現地時間8月16日、南太平洋に浮かぶ楽園、タヒチで開催されていたCT最終戦『SHISEIDO Tahiti Pro』が終了。
会場のチョープーは世界で最も危険かつ魅力的な波であり、ご存知の通り、2024年パリ五輪の舞台でもある。
ファイナルデイは公式4-6ftレンジのウィンディで不安定なコンディション。
「Rip Curl WSL Final」出場者が揃った一方、2024年パリ五輪のCT枠はウィメンズの1枠が「Rip Curl WSL Final」に持ち越しになった。
なお、昨年同様、今年も大活躍だったワイルドカード。
カウリ・ヴァースト(FRA)、ミヒマナ・ブレイ(PYF)共に5位、ウィメンズのヴァヒネ・フィエロ(FRA)は3位と好成績を残し、特にカウリ、ヴァヒネは2年連続の上位ということで、すでに出場権を獲得している2024年パリ五輪でも金メダル候補として注目されている。
ロボが久々の優勝で「Rip Curl WSL Final」出場を決める
メンズサイドはランキング5位だったヤゴ・ドラ(BRA)を始め、ロボことジャック・ロビンソン(AUS)、ガブリエル・メディナ(BRA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)がワールドタイトルを決める「Rip Curl WSL Final」の出場権をファイナルデイまで争っていた。
最後に残ったのはロボとガブリエル。
どちらか勝った方が「Rip Curl WSL Final」出場の席を獲得する面白い勝負になった。
ファイナルはチョープーで2014年、2018年と2度の優勝経験があるガブリエルが序盤からハイペースで波に乗り、トータル15.00で主導権を握っていた。特にファイナルのハイエストとなる8.17はビハインドピークからのテイクオフでこの日のコンディションでは最高のバレルだった。
一方、ロボはじっくりと波を待つ作戦。最初に深いバレルで7.83を出すとラスト10分を切ってグラブレールで深いバレルをメイクして7.83をスコア。
ガブリエルが12本の波に乗った中、ロボは僅か4本の波で勝利を確定させた。
「このイベントはかなり集中して挑んだけど、その一方で楽しんでもいたんだ。この感覚を説明するのはとても難しい。でも、成功したのは運命だったように感じる。シーズン中はノンストップで取り組んでいたよ。厳しい状況でもそれを立て直し、周囲の助けを借りて乗り越えたのさ。少数のチームだけど、タヒチで言うマナのように良いエネルギーを持っているんだ。今回は自分の番だと思ったね。それはいつ訪れるか分からないけど、今がその時だと予感したし、幸せだった。今年は最初に自分の番が来て、その後に落ちてここで戻ってきた。「Rip Curl WSL Final」が今年最後のイベントだと常に言っていたのさ。楽しみでもう待ちきれないね」
シーズン前半は開幕戦で優勝した後も3位と2位と好成績を重ね、イエロージャージを着ていたロボ。しかし、ベルズでの怪我から転落して17位が続いていた。
『Corona Open J-Bay』で5位に入り、ランキング8位で挑んだ最終戦のタヒチで優勝。見事にランキング5位にジャンプアップして「Rip Curl WSL Final」出場を決め、更に2024年パリ五輪のオーストラリア代表の座も確保したのだ。
キャロライン・マークスがシーズン2勝目
ウィメンズサイドはステファニー・ギルモア(AUS)、タイラー・ライト(AUS)と二人のワールドチャンピオンを倒してきたキャロライン・マークス(USA)が17歳のゴールデンルーキー、ケイトリン・シマーズ(USA)と対戦。
両者共に「Rip Curl WSL Final」出場を確定した後のファイナルで、シンプルにチョープーのタイトルを争う勝負になった。
ファイナルはスコールに加え、バレルがなくなった難しいコンディションでファイスでのターンに集中したキャロラインが確実にスコアを重ねて優勝。エルサルバドルに続き、シーズン2勝目。
昨年は欠場が続き、満を辞して臨んだフルシーズンを成功させた。
「とても嬉しいわ。夢のようなイベントで優勝して本当に興奮している。風が悪く、バレルで失敗した後、2本目からはターンに切り替えたの。計画を変更したのが功を奏したわ。グーフィーフッターとしてこのイベントを勝つのは本当に素晴らしいことよ」
キャロラインは元CT選手のルーク・イーガンをコーチにこのイベントに挑み、アメリカ人同士、それもSFで最強のワイルドカード、ヴァヒネを相手に信じられないようなバレルをメイクしてパーフェクトに近い9.23をスコアしたケイトリンを倒した。
「ファイナルでケイティと対戦するのはとても楽しかったわ。彼女はセミファイナルで本当に良いヒートをしていたので、厳しい対戦になると分かっていた。彼女は素晴らしいシーズンを過ごしており、本物のルーキーのエネルギーを持っている。プレッシャーもなく何も失うことがないというのは本当に素晴らしいわ。アメリカン同士のファイナルも本当に楽しかった。ルークが私を支えてくれていることに本当に感謝しているの。彼はアンディ・アイアンズと一緒にここでファイナルを経験したことがあるので、彼の知識をすべて得られたことは素晴らしい。最高のシーズンで、ロワーズで行われる「Rip Curl WSL Final」も楽しみね」
ワールドタイトルを決める「Rip Curl WSL Final」は9月8日〜16日のベストな一日を利用してカリフォルニアのローワートラッセルズで開催される。
CT最終戦『SHISEIDO Tahiti Pro』結果
1位 ジャック・ロビンソン(AUS)
2位 ガブリエル・メディナ(BRA)
3位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、バロン・マミヤ(HAW)
5位 カウリ・ヴァースト(FRA)、ヤゴ・ドラ(BRA)、ミヒマナ・ブレイ(PYF)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
ウィメンズ
1位 キャロライン・マークス(USA)
2位 ケイトリン・シマーズ(USA)
3位 タイラー・ライト(AUS)、ヴァヒネ・フィエロ(FRA)
5位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、ステファニー・ギルモア(AUS)、カリッサ・ムーア(HAW)、モリー・ピックラム(AUS)
2023年CT『SHISEIDO Tahiti Pro』終了後のランキング
&「Rip Curl WSL Final」出場者
★最終ランキングは「Rip Curl WSL Final」で決定
1位 フィリッペ・トレド(BRA) 58,300pt
2位 グリフィン・コラピント(USA) 50,860pt
3位 イーサン・ユーイング(AUS) 48,080pt
4位 ジョアオ・チアンカ(BRA) 44,290pt
5位 ジャック・ロビンソン(AUS) 43,950pt
ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 62,490pt
2位 タイラー・ライト(AUS) 62,065pt
3位 キャロライン・マークス(USA) 59,870pt
4位 モリー・ピックラム(AUS) 54,070pt
5位 ケイトリン・シマーズ(USA) 49,070pt
2024年パリ五輪CT枠
フィリッペ・トレド(BRA)
グリフィン・コラピント(USA)
イーサン・ユーイング(AUS)
ジョアオ・チアンカ(BRA)
ジャック・ロビンソン(AUS)
ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
五十嵐カノア(JPN)
ジョーディ・スミス(RSA)
マシュー・マクギリヴレイ(RSA)
ウィメンズ
カリッサ・ムーア(HAW)
タイラー・ライト(AUS)
モリー・ピックラム(AUS)
タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
ジョアン・ディファイ(FRA)
ブリッサ・ヘネシー(CRI)
テレッサ・ボンバロ(PRT)
★アメリカ枠のみ「Rip Curl WSL Final」で決定
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)