にわたって行われた殆どの国際大会で日本代表選手団を引率し、選手からの信頼も厚かった。
NSA酒井理事長は「自分にも、人にも厳しく、叱る時は叱る。優しさがありどんな選手も決して見切ることなく付き合い、技術面だけでなく精神的にも選手の心の支えとなっていた。選手の魅力を彼のように100%引き出せる人は他にいない」と悔しさを滲ませた。
2年程前、体調が悪く検査をして胃がんが発覚。すでに広範囲に転移が進んでいて「余命2年」と宣告された。抗がん剤を打ちながらやれる術は全て尽くし、最後まで「良くなるから」と言い続け、6月にオンラインで行われた理事会にも出席した。
「選手には言わないで。気にすると選手たちはワガママを言えなくなるから」と自分の身体より選手のことを第一に考えた。昨年9月に宮崎で行われた世界選手権で厳しい暑さのなかビーチから選手を見守り、11月にはカリフォルニアで行われたジュニア選手権にも帯同した。
「五輪の延期が決まった頃から、急に体調が悪くなったように見えました。五輪まで見届けたかっただろうと思うと残念で仕方ありません。選手にとってはお父さんのような存在で、どの選手にも慕われていました。プロサーファーになった選手の多くも吉永さんのお世話になってきました。ここ数年の目覚ましい日本選手の活躍は、吉永さんあってこそです。欲がなく、悟りの境地に達しているような方で、日本のサーフィンのためにと献身的に働かれました。志半ばで亡くなられたのは本当に残念ですが、最後まで生き甲斐であるサーフィンに携わっていられたのはよかったのかもしれません。残された私たちで代わりに日本のサーフィンを盛り上げていきたいと思います。」
日本サーフィン連盟 酒井厚志理事長
共に長年強化部を主導したNSA井本公文氏や、日本代表チームキャプテン大野修聖、昨年の世界選手権で五輪出場権を暫定獲得した村上舜のほか、歴代の日本代表選手や関係スタッフから吉永さんを偲ぶメッセージが続々と寄せられてきており、7月18日現在までに編集部に届いた声を紹介していく。