すでに約一年後に迫った2024年パリオリンピックの出場を目指すCT選手にとって、恐らく最もタイトなスケジュールとなるこの数週間。
オリンピックの選手選考を兼ねたエルサルバドルでのWSGこと『2023 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』終了後、間も無くCT第7戦『Surf City El Salvador Pro』がエル・スンサル、ラ・ボカナから東へ約5km離れたプンタ・ロカで現地時間6月10日に開幕した。
メンズは24名、ウィメンズは12名に絞られた後半戦。
フォーマットも変わり、Opening Roundは3人ヒートでトップのみ次ラウンドに進み、他2名は敗者復活戦のElimination Round行きとなる。
この日はメンズのElimination Roundまで進行、メンズはベスト16まで絞られ、ウィメンズはElimination Roundからの再開になる。
WSG出場者がハイスコアを出す
プンタ・ロカは玉石とリーフで形成され、バレルセクションもあるライトのポイントブレイク。
初日は公式3-6ftレンジで完璧ではないものの、ハイスコアも出るグッドコンディションで進行した。
オリンピックの選手選考を兼ねていたため、多くのCT選手が参加していたWSG。
会場は違えど、この土地で長い時間過ごして波との調和も取れているためか、サーフランチで優勝してイエロージャージを着ているグリフィン・コラピント(USA)を始め、WSGで優勝したタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、五十嵐カノア(JPN)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、イーサン・ユーイング(AUS)、フィリッペ・トレド(BRA)、イタロ・フェレイラ(BRA)、キャロライン・マークス(USA)、カリッサ・ムーア(HAW)と多くのヒートをトップ通過した選手がWSGの代表だった。
注目ヒートはグリフィン、エルサルバドルの英雄でWSGにも出場していたブライアン・ペレス、カラム・ロブソン(AUS)のカード。
グリフィンは8.60と7.60を出してヒートをリードしたものの、ブライアンも食い下がり、7ポイント台を3本も出して地元のファンを熱狂させていた。
「あのヒートで対戦したブライアンはこの波でとても良いサーフィンをしているので、全力を尽くしたよ。イエロージャージのことを聞かれると謙遜しちゃうけど、慣れないとね。自分には必要だって気付いたんだ。それからは、もっと気楽に、冗談も言えるようになった。良い感じだよね。自分はただこの道を突き進むだけさ。どのヒートにも、それぞれのストーリーがある。今を大切にしながら先に進むよ」
ウィメンズサイドでイエロージャージを着るカリッサ・ムーア(HAW)もワイルドカードが入るヒートをクリア。
こちらはコスタリカのレイラニ・マクゴナグルで、レイキー・ピーターソン(USA)を交えたカード。一本目で8.00を出したカリッサは完全にヒートをコントロールしてQF進出を決めた。
「自分が思っていたより良いスコアが出たので、ジャッジが私のパフォーマンスを気に入ってくれたと思い、自信に繋がったわ。良い波を見つけてバックアップスコアを重ねようとしたけど、リズムを崩してしまい、トータルスコアは低かった。次はもっと頑張るわ。スコアを出すにはたくさんの努力が必要であり、プロセスがある。幸いにも私には素晴らしいチームがいて、ポジティブな要素を見つけるのを手助けしてくれる。ネガティブなスパイラルに入るのは簡単だけど、私は進歩に取り組んでいる。完璧ではなくてもね。ラインアップとベストな波の選択。そして冷静で落ち着いた状態を保ち、最高のサーフィンを続けていきたい」
ロボ、ケリー、JJFが早期敗退
この日最大の番狂わせは敗者復活戦のElimination Roundでルーキーのイアン・ジャンティ(HAW)がロボことジャック・ロビンソン(AUS)を倒したことだろう。
同じハワイ出身のアンディ・アイアンズにインスパイアされたサーフィンをするイアンは一本目で7.17を出してリード。ロボはミドルスコアを重ねてトータルスコアでは追い付き、タイスコアで入った最後のセットのやりとりでイアンがロボを上回り大きな勝利を収めた。
また、このラウンドではガブリエル・メディナ(BRA)と後半戦のワイルイドカードを得たケリー・スレーター(USA)が対戦。
この日の波でガブリエルに勝つにはエアーしかないと最初から仕掛けていったケリー。51歳とは思えない超人ぶりを見せたものの、脂が乗った29歳のガブリエルがトレードマークのバックハンドで7.50を出してこの勝負を制した。
「簡単なヒートはなかったよ。ケリーとはいつも良い勝負をしている。彼を尊敬しているし、ビッグスコアを出す能力があることも知っている。最初のヒートは良い波に乗れなかったので、やっと気分が良くなったよ。次のラウンドでは、もっと波があると良いね。このまま勝ち進みたい」
このラウンドのもう一つの番狂わせはJJFことジョン・ジョン・フローレンス(HAW)を倒した和井田理央(IND)で、主導権を握ったのは7ポイント台を2本出したリオ。
JJFはシグネーチャームーブの巨大なレイバックで8.43を出すが、バックアップスコアを伸ばせずにリオが勝利した。
コンテスト2日目の注目カードはRound of 16のカノアvsレオナルド。
グロム時代からの長い仲間で、ライバル関係にもあるこの二人の争いはきっと盛り上がるだろう。
ネクストコールは現地時間6月11日の6時15分。
日本時間同日の21時15分。
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)