「何故ブラジリアンは他国より団結心が強いのか?」 – F+

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ロットネストアイランドがスタートしてますが、その前のマーガレットリバーはフィリッペとタチアナ。まぁタイトルレースを面白くするためにはうってつけのリザルツ。本命と対抗ではないところでワンクッション、みたいな。なんかなぁ、ストーリー展開的に理想的過ぎて、あまりにもあまりにも。

PHOTO: © WSL / Miers

しかもジャッジがだいぶ見世物優先的なことになっていて、きっと現地に行ってたらキーキーになってたんだろうな、と思う。少なくとも今までのツアーやジャッジに慣れ親しんだ人から見れば、ワオ! な瞬間がひとつ入ってればいいわけ? みたいな、なんか意向は明確にわかるけど納得できないジャッジかなぁと思う。ぶっちゃけ、技術は未熟でも根性勝ちアリな感じ。しかもシーディングルールが少し変わっていて、基本的なオーダーはあるものの、シーディングですら最終的にはオフィスに決定権があるような感じなので、それってどうなんだろう、みたいな。

とはいえすべて画面上でしか見ていないので、それを語る立場にはないけど、なんかねぇ、このまま興行化路線を突き進んでプロレスショーと化していった先に何があるのかなぁ、という感じで興味も薄れていくわけなのだよ。ジョンジョン、ケリー、コロヘのアメリカトップ3を欠いたロットネストってのもビミョーっちゃビミョー。

タイラー・ライトのレインボー・フラッグとか、コナー・オレアリーのオーストラリア/日本のデュアルフラッグとか、フラッグ問題まったく気にしていなかったので、見ておこうかな、ぐらい。タイラーはツアーから離れた時にLGBTでどうこうみたいな話があって、昔の女子にはたくさんあったけど、最近は珍しいかな。まぁ、オーストラリアってその辺ものすごくオープンなんでね。日本人の感覚だと、え、カミングアウト? みたいな感じだけど、むこうじゃ、あ、そうなのね、レベル。

Photo: WSL / Keoki Saguibo

今回はロスの代わりにヴォーン・ブレイキーを迎えての第18回。オージーノリの冗談が笑えるし、最後の失われた国別応援合戦みたいな部分は、サーフィンがスポーツ化してサーファーがアスリート化して消えていった古き良き時代。「今はフィルマーやコーチがキャリーするんだ」ってミックの言葉が実に言いえて妙というか、そうだよね、だからつまんないんだよ、って感じ。まぁ、だからってあのブラジリアンの大騒ぎをヨシとする、って話じゃないけど。ではまいりましょう。

1:現状トップ5にオーストラリアのサーファーがひとりも入っていないけど、この先上がってこれると思うか?

ミック:来ると信じてる。ライアン・カリナン、モーガン・シビリック、ジュリアン・ウイルソン、彼らは負けはしたけど、サーフィンは悪くない。コンスタントさに欠けるのが問題。シーズン序盤よくあることだけど、そろそろエンジンかけないとね。

ヴォーン:何とかしてほしいとは思うけど、結構大変だと思う。今トップ4、ガブリエル、イタロ、フィリッペ、ジョンジョンそして彼らのここまでの試合ぶりを考えると、この4人は固いところで、そうなると残りは1スポット。そしてその下がジョーディ、グリフィン、カノア、みんな調子がいい。その下にオーストラリアで最上位の選手ライアン・カリナンだ。現状の差やこの先の波のこととかいろいろ考えると。ライアンには優勝が必要。う~ん、実質最後の1スポットをゲットするのは難しそうに見えるよ。

ミック:最初にトップ5をあげたときにイーサン・ユーイングを入れたけど、ジュリアンもきそうだとは思った。でも今ひとつうまくいってない。僕は100%オージーを応援してるし、今エンジンをかけないとおいていかれるよね。

ヴォーン:そうだね、って言いたいけど、頭の中では、ないな、って感じちゃう。でもミックはけっこう後半からワールドタイトルを手に入れたりしたからわかるだろうけど、まだチャンスはあるよね。だから誰か頑張ってほしいね。

ミック:あぁ、2試合ぐらいいい成績出せば追いつくから。

2:ロットネストのワイルドカードにタジ・バロウが登場するけど、どう思う? タジは楽しむことをメインにやってくるか、マジでトップシードを倒しに来るか?

