(カリッサを追い越したモリー)PHOTO:© WSL/Thiago Diz

CT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』3日目も波乱が続く

首都・リスボンから車で約1時間。
素朴な漁師町のペニシェにある世界レベルのビーチブレイク、「Supertubos」で開催中のCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』は現地時間3月13日に3日目を迎え、ウィメンズのRound of 16が進行してQFを戦うベスト8が決定。

メンズは潮待ちでオンホールドされた後、午後遅くにRound of 32の残り2ヒートのみ消化してベスト16が揃った。

晴天に恵まれ、溢れんばかりのファンが集まった前日とは一転、生憎の雨からのスタートになったこの日。前日にピークを迎えた西ウネリが衰えながらも公式6-8ftレンジと十分に残り、オンショアも加わった難しいコンディション。
初日から波乱続きのポルトガル戦の流れは変わらず、トップ選手が敗退する場面も…。

カリッサが敗れ、モリーが残る

(モリー・ピックラム)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

ハワイレッグでの結果により、同率トップでイエロージャージを着る二人の選手、カリッサ・ムーア(HAW)とモリー・ピックラム(AUS)はこの難しいコンディションの中で明暗を分ける形になった。

まず、Round of 16のオープニングヒートでイザベラ・ニコルス(AUS)と対戦したモリーは、バレルライドで幸先良いスタートを切り、5.67をスコア。後半にはバックハンドでの垂直なアプローチとカービングで6.50をスコアしてリード。荒れた海により、序盤にジェットスキーから振り落とされるアクシデントがあったものの、いきなり1本目のワイプアウトでサーフボードが真っ二つに折れ、更にリーシュも切れる不運に見舞われたイザベラに比べると影響は遥かに少なく、このヒートはモリーの圧勝となった。

(ストールするモリー)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot
(そして、バレルに包まれる)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「海が荒れていて、ジェットスキーに乗っている時はまるでカウボーイのようだった。波も難しく、急な展開だったわ。今朝は早い出番で、海を見て大変だと思ったの。だから、できるだけ多くの波に乗ってその内の一つでも成功すれば良いと考えたわ。本当に厳しかった。ポルトガルでは楽しく過ごしている。スタートで勢いがついたという感じではないけど、調子は良い。状況は変わってきているので、コンテストに集中してファイナルまで行きたいわ」

モリーは次のQFでディフェンディングチャンピオンのタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)と対戦する。

(苦戦が続いている今年のステフ)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz
(2023年もサリースマイルは健在)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

その他、Round of 16では昨年8度目のワールドタイトルを獲得した女王ステファニー・ギルモア(AUS)がシーズンワイルドカードのサリー・フィッツギボンズ(AUS)に敗れる波乱があり、やはりこの日も荒れた一日になると予感させていた。

そして、もう一人のイエロージャージ、カリッサがワイルドカードのヨランダ・ホプキンス(POR)とのカードで序盤から追い込まれ、ラスト10分からの追い上げも虚しく、僅差で敗退。この時点でイエロージャージを手放すことが決定した。

(カリッサを倒したヨランダのバックハンド)
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「本当に嬉しいわ。カリッサのことは尊敬しているし、お手本としているサーファーよ。苦労している選手が多いこんなハードなコンディションで自分のサーフィンを見せることができるのは嬉しい。ジャッジが喜ぶような大きなターンをするためにクローズアウトセクションを探していたの。派手にやるか、負けるかの思い切った気持ちで挑んだわ」

ちなみにヨランダは東京五輪のポルトガル代表。CSにも出場しており、近い将来CT入りする可能性もあるので、注目しておきたい。

(カリッサを倒す大金星に会場が沸いた)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ルーキーのケイトリンがハイエストを出す

(驚くようなターンを披露したケイトリン)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

もはやダークホースとは言えない存在になっている17歳のルーキー、ケイトリン・シマーズ(USA)がキャロライン・マークス(USA)に対して2本の7ポイント台を出して勝利。2戦続けてのQF進出を決めた。

2本の7ポイント台はバックハンドでビッグターン。中でも2本目の最初のターンはMCが思わず声を上げるほどの際どさで、彼女のポテンシャルの高さを示していた。

「私が毎日サーフしているオーシャンサイドのような波ね。良い波とは言えないけど、普段サーフィンしている波と似ているわ。途中、キャロラインに波を与えてリズムに乗らせてしまった。彼女が別のクリーンな波にも乗った時はうなだれたわ。自分はできるんだと自らに言い聞かせながら、次の良い波をひたすら探したの。キャロラインに勝てて本当に嬉しい」

(ホームのビーチブレイクと同じように自由にサーフィンしていた感があったケイトリン)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

2023年のもう一人のルーキー、ソフィ・マックロック(AUS)はハワイレッグを怪我のために欠場したため、ここポルトガルがデビュー戦。
ブリッサ・ヘネシー(CRI)を倒してベスト8入りを決めている。

(怪我から回復してデビュー戦となったソフィ・マックロック)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

ギャビーとコラピントがベスト16入り

(ヒートではフリーサーフィンのように多くの波に乗ったギャビー)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

前日に消化できなかったメンズのRound of 32の2ヒートはガブリエル・メディナ(BRA)とディフェンディングチャンピオンのグリフィン・コラピント(USA)が勝利。
セス・モニーツ(HAW)とのカードとなったガブリエルはフロントサイド、バックサイド問わず、合計12本の波に乗り、6ポイント台2本で3戦連続でベスト16入りを決めた。

「朝よりはコンディションが回復したので、ヒートが行われたのは良い判断だったね。ヒートでは波を活かすことを心がけた。大きなリスクを取ってエアーができるようなセクションを探していたよ。その方がモチベーションも維持できるからね。自分にとってファンは大きな存在なんだ。長いツアーではローカルの観客からの声援に大きな意味がある。だから、とても感謝してるよ。ポルトガルが大好きだし、この場所にいることが幸せさ」

(久々に強いギャビーが帰ってくるか?)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

ポルトガルとブラジルは言語が同じで、ポルトガルに住む外国人の割合でもブラジリアンが最も多く、約150万人のブラジル出身者がいるという統計もある。これはポルトガルの人口の約1割にもなる数字で、会場にブラジリアンが多いのも頷ける。

ギャビーとコラピントは次のRound of 16で対戦。
ビーチでのインタビューでも明らかにギャビーファンが多く、コラピントにとってはアウェイでの勝負になりそうだ。

ネクストコールは現地時間3月14日の午前6時50分(日本時間の同日15時50分)
新しい西ウネリが入り、風も改善する予想。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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