7月26日、東京オリンピックのサーフィン競技2日目が行われ、男女ラウンド3が進行した。
朝7時から女子ラウンド3が行われ、その後コンディションの悪化により、男子のヒートは90分遅らせてのスタートとなった。
日本代表・波乗りジャパンは、前田マヒナが敗退した一方、五十嵐、大原、都筑の3名は準々決勝進出を決めた。
波乗りジャパンの活躍
本日のヒートは女子のラウンド3からスタート。
日本人選手で最初に登場した前田マヒナは、現在CTランキング6位のキャロライン・マークス(USA)と対戦。波とのリズムが合っていなかった前田に対し、キャロラインは8.00ptのシングルスコアを含むトータル15.33ptを叩き出し悔しい敗退を喫することに。
しかしヒート7に登場した都筑有夢路は、同じくCT選手で世界ランキング4位のタティアナ・ウェストン-ウェブ(BRA)に対し、安定した試合運びを展開。良い波を見つけることができず合計15本の波に乗ったタティアナに対し、良い波を選んで確実にスコアした都筑が勝利し、QF進出を決めた。
男子ラウンド3第1ヒートに登場した五十嵐カノアは、日本人の母親を持つインドネシア代表の和井田理央と対戦。
ヒートは序盤から五十嵐が主導権を握って進行する展開で、中盤には8.00ptのエクセレントスコアをマーク。追い込まれた和井田も後半に高いエアーリバースをメイクするも、追随を許さずトータル14.00ptでQF進出。
また、風の影響が更に強まったヒート6に登場した大原洋人は、まとまり無いコンディションで苦戦を強いられる展開に。ミドルスコアを重ねてリードするミグエル・トゥデラ(PER)に対し、良い波を掴めず追い込まれていたが、そのままヒート終了かと思われた中、残り1分半で仕掛けたエアリバースで5.67pt、大逆転でQF進出を決めた。
ジョンジョン・フローレンスの敗退
ラウンド3ヒート2は、ジョンジョン・フローレンス対コロヘ・アンディーノのアメリカ選手同士の対決。
怪我の状況が心配されていたジョンジョンは前日よりは調子を上げ、ヒート序盤にレイバックで4.85ptをスコアし、トータル14本のライディングを行うなど積極的に攻めていたが、なかなかスコアリングウェーブを掴めず敗退した。
「ドクターに診断してもらって、日本に行くというのは自分で2日前に決めたんだ。まだ手術から回復する過程の初期だから、どの程度プッシュするべきかをかなり考えたよ。
アメリカ同士の対決になってなんてこったって思ったけど、イベントが進めばどこかで起きること。コロヘの最初のライディングは見てなかったんだけど、スコアを聞いたときに“何やってくれたんだ”って思ったんだ。でもそれでやる気がでた。
いい波を見つけるのは難しかった。ひとつ前のヒートでカノアがオープンフェイスのいい波乗ってて、同じような波を見つけようと思ったけど、僕がテイクオフした波は全部ビッグエアーセクションの波だったから、“オッケー、やるしかないね”って感じだったんだ。
ゴールドメダルを獲りたかったけど、ここでサーフィンをして、世界のベストサーファーたちと戦っただけでも嬉しいんだ。でもこの経験を活かして次のオリンピックにも出たいね。」ージョンジョン・フローレンス
コロヘは、ワールドタイトルを獲りにいくことと、ゴールドメダルを獲ることについて尋ねられると以下の様にコメントした。
「今は次のカノアとのヒートのことに集中していて、まだそこまで考えられてない。だけどジョンとはよくそのことについて話すよ。ジョンはツアーでとても成功していて、僕は何度かは高順位で終わったけど、ジョンは”イベントで優勝してもワールドタイトルを獲っても何も変わらない”と言うんだ。でも僕たち2人とも、コンペサーフィンだけが生きる道じゃないという考え方は共通してるかな。とにかくベストを尽くすよ。」ーコロヘ・アンディーノ
女子ラウンドの番狂わせ
WSL世界ランキング4位のタティアナを破った都筑有夢路と同様に、女子ラウンド3ではいくつかの番狂わせが発生。
第1ヒートに登場した7×ワールドチャンピオンのステファニー・ギルモア(AUS)は、癖のあるコンディションの中で良い波を掴むことができず、元CTサーファーのビアンカ・ブイテンダグ(ZAF)に敗退。
また、続く第2ヒートで登場したCT世界ランキング2位のジョアン・ディファイ(FRA)は、ポルトガル代表のヨランダ・ホップキンスに敗退。
見分けることが難しいコンディションで、ヨランダは8本、ジョアンは11本の波に乗ったものの、シングルハイエスト6.17ptをマークしたヨランダが、トータル10.84ptで大金星を上げた。
ジュリアン・ウィルソンの最後の国外試合
先日、WSLワールドツアーへの参戦を無期限に休止すると発表したオーストラリア代表のジュリアン・ウィルソン、32歳。
東京オリンピックが、ツアー参戦の休止前で最後の国外試合となり、ラウンド3では過去にワールドタイトルも争ったガブリエル・メディナと対戦。6点台を2本揃えて善戦するも、CTでずば抜けた強さを見せるガブリエルを前に惜しくも敗退した。
「今後しばらくはオーストラリア以外の試合に出場しないことになるけど、またツアーには戻ってきたいと思ってるよ。でも、今は海外旅行も難しく、オーストラリアの隔離もあるから、家族のために時間をとりたいんだ。」ージュリアン・ウィルソン
「ジュリアンがいつツアーに戻ってくるかは分からないけど、ジュリアンは自分と家族のためのベストな選択をした。ジュリアンにはいつか戻ってきて欲しいよ。彼はベストサーファーだし、僕たちはタイトルを争った仲でもある。常にレベルを引き上げてくれる存在だった。」ーガブリエル・メディナ
明日は最終日、波はさらにサイズアップの予想
当初予定では、7月27日(火)は準々決勝と準決勝、7月28日(水)に決勝と3位決定戦を予定していたが、北上する台風8号の影響と、今後の風向きの変更等も考慮して急遽スケジュールを変更。
予定を前倒しして、明日7月27日(火)に残りの全スケジュールを進行することを決定した。
明日は波がさらにアップし、早朝は雨風も強いコンディションが予想されるが、その分、見応えのある試合展開も期待できる。
東京2020オリンピック・サーフィン競技に最終日となる明日、午前7時より男子の準々決勝からスタート予定。第1ヒートは日本の五十嵐カノアと、アメリカ代表のコロヘ・アンディーノが対戦する。
オリンピックで初となるサーフィンの金メダルを手にするのは誰か。皆で波乗りジャパンを応援しよう!
(THE SURF NEWS編集部)