photo : WSL world surf league, US open tennis

「ファウンダーズカップを僕はこう見る!」-サーフィンジャーナリスト・李リョウ

シリーズ「サーフィン新世紀」④

未来のサーフィンという表現がピタリとはまるウェーブマシンが正式にローンチする。自然の波でのみ可能と思われてきたクオリティーに、サーフランチの人工波がついに到達したことを高らかに宣言するときがついにやってきた。2018年、世界のサーフィンはカリフォルニアのレモーから新しい世紀へとその一歩をついに踏み出す。

ケリーが子供の頃に描いたウェーブマシン

波の少ないフロリダで育ったことがウェーブプールの夢の実現へつながったというケリー・スレーター。11度の世界チャンピオン達成の先にこの壮大な夢が心中に秘められていたとはいったい誰が予測しただろう。彼の持つポジティブシンキングのパワーにはいまさらながら驚嘆する。そしてついに彼の夢が現実となったサーフランチでWSLの公式戦ファウンダーズカップが5月5日と6日の日程で開催される。

サーフランチの公式戦はCTツアーの一つとして開催されると私は思っていた。これは9月に決定しているが、突然のように3カ国+ヨーロッパ選抜+国際選抜の5チームによる対抗戦が発表になった。「えっチーム戦?」とびっくりしたサーファーも少なからずいると思う。考えてみれば現行のルールではウェーブプールでの試合の開催は採点方法などでクリアーしなければならならない諸問題がある。その前哨戦というかリハーサルとしての役割も担う狙いがこの対抗戦にはあるのだろう。さらに東京オリンピックへのPRというWSLの密かな願いがあるのも当然と見て良い。その2020年に自然の波で開催されることにWSLはいちおう同意はしているが、プアーなコンデションで金メダルが争われる可能性に懸念を感じているのも正直なところだからだ。

photo : WSL world surf league

さて、大人な話題はこれくらいにして、単純に考えてもこのファウンダーズカップは面白いと思う。
たぶんこれはゴルフのライダーカップ選手権をヒントにケリーが提案したのかなと思う。ちなみにライダーカップとはアメリカのプロ選抜とヨーロッパのプロ選抜がチームで戦うゴルフの試合で欧米ではすごく人気が高い。そのチームチャレンジは歴史が長く代表として選ばれるだけで大きな名誉と感じるプロゴルファーは、それが賞金の無い試合にもかかわらず他の試合を休んでまで調整するといわれる。もし今回のファウンダーズカップがこれからも開催されるようになれば、ゆくゆくはライダーカップのような名誉の高い試合に成長する可能性もある。そういう意味でもこの第一回目のファウンダーズカップは見逃せない。

180min X 1/50waves = 3.6min

それでは WSLより公式に発表されたアジェンダを基に試合の成り行きを想定してみよう。ラウンド数はファイナルを入れて4つ。一日目に二つのラウンドが昼休憩やロックコンサートを挟んで行われる。出場選手は25名で一人がライトとレフトの波でサーフするからラウンドあたり50本の波が必要となる。それを9時からスタートして12時くらいまでに消化するというから、180分を50で割ると3.6分。4分弱のインターバルならば、選手が波に乗ってその映像を3回ぐらいリプレイしてアナウンサーが興奮し、解説やジャッジがテクニックを分析し、その間に次の選手が準備して、と観客のテンションは維持しつつ試合は続けられそうだ。当初はインターバルが15分くらいかかると噂されていたことを考えるとすばらしい改善だと思う。とはいうものの4分弱で水面がクリーンになるかそれともメンザワのままで次の波がスタートするのかは試合が始まってみないと判らない。

photo : WSL world surf league

プールを囲む特設スタンド

さらに試合の流れはどうなるんだろうか?詳細がよくわからないから推測するしかないが、おそらく一人の選手がライトとレフト(その逆かもしれない)の波に続けてサーフして次の選手に交代するのだろうか、それともライト、レフトと選手が入れ替わるのかな?いずれにせよそれが3時間続くとどうかなあ?ちょっと退屈するかもしれないね。相撲観戦のような感じになるかな?お目当の選手や応援するチームの出場時間が判るから、それまではちょっとビール飲んでいようとか協賛各社のブースへ見物に行こうと席を立つ人もいるかもしれない。(指定席ならなおさらだね)ちなみに試合会場のイメージだけどプールの周囲には仮設のスタンド席がぐるりと取り囲むようになるだろうから、さながらテニスの全米オープンのような会場の雰囲気になるのかな?。とにかく未来のオリンピックもこうなるんだろうなと誰もが想像するだろうね。

