カリフォルニアを代表するサーファー、トム・カレンを輩出したサンタバーバラは世界屈指のリーフブレイク、リンコンを抱え、あのチャネルアイランズサーフボードのお膝元でもある。
カレンの後、CTにはボビー・マルティネス、現在は22歳のコナー・コフィンがキャリアを重ね、2021年はトップ5入りを果たし、「WSL FINALS」でワールドタイトルを争った。
そんなコナーのドキュメンタリー作品「マインドサーフィン」のフルムービーが公開された。
監督はパタゴニアの『Fishpeople』、『Come Hell or High Water』を手掛けたカリフォルニアを代表する三兄弟、マロイブラザーズのキース。
コナーの家族やシェーン・ドリアン、レイキー・ピーターソン、ロジー・ホッジなどのインタビューも収録されている。
サンタバーバラとコナー
コナーの故郷、サンタバーバラは自然が溢れ、美しい海岸線を持つ素晴らしい場所である。
もちろん、サーファーにとっては冬に真価を発揮するリンコンという特別なポイントがあるが、他にもボートを出せば大物が釣れる豊かな環境や、ハワイとは違う独特の雰囲気がある。
南に向いている地形や沖にチャンネル諸島があることで通年波がある訳ではないが、コナーはこの土地を離れる気持ちはないと話す。
「サンタバーバラでは謙虚でなければ、良いスポットでサーフィンすることができないよ。いいサーファーが沢山いるし、年配のサーファーも多いから、傲慢な態度はとれないんだ。僕はいつもプロサーファーになるという目標を持っていたけれど、みんなと仲良くなって、ここの上下関係を尊重したいといつも思っているんだ」
カリフォルニアのセントラルコーストに位置するサンタバーバラは夏に賑わうサウスカリフォルニア、例えばハンティントンビーチのような土地とは同じカリフォルニアでも全く違う場所でもある。
サーファーのスタイルもクリアのサーフボードに真っ黒のウェットスーツが基本だ。
「僕がサーフィンを始めたのは、間違いなく子供の頃からサーフィンに囲まれて育ったからだよ。ここでのサーフィンはスムーズでスタイリッシュ。黒いウェットスーツが基本で、オレンジカウンティとは正反対のスタイルさ。こっちの方がルーツっぽくていいよね」
この作品に登場する弟のパーカー・コフィンは「僕らが若い頃、サンタバーバラでプロサーファーになることは、良しとされていなかったんだ。どちらかというと、ボードにステッカーを貼ったり、カラフルなウェットスーツを着ていることが見下されていたのさ。僕たちは安っぽくなく、ダサくもない方法で、自分たちにできることを証明したかったんだ」と話す。
この作品を見ると冬の西ウネリとオフショアでコンディションが整うリンコンの広いキャンバスを持つ波がカービングに長けているコナーのサーフィンを作り上げたことが良く分かる。
コナーのストーリーはもちろん、モノクロの世界観を活かしながらカリフォルニア・セントラルコーストの美しさと広大さを堪能できるこの作品。
晩夏の夜、お酒でも飲みながらゆっくりと楽しんで欲しい。
(空海)