コロナ禍の2020年にオープンした韓国のウェーブプール「Wave Park(ウェイブパーク)」。
業界大手のウェイブガーデン社による造波装置「The Cove」を搭載したウェーブプールとして、モジュール数が最大と言う事で最も規模が大きいウェイブプールです。
そんな韓国におけるコロナ制限が5月になり概ね解除となったので、先月ウェイブパークへ行って実際に人工波を試してきました。
そこで人工波のバレルにテーマを絞って話を進めていきたいと思います。
ウェイブプールの人工波バレル
サーフィンにおける究極のライディングと呼ばれるバレルライド。
究極と呼ばれる所以はメイクする上での難易度の高さもありますが、それ以上に大半のサーフスポットではバレルになるための条件を満たすことが難しく、出会う事が少ない点も挙げられるでしょう。
そんな究極にいとも容易く出会えるのがウェイブプールであり、ウェイブパークの上級コースはバレルもアリと言う事で楽しみにしていました。
初日はまず中級コースにトライし、この日は上級コースをしっかりと観察してから翌日の上級コースに臨むことに。
その時に定点カメラで撮影した私のバレルセクションでのライディング映像は以下となります。
正直言って動画で見ていたウェイブパークのバレルとは違い、しっかりと巻き上げてこなかったのは残念でしたが、実際にトライして見て面白い発見がありました。
ウェイブパーク上級コースの特徴
ウェイブパークは最大規模と言った通りライディング距離も長く、しっかりと波を乗り切れば20秒ライドくらいが可能。
そのためなのか上級コースでは2つのスウェルを重ねたようなブレイクとなり、ファーストセクションとセカンドセクションがはっきりと分かれてました。
ファーストセクションではボトムでしっかり待てる上手いサーファーならばリップ、私のような前を走り過ぎてしまうタイプのサーファーはカットバックといった感じ。
そして迎えるセカンドセクションが一応バレルと言うことですが、セクション間は2つの間の山の谷間といった感じで波が厚くなります。
この厚くなる点が、バレルを狙う上で絶妙と言えます。
海でのサーフィンで私のような一般サーファーにとって最大の壁は、スピードダウンさせてバレルに入ること。
バレルになるような波はホレ上がるので波にパワーがあり、サーフボードは押し出されるかのようにハイスピードになるためです。
そのため、サーファーの真後ろでバレルが巻いていて勿体ないと言うシチュエーションは良くありますね。
しかし、バレル直前が厚いと言うことはスピードアップしないので、しっかりと巻き上げてくれさえすれば世界で最も簡単なバレルに早変わりする事でしょう。
この「巻き上げる」という点について造波装置の性能としては可能であることは分かっていて、同じ造波装置を使ったオーストラリアのアーバンサーフでは、サーファーのレベルが高いためか一般サーファーでもガッツリと巻くバレルコースを楽しめますので。
まとめ
サーフィンは最初のハードルとなるパドリングがキツいので、楽しさを知る前に止めてしまうケースも多い事でしょう。
ですが、逆に早い段階でウェイブプールでバレルを味わってしまったらどうなるのか?
ウェイブプールによる新たな未来の形がどのように描かれていくのか楽しみではないでしょうか。
(World Surf Movies)
※本コーナーでは、波情報BCM内で公開されているコラムの一部を公開しています。