サーフィンの歴史の中で数多くのフォトグラファーやフィルマーがいくつもの歴史的なシーンを残し、サーフィンのすさまじい発展を記録してきた。その巨匠たちの名を挙げればきりがないけれど、インターネットやスマホが普及している今の時代では、誰でも瞬時に写真や動画を気軽にシェアできるようになってきた。サーフフォトグラファーを新たに目指す人が減ってきているなか、サーフィンの美に思いを込めて活躍している若手のフォトグラファーがいる。
日本屈指のサーフアイランド、新島に生まれ育った21歳の森碧廉(もりあれん)。その独自のセンスでアートとアクションを融合し、世界の錚々たるサーファー達が新島を訪れてはその瞬間を捉えてきた。小学校から趣味のお絵かきで芸術のセンスを磨いてきたアレンは、中学校でサーフィンとカメラにはまり、現在は大学で写真を専門に勉強しながら地元新島や海外、またJPSAの大会でも写真家として活躍している。
春休みで新島に帰省していたアレンに、写真にかける思いと、これからの目標をビールを片手に聞いてみた。今注目の若手フォトグラファーの一人「森碧廉」を、彼のお気に入りの写真と共に紹介しよう。
カメラにはまったきっかけ
中学校の時におじいちゃんにもらったデジカメで写真を撮り始めたら、レンズが交換できるのが欲しくなって、高1の時に誕生日にニコンの一眼レフを買ってもらいました。そこで一気にカメラ熱が入り、新島の風景やローカルサーファーの写真を撮るようになりました。
サーフィン写真の経歴
地元新島にはプロサーファーがよく訪れるので、写真を撮る機会がたくさんありますが、本格的にサーフィンの写真に力を入れ始めたのは2019年。バイト先の湘南の不動産屋エムズハウジングがサポートして、約1か月間ハワイに行き、サーフィンの写真を中心に、冬のノースショアを経験しました。その後はプロサーファーの佐藤魁とインドネシアやオーストラリアのトリップに同行して写真や動画を撮りました。新島と種子島のJPSAショートボードの大会と、茅ヶ崎のロングボードの大会でもオフィシャルカメラマンをやらせてもらったんです。
写真を撮るときのポイント
構図。フレームの中の配置や、被写体の動きなどが強調されるように撮りたいと思っています。それぞれの要素が画面の中で占める割合など、注目して欲しいところに目を引くように考えています。学校ではフィルム写真を撮ることが多くて、1枚1枚丁寧に撮るのが好き。
今注目の写真家
特定の人はいなくて、独自のスタイルで写真を撮ってます。
好きなサーファー
始めたころはCTの選手にあこがれていたんですが、今は大会よりフリーサーフィンが好きで、トレン・マーティンみたいにスタイルが良くて、いろんなボードに乗って自由にサーフィンしている方が格好いいと思うし、自分もそうなりたい。
写真のインスピレーション
自然が好き。海、空、植物を撮るのが多いかな。
波がいい時は、サーフィンかカメラか悩むことはない?
プロと行動している時は自分が海に入る選択肢はないんです。そこは、自分がサーフィンしたい欲よりも、写真を撮りたい欲の方が大きくて。写真スイッチが入れば、別にサーフィンできなくてもいいと思っちゃいます。
今後の目標
直近の目標としてはフィルムで取った写真のフォトブックを作りたいです。新島の自然や景色を伝えたいし、サーフィンのフォトブックも作りたい。大学を卒業したら、一度新島に戻り、仕事をしつつ奨学金を返済して、ある程度貯金ができたら海外でワーキングホリディに行き、英語を身に着けて、他の国の生活を経験したいです。
高校生の時は写真を仕事にしたかったし、それで大学に入ったけれど、去年あたりから気持ちが変わって、今はお金だけのためではなく、楽しみたいという気持ちになっています。その方が楽しく続けられると思うから。
▲村上舜、新島にて
初めてOOを教えてください
初サーフ:小学校低学年。でも、はまったのは中学校2年、同級生らと一緒に。
初トリップ:中3のころに伊良湖に行ったけれど、とにかく水が冷たくて、まだ初心者だったからあまり楽しむ余裕はなかった。
初海外:高1に家族で行ったオーストラリア。
初恋:ちゃんとした初恋は大学に入ってからかなぁ。新島の狭い社会の中であまり恋は芽生えなかった(笑)。
最後に一言
自分の両親と新島のローカルに感謝したいです。今考えてみれば、新島のローカルにいろいろ紹介してもらったり、良くしてもらってやりたいことがたくさんできたと思います。
コロナ禍で大変な中ゆっくり写真と向き合い、技術を磨いてきたアレン。プロの写真家にならなくても、きっと独自の感性でプロ級の写真を撮り続けるだろう。ぜひ彼のInstagramをチェックして、感動、また癒されてください。
ケン ロウズ