カリフォルニア・サンタクルーズを拠点とする「BUELL SURF」より、フルカーボンでありながら低価格のサーフボード『BLACK BEAUTY』がリリース。
フィリッペ・トレドがWSLファイナルズで使用しワールドチャンピオンを獲得。また、五十嵐カノアもWSGで使用し金メダルを獲得するなど、現在カーボンボード（カーボンでラミネートしたサーフボード）が注目を浴びており、各社で開発が進められている。
カリフォルニア・サンタクルーズを拠点とし、全世界に展開する「BUELL SURF」でも、6年前より多種多様なカーボンボードのサンプルを作り続けている中で、ついに全シェイパー・ライダーが納得のいくフルカーボンボードが完成。
また、2022年春にリリースされたモデルは、一般サーファー向けにワックスの溶解や剥離を防止するためホワイトに塗装したものだったが、多くのディーラーより「せっかくのカーボンなのだから、カーボンが見えるようにしてほしい」とのリクエストを受け、今回の『BLACK BEAUTY』が発売となった。
カーボンボードのメリット・デメリット
《メリット》
カーボン繊維には以下のようなメリットがあると言われている。
●耐久性が高い
●反発が強い (ターンが伸び、アクションも鋭くなる)
《デメリット》
しかしその反面、以下のようなデメリットもあるのが現実。過去にもカーボンボードは存在していたが、これらのデメリットが解消できない状況が続いていた。
●一般的なカーボン生地は厚さがあるため、その分レジンを吸ってしまい重くなる（重いため中を空洞にすると浮力が強すぎてふわふわ感が出てしまう）
●一般的なカーボン生地は硬くしなりがないため、コントロールしにくい
●ワックスが溶けやすく、剥離の可能性も高い
実際、一般的なカーボンボードはある程度の重さがあり、硬く扱いにくいものも多いが、BUELLでは繊維メーカーに特殊な極薄カーボンクロスの製作を依頼し、これに成功。
『BLACK BEAUTY』は十分な “しなり” があるためコントロール性に優れているほか、高い反発力がありターンが伸びるためアクション性能も優れており、極軽量で自由自在に動くボードに仕上がった。
カーボンと無塗装によって過去にない極軽量ボードが誕生
特殊なオリジナルの極薄カーボンにより、多くのライダーが使用する「Soulamte 5.10」で平均1900gという驚異的な軽さを実現。
一般的なPUボードでは、ライダー用に作られる一層巻のボードで2000gを切るくらいと言われるが、その分、耐久性も落ちるためすぐに使えなくなってしまうケースも多い。
一方『BLACK BEAUTY』はカーボンの高耐久性能で長く使用できるほか、異次元の軽さでエキスパートサーファーの様々なアクションが容易となった。
現在BUELLのフルカーボンボードは以下の3種類。
① BLACK BEAUTY
ロゴとレール以外は無塗装で極軽量、Soulmate5.10で1900g程度、ライダー・コンペティター向き
② THIN WHITE
薄く白を吹いた超軽量、2000g程度、エキスパート向き
③ WHITE
白を吹いた通常塗装の軽量、2100g程度、多くの一般サーファー向き
※軽いボードは、慣性が弱いため膝の硬い初級～初中級者にはラフな海面のギャップで詰まってしまうデメリットもある。また、黒いボードはワックスの溶解や剥離の可能性もあるので、『BLACK BEAUTY』はライダーやコンペティターに、『THIN WHITE』はエキスパートに推奨されている。
フルカーボンながら、低価格を実現
なお『BLACK BEAUTY』は本体価格14万円で、他メーカーでは25万円程度という中で、かなりの低価格を実現。
これはBUELLのボードファクトリーが、レーシングカーのカーボンボディーやパーツを作る、カーボン製品を主力としている工場でもあるため。その経験と実績で、特殊なカーボン繊維の製作ができ、リーズナブルな価格が実現したという。
メインシェイパーは、多くのCTサーファーのコーチを務めるChris Gallagherで、他にもKalu Coletta、Doug Haut、Lance Ebert等のレジェンドシェイパーたちが、それぞれが得意とするシェイプを提供。
「BLACK BEAUTY」の今年の設定はSoulmate、Comp、Airboneの3モデルのみとなるが、2023年は多くのモデルで採用される予定。
現在この「BLACK BEAUTY」は福嶋竜也、辻岡堅太朗、本田孝義の3名の現役プロ、友重達郎、磯部庸典、大江なぎさをはじめとする多くのトップアマチュアに提供されており、その活躍にも注目したい。
BUELL SURF
https://buell.surf/