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とりあえず、一日目は二つのラウンドを消化して終了。全員の得点がずらりと掲示板に並び、5チームそれぞれの合計点で順位が発表されるのだろうと思う。でもこの日は予選落ちというものはまだない。結果だけ知らされて二日目に突入する模様だ。それぞれのチームはキャプテンを囲んで作戦会議の夜となるかな。

翌日二日目は午前中に第3ラウンドが行われて、その結果上位3チームが午後のファイナルラウンドへと進む。どのような結果になるかはまだ想像もつかないけれど、同じ波での戦いだからワイプアウトしない限り得点に大きな差は出ないだろうと私は予想する。おそらくフィギュアスケートのジャッジングのような細部が採点のクライテリアとなっていくだろう。例えばオフザリップ時のボードの角度やエアーの成功度から、ひょっとしたらバレルの時間も計測されるようになるかもしれない。バレルセクションを抜けてリップやエアーの出来しだいが高得点に結びつくということになるかな。

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波のサイズがマックスに達する!?

チームのキャプテンは合計点や団体の順位を考えて作戦を考えるようになるだろう。次の選手がリップで波をメイクすれば何点とか、エアーでギャンブルして逆転を狙うとか、つまり第3ラウンドの三位と四位の争いが生き残りを賭けた争いとなりキャプテンの采配が鍵を握るかもしれない。そしてファイナルは予選の得点をそのまま加算していくのかそれともゼロから再スタートだろうか?たぶんゼロから再スタートの方が面白いんじゃないかなと思うけどね。天才的な対応力を持つ選手ばかりだからファイナルではすごい技が飛び出すかもしれない。

さらにこれも私の勝手な妄想だけれど、いままで見たことのないようなサイズやクオリティーの波をサーフランチがこの試合で披露するかもしれないなと密かに期待している。人工波でスタンディングバレルとかが見られたら世界中で大騒ぎだよね。

代表選手たちからファウンダーズカップの勝敗を予想してみよう。

USAチーム

ケリーがキャプテンとなったアメリカチームはジョンジョンとコロへのエアーに注目が集まりそうだ。カリッサの太いラインがどう評価されるか?ケリーの怪我が心配だけど復調していたらローカルナレッジ?ですごいパフォーマンスを披露するかもね。コートニーもがんばれ。ケリーは絶対に勝つと密かに燃えてるよ。彼にとって負けるなんてありえないシチュエーションだから。

ブラジルチーム

メディーナとトレドとデスーザのトリオはかなり手ごわいと思う。フェレイラやヤゴ・ドラも見たかったけどね。ウイメンズのがんばり方しだいで優勝も狙えるね。でもリマとヒンケルの結果では予選落ちもあり得るかな?団結力はここが一番かもね。

オーストラリアチーム

エアーが勝敗のカギを握りそうだからそれを期待できるのはジュリアン・ウィルソンだけ?ウィルコの垂直バックサイドやミックのパワーハックで何点稼げるか?ステファニーとテイラーは鉄板でウイメンズ最強伝説。彼女たちのバックアップで予選を通過し、その勢いに乗って優勝?総合力では一番かな。

ヨーロッパチーム

ジェレミーもモライスもフィオラバンティも堅実に得点稼ぐけどホームラン出せる人がいないね。あとは女性陣がどれだけ踏ん張れるかだね?コラピントを助っ人でどう?笑

ワールドチーム

修正能力の高いカノア五十嵐だから第3ラウンドにはすごいサーフィンを披露する可能性があるね。高い得点を出すクレバーさも期待できる。ジョディーが心強い兄貴だな。体でかいのに小波も上手だしスプレーがハンパないからね。ボーレズはジャッジ受けするカービング炸裂するだろうね。となるとペイジとビアンカの出来次第となりそうだ。

優勝の行方は?

チーム戦だから一人だけがすごい結果を出しても優勝は難しい。そうなるとウイメンズの結果しだいが団体戦の結果に直結するかなと予想できる。つまり第3ラウンドまででメンズの得点が拮抗した場合、オーストラリアはステファニーとテイラーが勝利の女神となりそうだ。だから僕は、優勝がオーストラリアで、2位はカリッサとジョンジョンの活躍でUSA。そしてブラジルのメンズがエアーかまして3位。4位がワールドチーム、5位がヨーロッパという予想だけど、みなさんはいかがでしょうか?

ファウンダーズカップは2018年5月5日と6日にカリフォルニアのレモーにあるサーフランチで開催されます。詳しくは www.wslfounderscup.com

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李リョウ

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