サーフィン映画の超大作といえば「ビッグウェンズデー」だ。世代を超えて愛されるこの映画が、劇場の大きなスクリーンで観ることができるチャンスがやってきた。
映画「ビッグウェンズデー」は1978年にハリウッドのワーナーブラザーズが製作した映画で、一般の劇場で公開された。当時、ハリウッドがサーフィンをリアルに描いたということで話題になった。メジャーな映画会社になぜそんなことができたのかというと、デニー・アーバーグとジョン・ミリアスという2人のサーファーが製作に関わったからだ。
アーバーグは60年代にカリフォルニアのトップの一人として名を馳せたサーファーだった。ジョン・ミリアスは映画「地獄の黙示録」の脚本を書いたことでも知られている映画製作者。2人はマリブのローカルサーファーという間柄で、彼らの若い頃の体験をベースにして共同で脚本を執筆し、監督としてミリアスがメガホンをとった。
この映画のストーリーは「伝説の大波をサーフする男たちとその友情」というシンプルで、いかにもハリウッドらしい展開。しかし波乗りの映像だけで安易に作られたサーフムービーとは全く異なり、テーマをサーファーの人生に置いているから、誰が観ても楽しめるサーフィン映画となっている。さらに時代背景が、ロングボードの流行った50~60年代というところも、時を経ても色褪せない作品として愛され続けている理由だ。
さて、この映画の特徴は他にもある。アーバーグとミリアスのコネクションによってサーフィン界の協力を得られたこともその一つ。当時、世界チャンピオンだったピーター・タウネンドや他の優秀なサーファーがスタントとして出演し、ジェリー・ロペスはプロサーファーとして実名で出演している。さらにウォーターショットはジョージ・グリノー、ダン・マーケルそしてバド・ブラウンが撮影している。サーフィンのロケ地はノースショアーがほとんどだが、ニカラグアやカリフォルニアのランチでも撮影された。ランチの波を映像で観られるなんてかなりレアだ。
しかし、じつはこの映画、初公開されたときは、サーフィン誌や一般誌からも陳腐な内容だと酷評された。それも影響したのか興行収入も大赤字となった。ところがビデオレンタルが普及してから着実に売り上げを伸ばすようになったというトリビアがある。そして1998年、ニューポートフィルムフェスティバルにて製作関係者が集まって20周年が催され、再上映されると評価が一変し、米サーファー誌は「サーファーでいることを誇りに感じる映画」またロサンジェルスタイムスは「サーファーのライフスタイルをリアルに再現した貴重な作品」と大絶賛した。
くりかえすが、これはよくあるサーフムービーではない。サーファーの生きざまを描いた作品だ。そういうスタンスで観れば面白い作品だし、サーフィンを知らないガールフレンドやボーイフレンドを誘っても大丈夫。「大波に挑戦する」という単純なストーリーだけど胸が熱くなる。『ビッグウェンズデー』はそんな映画だ。
(李リョウ)
「BIG WEDNESDAY」SPECIAL MOVIE NIGHT
場所 : 逗子文化プラザなぎさホール 〒249-0006 神奈川県逗子市逗子4丁目2−10
日時 : 2022年12月10日、18:30 OPEN/18:45 START
チケット : 2000円(全席自由席)
MC : ジョニー志田
Opening Talk : ジョージ・カックル・室家憲治