ディラン・グレイヴスが世界中の変な波を紹介する「Weird Waves」
シーズン3はコロナ禍で世界には飛べず、アメリカ国内の波に焦点を絞り、エピソード1では3種類のナイトサーフィンを楽しんだ。
エピソード2はタンカーサーフィン。
船の移動によって起きる波では、パンデミック直前に公開されたシーズン2でまるでラグランのようなポルトガルの完璧なフェリーサーフィンがあったが、今回はオイル、ガス、荷物を運ぶタンカーによって起こる波を追い求めた。
場所はメキシコ湾に面するテキサス州のガルベストン。
ここはデイナ・ブラウン監督の『STEP INTO LIQUID』でも紹介されたある意味「Weird Waves」のメジャースポットで、映画でも案内役を務めたジェームスとピーターがディランをナビゲート。
ジェームスはサーフショップを経営、タンカーサーフィンのガイドも仕事にしている。
タンカーサーフィンの条件
タンカーサーフィンは常に良い波が起こるのではなく、風が合った良い潮の時間帯に適切なタンカーが通り、なおかつ天候も良いという条件が揃った時がチャンス。
水路を通ったタンカーの幅、長さ、重さ、スピードで波の良し悪しが決まるそうだ。
ポルトガルのフェリーサーフィンとの大きな違いは、波に乗れる距離が果てしなく長いという点。
波質はロングボード向けのマッシーだが、長い時は5マイル(約8km)も続くそうだ。
つまり、タンカーサーフィンは一日一本乗れれば十分。
その一本を選ぶのに労力を費やす特殊なサーフィンになる。
ディランの初タンカーサーフィンは8分間にも及んだ。
タンカーサーフィンの特徴として2隻のタンカーの波が交わるとバックウォッシュが生まれるが、それもまた楽しみだ。
長いボードを使用したファーストライドで感覚を掴んだディランは次のセッションで短いボードを持ち出し、ターンを繰り返した。
ガルベストンでのタンカーサーフィンの歴史
ジェームスとピーターが開拓したガルベストンでのタンカーサーフィンの歴史は1996年まで遡る。
エビ漁船の漁師が屯う港の古いバーで酒を飲んでいたジェームスとピーターは、驚くような腕前の船長に出会う。
彼は気難しい人物で、いつも独り言を言いながら孤独に飲んでいた。
初めてボートを購入したばかりのジェームスは座礁しないような安全な航路について恐る恐る尋ね、船長が水路に設置された目印を頼りにしていることを知る。
その目印をタンカーサーフィンにも活かせると思いついたジェームスとピーターはそれまで数秒しか乗れなかった波を数分に伸ばすことに成功するのだ。
ジェームスとピーターのお気に入りのポイント名は「Moms」
由来は『母はいつも特別なことをしてくれるから」
ディランを歓迎するように最後の「Moms」でのセッションにはイルカも飛び入り参加した。
「このグラッシーな波でイルカと波に乗る直前にジェームスに’Moms’の話を聞いたんだ。鳥肌が立ったよ。サーフィンのほとんどのことがそうであるように、特別な感じだよね。彼らはここで生きている。最後に’ありがとう母’と言いたい」
ディラン・グレイヴス
(黒本人志)