競争が激化するウェイブプールシーンにおいて、新興勢力の一つであるカナダのブリティッシュコロンビア州を拠点にする「Endless Surf(エンドレスサーフ)」。
新型コロナのパンデミック宣言後にシーンへと登場したエンドレスサーフは、まだデモ施設の公開などもないのですが、すでに世界各地でのウェイブプール建設の予定を発表しています。
例を挙げると、フランス、ベトナム、オーストラリア、ドイツ、ドミニカなどとサーファーにとって馴染みのない国なども含まれています。
そのエンドレスサーフが、公式ウェイブテクノロジーパートナーとしてカナダのオリンピック強化指定選手などナショナルチームの統括団体である「サーフカナダ」と提携することを発表しました。
理由としては、ウェイブプールは海でのサーフィンでは実現できなかった反復練習が可能なため(同一の人工波を発生できるため)、サーフィンのスキルアップにおいてゲームチェンジャーと呼ばれているためです。
また、昨年の東京五輪でサーフィン競技がオリンピックデビューを果たした事や世界中にサーフパークが建設されていることから、サーファー人口の増加などスポーツとしての急成長が見込めるためとのこと。
ただ、気になるのはサーフカナダがトレーニングに活用するスケジュールは2023年初旬という点。現時点において存在するのか否かも分からなかったエンドレスサーフ搭載ウェイブプールですが、あと約1年で本稼働できる状態に持っていく予定のようです。
また、現段階で、カナダにエンドレスサーフ搭載のウェイブプールがあるとの情報も公開されていません。同社自体がカナダ拠点なのでデモ施設があってもおかしくはないですが、今後カナダ国内に新たな施設ができるのかにも注目です。
今回の提携について、サーフカナダでエグゼクティブディレクターを務めるドム・ドミックは以下の声明を発表しています。
エンドレスサーフの柔軟性の高い造波装置はセクション毎に波のタイプをカスタマイズ可能だから、我々サーフカナダはエキサイトしています。
エンドレスサーフ搭載プールが誕生すれば、プロ、ジュニア、アダプティブとあらゆるアスリートに与えてくれる価値の高さは計り知れないから、トレーニングセッションが楽しみでしょうがないです。
海の波のようにバラエティ豊かな波を発生可能だなんて、サーフィンと言うスポーツ全体において、とてつもないゲームチェンジャーです。
各国のウェイブプール活用の動向
今回のサーフカナダのようなナショナルチームによるウェイブプール活用の動きはすでに見られ、最も早かったのはオーストラリア。
2020年東京五輪のオリンピック強化指定選手のトレーニンググランドとして、ケリー・スレーターのウェイブプール「サーフランチ」の活用を2018年3月に発表しました。
チームオーストラリアがわざわざカリフォルニアのサーフランチを選んだ理由は、当時は日本にもサーフランチが建設されて東京五輪会場になるかもしれないと言われていた点が大きかったかもしれません。
オーストラリアに続き、2018年6月にはチームUSAがテキサスのBSRサーフリゾートをトレーニンググランドとして提携したと発表しました。
日本でも静波サーフスタジアムにて、2021年のジュニア強化指定選手を対象とした強化合宿が行われたり、トレーニング用としてウェイブプールの積極的な活用が世界的に増えてきています。
トレーニング以外では、コンテスト会場として活用されることも増えていますね。
日本では先日、ジャパンオープンオブサーフィンが開催されたばかりです。
モダンウェイブプールとして最初にオープンしたイギリスのサーフスノードニアは、イギリス国内ツアーのイベント会場として使用されていました。
また、アメリカとオーストラリアではリップカールのグロムサーチのナショナルファイナルの会場として、アメリカでは2019年からBSRサーフリゾート、オーストラリアでは2021年からアーバンサーフを活用。
このようにウェイブプールが積極的に活用される事で、波が良くないエリアのサーファーは上達のスピードが遅いと言った問題も解消されてしまうことでしょう。
5年後10年後くらいにサーフシーンにどれほどの変化をもたらし、およそサーフィンとは馴染みのないエリアから台頭してくる存在もいるかもしれないと想像すると楽しみではないでしょうか。
Endless Surf公式サイト:https://endlesssurf.com/2022/04/05/surf-canada-partners-with-endless-surf-as-official-wave-pool-partner/