神奈川県足柄上郡大井町の温泉宿泊施設「いこいの村あしがら」跡地に建設中の人工サーフィン施設「la reyes shonan (ラ・レイエス湘南)」。今年10月の開業に向け、「神戸レイーズ」を運営する株式会社レスポンスエンジニアが、新たな特許技術を用いたウェイブプールや周辺設備の整備を進めている。
今回はTHE SURF NEWSが9月下旬に訪れた際の様子をお届け。
4.5へクタールの敷地に広がる複合施設
約4.5へクタールの広大な敷地には、2020年11月まで営業していた「いこいの村あしがら」の様々な設備が残る。10月の開業に向け、まずはサーフィン場やサウナ付き温泉の整備を進め、宿泊施設やグランピング施設なども徐々に整備していく予定だ。
入口となる本館には、宿泊施設やサウナ付き温泉、レストラン、宴会場、会議室、カラオケルームなどの所謂保養所的な設備が残る。開業時点では、1階の中庭に通じる部分をエントランスとして使用するほか、2階のサウナ付き温泉も整備予定だ。
全33部屋ある宿泊施設は、一般利用のほか企業にワ―ケーションスペースとして販売することも検討中。レストラン等、ほぼ居抜き状態で残っている飲食関連のスペースは今後利用方法を検討していくという。
本館1階から通じる中庭には、更衣室やシャワー、水遊びスペース、25mプールなどがあり、今後はバーベキュースペースも整備予定。25mプールは、プールとしての使用はせず、パドル練習やSUPヨガなどに使用する予定だ。
敷地の奥にあるテニスコート部分を、ゆくゆくはグランピングやオートキャンプ場にする計画もある。
低エネルギー低コストのサーフィン場
中庭を抜けて坂を下ると、元々テニスコートがあった場所に、約8500平方メートルのサーフィン場が広がっている。この施設は、神戸レイーズとも異なる独自特許の造波装置「グラビティ」を使用し、従来の人工波に比べ“低エネルギー低コスト”で開発運営できるのがウリだ。
ピンク色にペイントされた容器体が斜面を滑り落ちることでうねりを発生させ、底に組まれた地形により三角波が生成される。容器体の落とし方により様々なホレ度合いの波が生成可能だという。
取材時はまだ水を貯めている段階のため現物での造波テストは未実施だったが、平均で胸サイズの波が中心となる予定なものの、設定次第で様々なサイズの波が生成可能。容器体の走行距離や重量を変えることで更に大きな波も生成可能だという。
担当者は「ライディング距離は60〜70mで3マニューバー程度描けるようになります。波質は掘れ過ぎず、ショルダーの張った一枚ウォール波の設定で難しすぎない乗りやすいファンウェイブ。設定次第では掘れた波も、三角形のAフレームも生成可能です」と説明。
波の間隔は、神戸レイーズが1.5分なのに対し、ラ・レイエス湘南は1分置きになる見込みだ。
水は主に井戸水を使用することもあり、設定水位が溜まり次第の開業となる予定。水は場内を循環させ塩素消毒を行うとのこと。
水温はおおよそ外気温マイナス5℃になるため、その日の気温に合わせてウェアの用意をするのが〇。真冬の1~2月はメンテナンスのため休業する予定。
午前は乗る本数を確保、午後は運次第で波を独占できる可能性も?!
人工サーフィン施設利用料は、1セッション10,450円の予定だが、午前か午後かでセッション時間や予約有無が異なる。
■午前中
要予約
1セッション100分
定員8名
※7時~13時55分の4セッション
■午後
予約不要
1セッション150分
定員20名
※14時~21時40分の3セッション制、19〜22時はナイター利用
午前中は100分のセッションだが最大8名のため確実に乗れる本数が確保される一方、午後はよりセッション時間が長いため、その日の利用者数によってはごく少人数で150分乗り放題が出来る可能性もある。
ちなみに、貸切利用は午前なら1セッション100分で11万円、午後なら150分で16.5万円となる見込み。利用人数の制限はなく何名でも利用可能だ。
サーフィン施設利用料とは別に入場料1,500円も必要だが、サーフィン以外に温泉やビリヤードなどの様々なアミューズメント施設も利用できる。
まとめ
日本や世界で建設ラッシュのウェイブプール。世界には様々な造波装置があるが、それらどの施設とも異なるメイドインジャパンの新しい特許技術を使用した人工サーフィン場がまもなく誕生する。
「ラ・レイエス湘南」開業時には、サーフィン場、パドル練習場、サウナ付き温泉、1階エントランス部分のビリヤードなどアミューズメント設備が使用可能となる予定だが、今後バーベキュースペースやグランピング等も整備されればのんびり週末を楽しめる一大複合施設となる。9月下旬の取材時点で、サーフィン場は今後水が溜まるまでに2~3週間要し、造波テストを行った後1週間で開業とのことで、早くとも10月後半の開業となりそうだ。
また、本施設のある足柄上郡大井町にとって、元々「いこいの村あしがら」は町唯一の温泉宿泊施設であり、地域活性化の重要拠点とされてきた。昨年11月末の閉業にあたってこの拠点を失うことを惜しむ声もあるなか、事業譲渡を受けたレスポンスエンジニア。今後残りの施設をどのように活用し地域と連携していくのかにも注目だ。
「ラ・レイエス湘南」の詳細は、今後開設される公式サイトや専用予約サイトで更新される予定。
(THE SURF NEWS編集部)