新型コロナウイルスの影響も後押しとなり、世界的に増加しているノマドワーカーという住む場所に縛られることのない働き方。
定住地を必要としないスタイルなので、自分の住みたい場所に暮らしたり、住環境を転々と移動することも可能です。
なのですが、国外で自由に暮らすにはハードルがあり、そのハードルとなっているのがビザ。
基本的に海外で滞在期間の制限なく暮らすために必要なビザは2種類あり、1つ目はビジネスビザ。
ビジネスビザの取得は、現地で法人登録している会社に所属し、会社が保証人となり得ることができるビザです。
もう1つはPR(Permanent Residence)ビザと呼ばれる永住権で、対象国の国籍を持つ相手との結婚以外では、その国に対しての貢献度が求められます。
例えば、その国の国債を一定額以上所有しているとか、その国で不足している技術者であったりなどです。
ですが、ノマドワーカーは上記のいずれにも該当しないため、これまでは長期滞在したい場合でも観光ビザで入国し、同ビザを延長したり、延長できない場合はいったん他国へと出国して再び入国し直すビザランをすることが一般的でした。
でしたが、MBOパートナーズの発表によると世界のノマドワーカーの数はコロナ前となる2019年の730万人から2022年には1,550万人へと倍近くに増加。
デジタルノマドビザ取得で、最長1年間の滞在が可能
そんな時代背景を鑑み、西ヨーロッパでバラエティ豊かなサーフスポットを有し、なおかつ物価が安いことからサーファー人気の高いポルトガルが今年10月30日からデジタルノマドビザの発給をスタート。
ちなみに、ポルトガルはビザ無しで最長90日間滞在可能ですが、90日目にいったん出国して入国し直すビザランはできません。
ビザ無しでの滞在は、ヨーロッパ主要国が加盟しているシェンゲン協定により「あらゆる180日間における最長90日」と定められているためです。
そのため、これまで91日以上滞在予定のノマドワーカーは、定年退職者をターゲットにしたリタイアビザにあたる「D7」ビザを取得していたそうですが、同ビザはノマド向けではなかったので、今回のビザは願ったり叶ったりとのこと。
この「デジタルノマドビザ」を取得すれば、最長で1年間ポルトガルに滞在できることになります。
気になるデジタルノマドビザの取得要件ですが、最大のポイントになるのは収入証明。
現在のポルトガルの最低賃金は月給で705ユーロ(約10万円)なので、その約4倍にあたる2,750ドル(約40万円)以上稼いでいることが求められるそうです。
世界的なムーブメントとなるか
さて、デジタルノマド向けのビザは観光資源の強い国では世界的な流れとなっていて、インドネシアのバリ島もポルトガル同様の動きを見せています。
興味深いことに、ノマドワーカーに人気な国やエリアを決める「Nomad List」というサイトでは、1位がポルトガル、2位がバリ島のチャングーです。
ビザ発給国としては長期滞在者が自国でお金を使うことで経済が潤い、ノマドワーカーは長期滞在となれば長期契約で家賃を抑えられたりと、ウィンウィンの関係と言えるでしょう。
この流れは世界的により拡大していくと思われるので、いかようにも自分で環境を変えられる面白い時代へと推移していくと見られます。
参照記事「Portugal Offers Surfers Golden Ticket With New Digital Nomad Visa」
(World Surf Movies)