開幕戦がオーストラリアからハワイに変わって3年目。
昨年はケリー・スレーター(USA)が50歳を目前にしてパイプラインで8度目の優勝、モアナ・ジョーンズ・ウォン(HAW)がウィメンズ史上初のワイルドカードで優勝。
更に波にも恵まれた記憶に残る素晴らしいイベントだった開幕戦『Billabong Pro Pipeline』
今年はファイナルデイ前日にジョン・ジョン・フローレンス(HAW)が見せ場を作ってくれた程度で史上最悪のパイプラインイベントと酷評されるほどだった。
しかし、自然を相手とするサーフィンコンテストでは仕方ないことであり、限られた条件で結果を出すのもプロの仕事。
2024年パリ五輪の選手選考も兼ねた2023年は静かに幕を開けた。
カリッサがリベンジを果たす
ファイナルデイは前日に入った北西ウネリが弱まり、トレードウィンドも強まる傾向。
朝の時点では公式5-7ftレンジだったが、日中は大分サイズダウンが進み、バレルの数も少なくなり、ターンでスコアを埋めるような勝負となった。
ウィメンズサイドでは前日にモリー・ピックラム(AUS)を倒して『Vans Pipe Masters』のリベンジを果たしたカリッサ・ムーア(HAW)がタイラー・ライト(AUS)とのファイナルで数少ないバックドアのバレルをメイクして7.17をスコア。
5.00を2本揃えてリードしていたタイラーをこのバレルと最後に出した3.83で追い抜き、パイプイベントでの初優勝を確定させた。
「本当に嬉しいわ。沢山の感情がこもった優勝よ。ウィメンズにとってパイプラインでのイベントは何年もかけて築き上げてきたもの。この波で多くの時間を過ごすのは重要な過程だわ。タイトルを逃した昨年をこの優勝で払拭できたのも嬉しい。そして、アンディ・アイアンズを記念して開催されるイベントで優勝できたことも特別よ。彼は大好きなサーファーだし、彼が私のために時間を作ってくれたことにいつも感謝しているの」
2010年にこの世を去ったアンディ・アイアンズの追悼イベントとして定着したパイプライン。
特にハワイアンにとって彼の存在は未だに偉大であり、多くのサーファーにインスパイアを与えている。
タイラーとカリッサのパイプイベントでのファイナルは2021年以来、2度目。
その時はシャークアタックで移動したホノルアベイでのイベントの残りヒートを行う形でタイラーが制していた。
カリッサはそのリベンジも果たし、イエロージャージを手にして次のサンセットビーチでの戦いに挑む。
ロボが念願の優勝
SFからスタートしたウィメンズに対してメンズサイドはQFから再開。ロボことジャック・ロビンソン(AUS)とジョン・ジョン・フローレンス(HAW)のゴールデンカードは、難しいバレル勝負をロボが逆転で制した。
ロボはジョアン・チアンカ(BRA)とのSFでも数少ないバックドアのバレルを探し出し、逆転でファイナルへ。
ロボとファイナルで戦ったのはジョーディ・スミス(ZAF)、カイオ・イベリ(BRA)を倒してCT初ファイナルとなったレオことレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)でレオにもチャンスはあったが、勝利の女神はロボに微笑んだ。
パイプイベントらしからぬロースコア勝負の中、ラスト10分でプライオリティを使ってテイクオフしたロボが二つのトップターンで6.00を出して3ヒート連続の逆転でCT通算4勝目を決めた。
「長い間、この優勝を夢見てきた。アンディは一番好きなサーファーなんだ。本当に光栄だよ。シーズンの始まりは予想もつかないけど、この舞台に戻ってきたという感情は凄いあるね。最高に嬉しい。このパイプラインのことはまだ良く分からないけど、特別さ。ハワイでスタートすることには感謝している。これから始まる長い道のりを走る準備ができるよ。昨年のパイプでは結果が悪いながら、多くのことを学んだ。それはプライスレスさ」
『Hurley Pro Sunset Beach』がすぐに始まる!
ハワイレッグは足早に行われ、現地時間2月12日に次のイベント『Hurley Pro Sunset Beach』がサンセットビーチでスタートする。
すでにワイルドカードとヒート表が発表され、カイ・レニー(HAW)、キアヌ・アシング(HAW)、ゾーイ・マクドゥーガル(HAW)が出場する。
ラムジ・ブキアム(MAR)、ジョアン・ディファイ(FRA)、ソフィア・マックロック(AUS)の3名は2戦続けて怪我で欠場。
ジャドソン・アンドレ(BRA)は開幕戦で怪我をして欠場。
リプレイスメントはカルロス・ムニョス(CRI)、イーライ・ハンネマン(HAW)、テレッサ・ボンバロ(PRT)、ルアーナ・シルヴァ(HAW)
昨年2位だった五十嵐カノアはオープニングヒートにクレジットされている。
『Billabong Pro Pipeline』結果
1位 ジャック・ロビンソン(AUS)
2位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
3位 カイオ・イベリ(BRA)、ジョアン・チアンカ(BRA)
5位 ジョーディ・スミス(ZAF)、リアム・オブライエン(AUS)、フィリッペ・トレド(BRA)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 タイラー・ライト(AUS)
3位 レイキー・ピーターソン(USA)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)
5位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、モリー・ピックラム(AUS)、ガブリエラ・ブライアン(HAW)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)