15年間CTを回り、6度のCT優勝、2015年にはワールドタイトルを獲得したエイドリアーノ・デ・スーザ。
ガブリエル・メディナが2014年に獲得したワールドタイトルはブラジリアンとして初の快挙だったものの、その道を切り開いた一人としてエイドリアーノの名前を挙げることに異論はないだろう。
彼がツアーに入った頃、ツアーの主役はオージーやアメリカ人、ハワイアンが主で、ブラジリアンがワールドタイトルを獲得するのは先の話だと思われていたが、数年後にはランキング5位に食い込み、存在感を増してのちにブラジリアンストームの第一人者になった。
今やツアーの1/3を占めるブラジリアンの兄貴的存在であり、ブラジリアンストームのキャプテンとして頼れる存在だった彼だが、ワールドタイトルを獲得した2015年が選手としてのピークとなり、深刻な怪我にも悩まされた。
そして、2020年の秋に次シーズン一杯での引退を表明して2021年の最終戦で惜しまれながらもツアーを去ることになったのだ。
Red Bull制作「The Captain and the Storm」
彼の長年のスポンサーであるRed Bullが制作した「The Captain and the Storm」はブラジル・サンパウロの貧困層で育ったエイドリアーノが今は亡き兄に買い与えられた30レアル(約7ドル)のサーフボードから始まり、2015年にワールドタイトルを獲得、ブラジリアンとして初のパイプラインマスターに輝いた半生が描かれている。
2006年から2010年の間に壁となったケリー・スレーターを攻略するための努力。2015年1月に正義の代償として尊い命を失った親友のリカルド・ドス・サントス。ジェイミー・オブライエンの門を叩いて克服したパイプラインの波。
いくつもの困難を乗り越えて手に入れたワールドタイトルは多くの意味が含まれている。
「2015年に私の人生の中で最も衝撃的なあることが起こった。親友のリカルドの死だよ。彼は根っからのサーファーで、恐れを知らず、気難しい性格だった。彼は沢山のアドバイスをしてくれたし、’君は世界チャンピオンになる’と言ってくれた唯一のアスリートでもあったのさ。自分の腕には彼と同じタトゥー『強さ、バランス、愛』が入っているんだ」
エイドリアーノ・デ・スーザ
(空海)