ヴォーン:当然楽しんでやると思う。そこは疑う余地はない。それで活躍してくれたら申し分ないね。タジの最後のヒートは2016年のフィジー、ジョンジョンとのヒートだ。
あの時のタジはガンガン攻めたけど、あの爆発力があればね。

ミック:僕は応援するね。WAに行ったときに一緒にサーフィンしたけど、彼はいまだにいいサーフィンしてた。特に3-4フィートのバックハンドはキレてた。タジは楽しんでやってる時のほうがいいサーフィンできるから、リラックスしてやれればいいと思う。タジはいつでも30分しかサーフィンしないからヒートのタイムスケールはあってると思うし。

ヴォーン:ちょっと待ってくれ、俺さっきからオーストラリアにネガティブな意見ばっかりになっちゃってるじゃん。トップ5には女子しか入らない、タジはやられる……家から出れないよ(笑)。しかしタバルアの時のタジの引退パーティはすごかったよね。あれまたやるならすぐにWA行かなくちゃ(笑)

ミック:優勝でもしてみろよ、島が流れてっちゃうぜ(笑)。

3:オリンピックまであと70日ぐらいだけど、コロヘ、ジョンジョンが怪我でこの試合欠場、アメリカチームはどうなっちゃうんだろう?

ミック:どんな感じのケガかにもよるよね。もしコロヘとジョンジョンが回復間に合わなければケリーってことになるだろうけど、ケリーはあの日本のコンディションは好きじゃない。まぁ、サーフィン界初のオリンピックにケリーってのはみんなが望むところではあるけど、その次ってなるとグリフィンか。ジョンジョンとコロヘはドリュー・マルコスっていうサンタアナの有名なアスリート専門医と回復を目指してるから、間に合うといいね。

ヴォーン:いや~、てんやわんやなんじゃない(笑)。あと70日で選ばれた上位2名がどうなるかわからないって……こんな混乱見たことがないよ。考えられる限りでの最悪の状況じゃない?

Photo: WSL

ミック:ジョンは怪我から復帰してすぐに活躍できるから、ちょっとサーフィンから離れてても問題はないと思う。ケリーはああいう大きな舞台は大好きだ。注目を浴びるのも好き。だからもしその舞台に立てばみんなが彼を見る。その一挙手一投足が話題になるから盛り上がるだろうね。まぁ、結局のところ、誰が出るのか、ってところだね。

ヴォーン:ブラジルチームに金メダルを渡す感じかな? 女子のほうはアメリカチーム最強に見えるけど。

ミック:スポーツベットだったらたぶんツートップがブラジリアン、ガブとイタロがケガしてもフィリッペがいる。俺が賭けるならガブ、イタロ、カリッサだね(笑)。

4:ブラジリアンたちは団結心が強くて、試合でお互いを応援しあったりしてるけど、オージーやアメリカンには何でそういう感じがないんだと思うか?

ヴォーン:無いわけじゃないだろうけど、ブラジルのそれはすごいよね。ブラジリアンが持ってる情熱みたいなものと、現実に今サーフィンってスポーツをブラジルが圧倒してる盛り上がりがあると思う。そういうのが何でオージーやアメリカンにないのかっていうと、コンペティター同士の友情みたいなものが薄いのかも。

ミック:チームって考えると、どんなチームでもチームリーダーが必要だ。ブラジルには明確にそれがいる。エイドリアーノ・デ・スーザやジャドソン・アンドレ。ブラジリアンたちは彼らのことをキャプテンって呼ぶ。いつだって男女ともファイナルまでしっかり見てて応援してるんだよ。
僕がツアーにいたころは、ネーザン・ヘッジやミック・ロウ、ボー・エマートン、フィル・マクドナルド、トム・ウイッタカーは特にすごいサポーターだった。僕がワールドタイトルを取った後、みんなから追われる立場になった後でさえ、トム・ウイッタカーは最後まで応援してくれた。それはものすごく心強かったし、そういうのを今のオージーたちは失っちゃったんじゃないかって思う。誰がチームリーダーなのかを考えて、リーダーを中心にみんなで応援しあう。コンペティター同士であってもそういうことは必要だと思う。
今はさ、フィルマーやコーチなんかがビーチキャリーするんだ。昔はケリー対オージーのファイナルなんてことになったら、オージー全員がそこにいて応援したもんだし、勝てば選手がキャリーした。アンディ対ケリーでもね。みんなそこにいてみんなが盛り上がった。それはとても楽しい思い出だし、そういうことで友情が芽生える。たぶんエイドリアーノやジャドソンはそういうのをほかの国のサーファーがやるのをずっと見てきて、いつか自分たちもそうしたいって思ったんだろうと思う。

ヴォーン:君がツアーに戻ってきて応援団長やれよ(笑)

ミック:ネーザン・ヘッジを雇えばいいんだ(笑)。彼以上にエネルギッシュに応援できるヤツはいないからね。旗10本ぐらい持って、うりゃ~、みたいな(笑)。

ココ:キャプテンアメリカはコロヘかな。アメリカ人のヒートすべてにいてほしい。

ミック:コロヘはキングオブキッズだよね。サンクレメンテの象徴。旗持ってきてツアーの全試合でアメリカをまとめてくれそうだ。グッドチョイス。

F+編集長つのだゆき

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