2021年12月に圧巻のコンディションで開催されたBWTイベント『The TUDOR Nazaré Tow Surfing Challenge』の舞台、ポルトガルのナザレに2022年早々、あの時以上のスウェルがヒットして大きな話題になっている。
正確なサイズは不明だが、あるメディアでは60-80ftオーバーのスウェルと表現。
ナザレを象徴する岬の上にはその波を観戦するために多くの人が集まっていた。
上の映像は1月8日だが、2日間に渡ってクリーンで巨大な波が安定して割れ、『The TUDOR Nazaré Tow Surfing Challenge』で優勝したチャンボことルーカス・チアンカ、ジャスティン・デュポンを始め、個人で2位になったペドロ・スクービー、ペドロとペアを組んでいたニック・ヴォン・ランブ、マヤ・ガベイラなどのビッグウェーバーを震撼させていた。
「昨日のセッションにはまだ呆然としている。日の出から日没まで、本当に全てを出し切った。今まで見た中で最も大きく、最も完璧な波だった。自分にとってその日一番の波に乗ることは、エゴではないんだ。その夢を実現するために100%の準備とモチベーション、そしてコミットメントをすることが大切だと信じている。そのプロセスが道を切り開くのさ。チームのパフォーマンスにもとても満足しているよ」
ニック・ヴォン・ランブ
WSL視点の1月8日のナザレ
1月8日のナザレはすでにコンテストを終えたWSLさえも注目せざるを得ない完璧な波となり、現地に取材チームを派遣して記録を続けた。
WSLがフィーチャーしたのはコンテストで主役になったチャンボとジャスティン・デュポン、マヤ・ガベイラ。
公式サイトでドローン映像を惜しみなく披露している。
映像で見ても鳥肌が出るような巨大なナザレはまるでCGのようなスケール感であり、一般サーファーからするとこれがサーフィンする波であるとは信じられない危険性を感じる。
WSLはチャンボが乗った波を過去最大と表現しており、今後公式なサイズが分析されるだろうと記している。
また、バックハンドであのサイズのナザレに乗ったジャスティン・デュポンを絶賛、蛍光グリーンのボードでセットに巻き込まれたマヤ・ガベイラの勇気とジェットスキーのドライバーの腕を称えている。
天国と地獄
もちろん、巨大なナザレには死に結びつくような危険が潜んでいるし、ニック・ヴォン・ランブはWSLのインタビューで「ナザレでは常に最悪のシナリオを想定している」と話している。
今回のセッションで知り限り、ピエール・ロレはワイプアウトで意識を失い、肋骨2本と肩を傷めて病院に運ばれた。
ギャレット・マクナマラの義兄のCJ・マシアスは肘を脱臼して、鼓膜が破れるという大怪我をした。
ロス・クラーク・ジョーンズが岩場まで流れ、同じくジャスティン・デュポンも岩場付近まで流され、チャンボなどに救助された後に「この波で人生最大の恐怖を味わった」と話している。
このサイズでのナザレでのサーフィンはハードなトレーニングを積み重ねている彼らでも命がけ。
しかし、それでも入る価値がある波なのだ。
マウイ島のJAWSにもビッグスウェルが入る
2020年早々、ポルトガルだけではなく、ハワイにもビッグスウェルが入っていた。
『Da Hui Backdoor Shoot Out』が開催中のオアフ島に加え、マウイ島ではJAWSが割れるほどの大きな西ウネリが入り、今年最初のセッションになった。
WSLのJAWSイベントで3度も優勝しているローカルのペイジ・アームを含め、この日を待ち望んでいたビッグウェーバーが集結。
撮影された日はシーズン最初のウォーミングアップにふさわしく、一日を通して風が弱く、グラッシーで安定したウネリが入っていたそうだ。
なお、JAWSでは2022年3月31日までのウェイティングピリオドでBWTイベントの1戦『Quiksilver Jaws Big Wave Challenge』がスタンバイ。
今シーズンの傾向からすると開催する可能性も高そうだ。
(空海)