ワイメアやジョーズを抜いて今や世界一のビッグウェーブスポットとして定着しているポルトガルのナザレ。
もちろん、波質の違いがあり、必ずしもナザレが一番とは言えないが、サイズの面だけで言えばもっとも大きな波が割れる場所としてギネス世界記録にも認定されている。
今回、紹介するのはメンズのギネス世界記録更新。
2021年の10月に発表された『2021 Red Bull Big Wave Awards』で『Men’s Biggest Tow』を受賞したドイツのセバスチャン・シュトゥットナーのナザレでの映像が分析され、これが86ftのギネス世界記録更新と公式に認められた。
これまでの記録は2017年11月8日にブラジリアンのロドリゴ・コクサがナザレで乗った80ftの波で、セバスチャンはその記録を6ft上回った。
ドイツ・ニュルンベルク出身、37歳のセバスチャンがこのナザレの波に乗ったのは2020年10月29日。
『2021 Red Bull Big Wave Awards』ではジョーズの映像が受賞の大半を占めていたが、このナザレの映像は強烈であり、特に印象に残っていた。
セバスチャン・シュトゥットナーとは?
16歳でハワイに渡り、プロサーフィンのキャリアを積んだセバスチャン。
ビッグウェーブトレーニングのパートナーは、ウィメンズのギネス世界記録、73.5ftを持つブラジリアンのマヤ・ガベイラで、トレーニングに格闘技を取り入れるなど人生をこの究極の世界に捧げている。
また、ナザレサーフレスキューアソシエーション(NSRA)の共同設立者兼会長として、ビッグウェーブサーフィンの安全基準の向上に積極的に取り組んでいる。
今回のギネス世界記録更新はナザレを見守るように立つ象徴的な灯台の敷地内でセレモニーが行われ、公式審査員から証明書が授与された。
ちなみにギネス世界記録の波の計測方法は、まず映像から数フレームを抽出。カメラの位置と傾きに基づいて幾何学的に補正し、ジェットスキーなどの既知のオブジェクトと、サーファーの身体形状の実測値を用いて、計測する。波のトップとボトムの位置は複数の異なる角度からの映像から分析する。
波高解析の精度は映像の品質、気象条件、撮影者の角度や波との距離など様々な要因に左右されるために判断が難しい面もあるが、現在はこのような方法で行われている。
なお、WSLは2022年の『Red Bull Big Wave Awards』のノミネートを発表。
ここから新たなギネス世界記録が生まれる可能性もある。
(空海)