(ジャック・ロビンソン)PHOTO: © WSL/Brent Bielmann

勝利の最大の要因は、勝てる・勝つんだ、と心から思うこと

F+(エフプラス)

CTのほうはファイナルズまでちょっと休憩だけど、先行ニュースとしてはジャック・ロビンソン「推しの子」な感じ。WSLのニュースでは昨年のステファニー・ギルモアの例を挙げて、同じシチュエーションからの奇跡がまた起きるか? みたいなあおり方だ。
まぁ、ロウワーで普通に当たってもジャック的にはチアンカは破りそうなので、次はイーサン・ユーイングとなるわけだけど、イーサンはタヒチで練習中に背骨を折っていて、大丈夫ってことにはなっているけど、大丈夫じゃないだろうなと思う。腰椎3番4番って、けっこうS字型に曲がってる背骨の下のほうの力のかかるところで、私はこの辺の腰椎がすべり症で、腰痛やしびれがひどい。
まぁ、出れても出れなくてもファイナル5は繰り下げにはらないので、イーサンが出なければ不戦勝で次のグリフィンってことになるんだろうけど、そこまで行けば下から上がってきたほうが気持ち的には有利かもしれない。
っていうか逆に、今年あれだけ別人のようなサーフィンになったジャックが好事魔多しで怪我して、それでも最後に滑り込んで、これで取れないとなると簡単には来年もう一度、というわけにはいかないだろうな、と思う。
昨年終盤の逆転で涙をのんだグリフィンが今年リベンジしたのは、結構すごいことだと思うし。サーフィンというスポーツは、あのレベルになるとそのぐらいピークの時間が短くなってるかな、と思う。怪我は本当に命取りだ。

(コナー・オレアリー)Photo by peter “joli” wilson

コナー・オレアリーが2024年から日本の選手として活躍することになった。パリ五輪に関しては強力な助っ人といえる。とにかくタヒチのあの波で、世界レベルでまともに戦える日本人っていないし……って書かれちゃうって、選手の皆さんどうですか? でも現実にはコナー以上に戦えると思われる選手はいないと思うので……。
同じようなことで、コナーが日本に来る、イコールパリ五輪の残り1枠の夢は消えた、って皆さん思っていることでしょう。でもね、そう思うから夢は消えちゃうんだよ。
コナーに勝てばいいんでしょ、ってノーテンキに思える選手がいないから夢が消えるのさ。ゆきさん、それは正論ですけど、現実には……って声が聞こえてきそうだけど、現実に世界を相手にするには、その正論でいかないと一生勝てないわけよ。

(2015年USオープンで優勝した大原洋人) PHOTO: © WSL

もう8年も前のことだけど、大原洋人がUSオープンで優勝したとき、18歳の洋人は心から勝てると思ってやっていたわけで、それは当時の洋人の実力からしたら、かなり無謀な感性だったと思う。
そのあとハワイでインタビューしたけど、悪く言えば世界を甘くとらえていたし、でもそういう強い気持ちがなければ決して世界は勝たせてくれないのも事実なのだ。
ドアはいつでも開いているけど、入る勇気というか、覚悟がなければ開けられない。当時の洋人には、とにかくこのドア開けて入っちゃえばいいんでしょ、みたいな若さに任せた勢いのようなものがあって、それがあの勝利をもたらした大きな要因だと思う。おそらく日本で一番最初にドアを無謀に開けた選手(笑)。
強い選手がバタバタ負けちゃったので運がよかったとか、分析はいろいろあるわけだけど、最大の要因は勝てる、勝つんだ、と心から思ったこと。そう思うには同じ土俵に立っていることが前提なわけで、そういういい意味での思い上がりは絶対必要だ。
まぁ、今すっかり大人になってしまった洋人に、あの無謀さをもって進め、というのは酷だけど、あの時の洋人は間違いなくその無謀さをもって驀進(ばくしん)していたと思う。

なんか最近の日本人にはそういういい意味での勘違いな子、いないなと思う。まぁ、ある程度の実力が伴わなければ、本当にただの勘違い野郎で終わるんだけど……っていうか、近年の世界の変化についていっている、ついていこうとしている選手がいないのも問題か。今はまだ無理だし、って、じゃいつならいいの? ケイトリン・シマーズ、17歳でファイナルファイブの時代ですよ。

F+編集長つのだゆき

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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