桑田佳祐が監督・音楽を担当し、1990年の公開後全国で350万人動員を記録した大ヒット映画「稲村ジェーン」が、6月25日にデジタル・リマスタリング化され、Blu-rayとDVDでリリースされることが決定した。
公開翌年にレーザーディスクとVHSが発売されて以降は一切パッケージ化されず、映画館だけでなくTV・インターネットも含めて現在は観ることがほぼ不可能だったが、30年の時を経て、サザンオールスターズのデビュー43周年記念日に観ることができるようになる。
映画の舞台は、1964年に開催された東京オリンピックの翌年、1965年の鎌倉市稲村ヶ崎。オリンピックが終わり、時代の変わりとともに次から次へといろいろな“波”が打ち寄せてくる、その渦中の若者たちのひと夏を、音楽と共に描いた作品だ。
当時ミュージシャンが映画監督を務めることはめずらしく、また監督によって10数曲もの新曲が書き下ろされた他に類をみない挑戦的な作品で、主題歌の「真夏の果実」や挿入歌の「希望の轍」をはじめとした、時を超えて多くの人々に愛され続けるサザンの数々の名曲が生み出された伝説の“音楽映画”とも言える。
奇しくも2021年の今年は、この映画のモチーフとなっているサーフィンが公式種目に加わった東京オリンピックが開催されようとしている年であり、さらに伝説の大会「稲村クラシック」の前身である「イナムラサーフィンクラシック」の初開催から40年という節目の年でもある。
今から約30年前。まだまだひよっこの私が監督のみならず、欲張って主題歌や音楽もやってしまったという、若気の至りの極致ともいえる作品。そんな「稲村ジェーン」が今更ながら作品化されるとのこと。うれしくもあり、同時に恥ずかしい気持ちもいっぱいです。
あのとき映画を作らせていただいたこと、そして同時に並行して音楽も作ったことなどは、我が人生を振り返っても本当に大きな経験であり、大切な財産となりました。計り知れないほど沢山のものを習得出来ましたし、その後の私にとって大いなる糧になりました。あの時関わっていただいた皆さんには、ただただ、感謝の想いで一杯です。本当に、ありがとうございました!!
映画そのものの出来?これは全て監督であるアタシの責任であります(汗)‼ どうか大目に見てやってください。
「暑かったけどヨゥ、短かったよナァ、夏。」
桑田佳祐監督
そんなふうに感じられる季節が、どうか今年は皆様のもとにやってきますように!!
新型コロナウイルスによって大きく時代が変わり、そしてようやく2回目の東京オリンピックが開催されようとしている今、当時とはまた違う見方ができるはずだという。当時映画館で観た方は改めて、また初めて観る方もこの機会に「稲村ジェーン」の世界と音楽に浸ってみてはいかがだろうか。
なお、完全生産限定版(30周年コンプリートエディション)には、主人公ヒロシの愛車であり、この映画の象徴的な存在として登場する「ダイハツ“ミゼット”」の1/50ミニチュアモデル(稲村ジェーン オリジナルカラーver.)、場面写真や、当時のスタッフが大切に保管していたという桑田の直筆による撮影コンテなどを掲載して製作されたスペシャルフォトブックが付属する予定。
さらに限定版・通常版共通で、映画本編とは別に、特典DVDが収録されることも決定。ショップによっては予約・購入特典もあるようなので、特設サイトを要チェックだ。
Blu-ray & DVD『稲村ジェーン』
2021年6月25日(金)リリース
・完全生産限定版(30周年コンプリートエディション)Blu-ray / DVD BOX 11,000円(税込)
・通常版 Blu-ray / DVD 7,700円(税込)
■STORY
いつも、なにか、ものたりなかった。若者たちはいつの時代も退屈な日常の中で生きている。
夏の終わりのある朝、ロングボードをミゼットに積んでヒロシ(加勢大周)が稲村ヶ崎に帰ってきた。ヒロシを待ち受けていたのは、伊勢佐木町のチンピラ、カッチャン(的場浩司)。ボスの骨董壺を横流ししたラテン・バンドのリーダー、マサシ(金山一彦)を追っていると言う。そんな所へ、横須賀の波子(清水美砂)という飛び切りイイ女が現れる。
奔放で情熱的な小さな台風、波子を中心にヒロシ、マサシ、カッチャンに奇妙な友情が生まれ始めた頃、稲村ヶ崎に台風が近づいていた。
■CAST
加勢大周 金山一彦 的場浩司 清水美砂
尾美としのり 古本新之輔 泉谷しげる TOMMY SNYDER PANTA
伊武雅刀 下元史朗 伊佐山ひろ子 設楽りさ子 原 由子
伊東四朗 草刈正雄
■STAFF
監督・音楽:桑田佳祐
脚本:康 珍化
■MUSIC
主題歌:サザンオールスターズ「真夏の果実」
挿入歌:サザンオールスターズ「希望の轍」他