10月に入り、ヨーロッパ各地で新型コロナウイルスの感染者が急増し、再びロックダウンに入る国や地域が続出。XXLのうねりがヒットしたポルトガルのナザレでは歴史的なセッションを一目見ようと推定2万人の見物客が集まったことを受けて、当局がナザレ近辺のサーフィン禁止令を発表した。
その一方でフランスの新たな外出規制は春の規制に比べて少し緩和され、トップアスリートやプロスポーツ選手が免除されることで話題になっている。
10月30日から1か月間の外出規制を発表したフランスでは自宅で過ごすことを基本としながら、「重要な理由」があれば特例外出証明書を携帯しての外出は許可されている。
自宅から1キロ以内の運動は可能だが、マリンスポーツはNG
一般的に許可される外出理由としてあげられているのは、在宅勤務が不可能な場合の通勤、生活必需品の買い物、通院治療、助けが必要な家族の支援や子供の送迎、自宅から1キロ以内一人での運動やペットの散歩(1日1回・1時間以内)など。
春のロックダウンで禁止されていた公園や海岸の利用について今回は閉鎖しないものの、一般人のマリンアクティビティは禁止されている模様だ。ロックダウン中は警察が証明書のチェックを行っていて、無断で外出した場合は135ユーロの罰金があり、複数回違反した場合の罰金は3,750ユーロまで登る。
スポーツ選手の一部は規制から免除
運動のための外出許可に加え、トップアスリートはトレーニングや試合を行うための移動制限から免除されている。
ロクサナ・マラシネアヌ・スポーツ大臣は「外出規制実施中は社会的交流を可能な限り制限しています。しかし、スポーツは大人も子供も同様に肉体的および道徳的な幸福のために不可欠です。これが、特定の条件下で運動を継続できる理由です」としたうえで、スポーツ庁のホームページでは「ハイレベルのスポーツ選手やプロのスポーツ活動を円滑に運営するために必要なすべての認定者は外出制限及び移動規制から免除される」と記載している。
外出規制の免除には所属団体の認定が必要
このことに関してFédération française de Surf(フランスサーフィン連盟)が11月2日のプレスリリースで以下のように述べている。
「プロサーファーを含む“ハイレベルのスポーツ選手”においては、政府のスポーツに関する方針に従い、サーフィン及び特定の関連分野は(外出規制から)免除される。これは知事や当局の協議の対象となる。」※フランス語から翻訳
つまり、プロ、またはナショナルチームに属するようなハイレベルのサーファーであれば、所属団体を通して証明書を取得し、合法的にサーフィンできるという解釈だ。
一方、同プレスリリースでは、(一般人の)マリンアクティビティは法令で禁止されていることも指摘し、「コロナウイルスとの闘いの最前線で戦っている人々への支持として一般サーファーは忍耐と連帯を」と呼びかけている。
波が良くなるこの季節、外出規制がサーフィンにどのような影響があるか気になるところだ。9月にはスペインで新型コロナ陽性のサーファーが隔離無視して逮捕されるなどの事件もあったが、実際にはサーフビーチをどのようにパトロールし、証明書の確認をするのかはっきりしていない。しかし、オリンピックなど大きな国際大会を来年に控え、トップアスリートの練習や試合が外出規制の対象外とされていることは、他国においても注目されるに違いない。
ケン・ロウズ