数年前、前田マヒナが世界を代表するビッグウェーブスポット「ナザレ」の巨大な波に最年少の女性サーファーとして挑んだことをご存知だろうか?
五十嵐カノアのように日本人の両親を持ちながらも海外で生まれ育った前田マヒナは現在22歳。
オアフ島ノースショアを拠点にWSLではクオリファイを目指してQSを回り、オリンピックで日本代表を目指すために国籍をアメリカから日本に選択している。
日本語よりも英語がネイティブな彼女が海外メディア「MSW(magicseaweed)」に答えたインタビューから興味深い言葉をピックアップしよう。
「ナザレのラインナップに並ぶのは、良い意味でぞっとしたわ。最大の波に乗った感覚は降下するジェットコースターのようで、叫ぶことは出来なかった。2本目で病みつきになったわ」
2015年の『XXL Big Wave Awards』Billabong Ride of the Yearにエントリーした時の映像
あなたはナザレでサーフィンした最年少の女性だと聞いたけど、その旅はどのように実現したの?
私が16歳の時。
ポルトガルのエリセイラでWSLのワールドジュニアタイトルを初めて獲得した時だったわ。
コンテストが早く終了したので、私と父と一緒の家に泊まっていたバロン・マミヤ、カウラナ・アポと一緒に旅に出たの。
サーフィンと観光をしてから、ギャレット・マクナマラさんに会いに行きたいと思ったのよ。
昔、ギャレットと父はトーインサーフィンのパートナーをしていた仲なの。
どちからというと最初は同窓会のような感じだった。サーフィンに行くと決まるまではね…。
ナザレに着いて2日目に波が大きくなり、男性達が乗っていたんだけど、最終的にもっと波は大きくなった。
手短に言うとギャレットさんに騙されて乗った波が人生最大だったのよ。
16歳であの波をやるなんて狂っているよね。どんな気持ちだった?緊張していたのか、それとも楽しかった?
最初は戸惑ったけど、バックアップのジェットスキーに乗っていた男性を見て安心したの。
あの波でやってみたかったけど、怖くてなかなか言い出せなかったわ。
ギャレットさんは、父が私に波に乗るように指示したと騙したのよ。
そんなことはあり得ないと気付くべきだった(笑)。
ナザレのラインナップに並ぶのは、良い意味でぞっとしたわ。
最大の波に乗った感覚は降下するジェットコースターのようで、叫ぶことは出来なかった。
2本目で病みつきになったわ。
2021年の東京オリンピックはサーフィンにとって大きなステージになる可能性があります。あなたがアメリカではなく、日本代表としてオリンピックに出場する理由は?
正直、ハワイの旗から離れるのは本当に辛かったわ。
ハワイはサーフィン発祥の地であり、ここで生まれ育ち、自分の名前の横にハワイの旗が記載されることをとても誇りに思っている。
私はハワイでサーフィンを学んだの。
アメリカと日本の二重国籍を持っているので、選択には苦労したわ。
最終的に日本を選んだ理由ね。
日本には武士の気持ちや、謙虚な姿勢がある。
両方のバックグラウンドを持つことで精神的な強さを感じることが出来るの。
日本人であること、ハワイアンであることの両方に大きな誇りを持っているわ。
オリンピック出場は大きな達成感があるし、出場すれば両方の国籍を代表することになると思っている。
でも、オリンピックよりツアーにクオリファイしたい。
もし、オリンピックに出る機会があれば、代表として頑張るわ。
オリンピックと言えば何を思い浮かべる?
スポーツと言えばオリンピックよね。
サーフィンがオリンピックに参加することは有益なことだと思う。
昔からサーフィンは趣味の一つとして考えられていたけど、オリンピックに参加することでプラスになると思う。
観客の心を開き、私達のスポーツを本当に理解してもらえるようになると考えているわ。
オリンピックの会場ではたくさんサーフィンしてきたの?波はどう?
そうね。
波はOKよ。
潮の満ち引きやウネリで波が大きく変動する。
最悪の波ではないけど、最高の波でもないって感じ。
良い点は日本の中では非常に安定している波だってことかな。
日本は台風が頼みの綱だけど、あの場所に関してはいつも乗れる波があるし、いつもサーファーがいるわ。
1インチでも、4fオーバーでもね。
ジナスティカナチュラルのテクニックを使ってジョーディ・スミスにトレーニングのこつを伝授していると聞いたけど、そのことについて教えて
18歳の時にジナスティカナチュラルのトレーナーのライセンスを取得することを決めたの。
私の師匠であり、コーチでもあるキッド・ペリグロがサンセットビーチ柔術で教えているのよ。
彼とは2年間トレーニングをして、この4年間は一緒に働いているわ。
ジョーディのような信じられないアスリートがトレーニングをしに来るの。
★ジナスティカナチュラル
アルバロ・ホマノにより開発。
動物の動きやヨガの呼吸法、柔術の基本動作、その他、東洋の身体技法などをベースに発案された独自のトレーニング法。
参考記事:Meet: Mahina Maeda One of the Youngest Women to Surf Nazare and a Ripper Unafraid to Take Scalps
(空海)