国際オリンピック委員会に加盟する世界最大のアマチュアサーフィン団体「国際サーフィン連盟(ISA)」が今回のロシア政府によるウクライナ侵攻に関する声明を発表。
ロシア国内でも反戦デモの規模が日に日に拡大しているが、プーチン大統領の侵略戦争は先が見えない争いに…。
ウクライナ侵攻に関するISAの声明
「ISAはウクライナとウクライナ国民に全面的に連帯し、ロシア政府による軍事行動を強く非難します。
現在、ロシアおよびその近隣地域では、ISAのイベントは予定されていません。また、この恐ろしい侵略が続いている間は、いかなる大会も検討されることはないでしょう。一般市民、選手、関係者の安全が最優先されなければなりません。
私たちはウクライナサーフィン連盟に連絡を取り、私たちの懸念を表明するとともに、すべての選手と愛する人たちが無事であることを望んでいます。
ISAは可能な限りウクライナのサーフコミュニティをサポートします。
この人道的な悲劇によって影響を受けたすべての人に思いを寄せ、一刻も早く平和が回復することを願っています」
2022年2月26日 カリフォルニア・ラホーヤ
ロシア選手「自分の国を恥ずかしく思う」
ロシア、ウクライナにもサーファーはいる。
50カ国以上の選手が集まるサーフィンの世界選手権『ISA World Surfing Games』にも両国が出場。
直近の2021年のエルサルバドル大会にもロシアは6名、ウクライナは3名の選手を派遣していた。
今回のウクライナ侵攻に関して、ロシア出身で現在ポルトガル在住のEgor Volkov選手は自身のInstagramで以下のメッセージを投稿している。
「平和と愛…そしてロックンロール。そしてNO WAR。
私は自分の国、そしてプーチンの決定を支持する人たちを本当に恥ずかしく思います。私はヨーロッパに住んでいて、ヨーロッパのニュースを見ています。私はロシアのニュースも見聞きしますが、この決定によって生命を脅かされている実際の人々の声も聞いています。そして、ロシアのニュースは嘘をついていると断言できます。
私はロシアにいる家族を愛していますが、このような事態には同意できません。ロシアの警察が平和的なプロテスタントを脅している間、ウクライナの市民は銃弾や爆弾から身を隠さなければならないのです。
ロシアの人々の生活もこれまでと同じようにはいかないでしょう。なぜロシアは人命を犠牲にしてまでウクライナの政治問題を解決しなければならないのか、2022年に行う方法とは思えないのですが…。
ヨーロッパでも間違った情報が流れているかもしれないが、キエフでは爆弾が落ち、平和な人々が殺された。それが彼らの国なのです。この「軍事作戦」に反対です。
ドンバスで失われた人々の命を軽視するつもりはないが、その問題を解決するのはロシアではありません。ウクライナは失われたインフラを再建し、復旧させるでしょうが、失われた命は二度と戻ってきません。
この恐ろしい瞬間に苦しんでいる人たちに心と祈りを捧げます」
ウクライナ選手「非論理的で説明のつかないこと」
一方、ウクライナ出身で現在バリ島に住む選手は自身のInstagramで以下のメッセージを投稿している。
「超現実。非論理的で説明のつかないことよ。
ロシアは自衛のための軍事作戦と言いながら、私たちの祖国ウクライナに侵攻して流血の責任をウクライナ軍になすりつけました。
ジョージ・オーウェルにはこんなことは書けなかっただろう。
両陣営で倒れた兵士たち。新たな未亡人、新たな孤児。破滅した家族。何のために?」
五十嵐カノアも反応
また、現在世界ランク2位で世界中を回っている日本の五十嵐カノアは自身のTwitterで以下のツイートをしている。
「なんという悲劇だろう。アスリートとして、ロシアのスポーツマン仲間が声を上げて欲しい。私たちの声を聞く必要がある」
What a tragedy. As an athlete, I hope my fellow sportsman in Russia speak up and don’t stay quiet. Our voices need to be heard ✌🏽
— Kanoa Igarashi (@KanoaIgarashi) February 25, 2022
スポーツ界でロシア排除の動き
今回のロシア政府によるウクライナ侵攻によってスポーツ界ではロシア勢を排除する動きが強まっている。
サッカーでは2022年W杯の欧州予選で対戦国のポーランドや、その次に予定されている国がロシアとの対戦を拒否すると表明しており、ノルウェー・スキー連盟は同国で開催されるW杯などの大会にロシア選手の参加を望まないと声明を発表している。
2月28日には、国際オリンピック委員会が全ての国際競技連盟に、国際大会からロシアと同盟国ベラルーシの選手や役員を除外するように勧告した。
今後は他のスポーツでもロシア勢を締め出す流れが避けられないだろうが、政治とスポーツは切り離すべきだという声もあり、波紋は広がりそうだ。
(空海)