7月25日、東京2020オリンピックのサーフィン競技が、千葉県一宮町の釣ヶ崎海岸(通称:志田下)で遂に開幕した。
競技初日は男女のラウンド1~2の計14ヒートが行われ、40名全ての五輪代表選手が登場。日本代表「波乗りジャパン」は4名ともラウンド3へ駒を進めた一方、男女各4名の選手がラウンド2でオリンピックの舞台から姿を消すこととなった。
試合開始の朝7時時点、前日までと変わり朝からオンショアの影響が出ていたが、波は前日よりも若干のアップしており、後半にはムネ~カタサイズとなった。
1ヒートは30分、ヒート間に設けられた「ギャップタイム」が10分、マキシマムウェーブは25本に設定された。
波乗りジャパンの活躍
男子ラウンド1ヒート1に登場した大原洋人は、ブラジルのイタロ・フェレイラとエアー合戦を繰り広げ、イタロに続き2位でラウンドアップ。日本代表によって幸先の良いスタートを切った。
続くラウンド1ヒート2で、五十嵐カノアはじっくりと波を待ちながらも、ヒート中盤にかけて2本を揃える。その後もリードを保ち、まだ60%程度のサーフィンとしながらも1位通過でラウンド3へ駒を進めた。
波乗りジャパン女子の前田マヒナ、都筑有夢路の2名は、ラウンド1で本領発揮できないまま敗者復活のラウンド2行を強いられたが、ラウンド2の同ヒートに出場した2人は調子を上げ、都筑が1位、前田は3位でラウンド3へ進出した。
ジョンジョンの怪我は
五輪前から何度も話題にあがっていたジョンジョン・フローレンスとコロヘ・アンディーノの怪我。
コロヘは静波での事前合宿からエアーを連発するなど、状況はかなり回復していることが伺えたが、ジョンジョンについてはプールではサポーターを付けて練習をしていたこと、五輪前日の公式練習でもかなり抑え気味のライディングをしていたことから、開幕前から怪我の症状を心配する声多かった。
ラウンド1で、オーストラリア代表のオーウェン・ライト、モロッコ代表ラムジ・ブキアム、チリ代表マヌエル・セルマンと対戦したジョンジョン。インコンプリートで2点台を続出するなど、本来の実力を発揮できないままラウンド2行きを強いられた。
”負けたら終わり”のラウンド2では、ヒート後半にエアーも織り交ぜたマニューバーをコンプリートするなど、6点台を2本揃えて首位。五輪初日の敗退は免れたが、明らかに本調子ではないライディングに心配の声もあがっている。
R1は緊張してたんだ。今回は考えすぎないようにして、このコンディションで出来るだけのことをしようと思った。今回は午前よりもう少し波があっていいよ。(膝の)痛みも全くなくて、手術を受けてから日に日に良くなっていってるんだ。エアーもメイクできてストークしてる。
R2終了後のジョンジョンのコメント
ラウンド3では、ジョンジョンとコロヘがマンオンマンで対戦する。
カルロス・ムニョス
ポルトガル代表フレデリコ・モライスが、PCR陽性で棄権したことにより、急遽出場資格を得たコスタリカ代表のカルロス・ムニョス。
2日前にその通知を受けたカルロスは、コスタリカから急いで東京へ向かったが、道中の不運が重なり残念ながらヒート開始までに会場に到着することができなかった。
その一部始終をコスタリカのジャーナリスト、Blanca MadrigalがTHE SURF NEWSに伝えた。
2日前に彼が東京オリンピックに出場する機会があると知らされた時、私達はとても喜んでいました。コスタリカの選手は2人出場していますが、もう一人出場できると、コスタリカの国民全体が喜んでいたのです。
彼は空港のあるサンホセから離れた町に住んでいるのですが、不運にも天候が悪く殆どの道が通行止めになっていました。彼はSNSで「この町から出られるように助けてください」と呼びかけ、赤十字まで出動して国全体で彼が五輪に間に合うように助け、PCR検査もクリアました。
ところが、アメリアでの乗り換えに間に合なかったのです。今日は波も小さい予報だったので、何とか大会が遅延しないかとコスタリカの人々は奇跡を願い、彼は今東京に向かっていますが、その夢は叶いませんでした。
明日以降の見どころ
ラウンド1、2を終え、男女ともにベスト16が出そろった競技初日。
明日以降に行われるラウンド3以降は「本戦」の扱いとなり、マンオンマンのトーナメント形式で実施される。
ラウンド3で、波乗りジャパンの五十嵐カノアはインドネシアの和井田理央と、大原洋人はペルーのミグエル・トゥデラと、前田マヒナはアメリカのキャロライン・マークスと、都筑有夢路はタティアナ・ウェストン-ウェブと対戦する。
また、1週間程前にCT無期限休止を発表したオーストラリア代表のジュリアン・ウィルソンは、事実上この五輪が引退試合となる可能性もある。
明日7月26日は、朝7時に女子ラウンド3から開始予定。
(THE SURF NEWS編集部)