JPSA(日本サーフィン連盟)のプロの中でも、エアリアルの成功率、完成度でトップレベルの鈴木仁(22)が、エアーに特化したレッスンを始めた。「エアーなら他の誰より教えられます」と自負。試合を回るプロやアマチュアの選手のほか、いつか飛んでみたいという中高年の背中も押したいと意気込む。40歳でエアリバースをメイクした自身の父親に対して実践したアドバイスを伝授してくれるそうだ。
「百発百中の自信がある」
今や国内で1、2を争うエアリストとなった鈴木。エアーについては譲れない気概をのぞかせる。
「試合で単なるエアーであれば百発百中で決められるというぐらい練習もしたし、自信もあって。ただ、スコアを出すためのエアーとなると、角度、高さ、スピードなどをビルドアップしていかないといけないのでミスも出るけど。基本は10回やって10回決められるという感じです。みんなが逃げちゃうようなすごい掘れてるセクションでも攻めて決められるっていうのもある。試合でエアー勝負をしたら負ける気はしないですね」
サーフィンを始めたのは父丈(じょう)さん(42)の影響だ。サーフィンは大好きで楽しかったが、試合はあまり好きではなかった。「当時はまだ試合でエアーが使われてなくて、『飛ぶな飛ぶな、そんなんじゃうまくなんねえ。マニューバー練習しろ』と言われてました。でも、かっこいいから飛びたくて」
丈さんはそんな鈴木に好きなようにエアーを練習させたという。初めてエアリバースを飛んだのが12歳の時。気づけば、人より優れたエアリストになっていた。今年7月に千葉県一宮町で開かれたQS3000では各ヒートをエアーで揃え、ファイナルまで進出。2021年10月のJPSA鴨川オープンでは、チューブからのエアリバースでフルローテーションを決め、10点満点を叩き出した。
父は40歳でエアリバ成功
丈さんは自営業の傍ら、時間があれば海に入るほどのサーフィン好き。30歳ぐらいの時、鈴木がエアリバースを決めるようになったころに、丈さんも挑戦を始めた。助言を求められた鈴木は、あることを伝えた。中身は「これはレッスンを受けてくれる人に伝えたいから載せない方がいいです」として企業秘密。ヒントは「〇〇の瞬間の〇〇」。丈さんは40歳で遂にエアリバースに成功した。
「お父さんにはある重要なポイントを一つアドバイスしました。子供だったら教えなくてもわかるかもしれないけど、時間って大切じゃないですか。例えば、一人でやってたら半年後ぐらいに分かるものを、自分がやってきてこれが重要だっていう部分を伝えて、今わかれば全然違う。コンペを目指していなくて、単にエアーをしたい人でも、やりたいものに対して努力し、自分が必要な意見を出してレッスンできれば、目標や夢が叶うんじゃないかって、自分のお父さんを見ていて思いました」
では具体的にどんなレッスンなのか。
Qエアー挑戦に求められるスキルは
スピードをつけてアップスンダウンができ、ちゃんとリップセクションでターンができること。その2つさえあれば、エアーの動作はできると思う。点が出るエアーをメイクしたいとなると、NSAの検定では、2級合格が惜しいかなあぐらいのレベルが理想ですが、その手前の方でももちろんチャレンジ可能です。カットバックではなくリップができることが重要です。
Qエアーレッスンの場所は
自分は平塚から湯河原までの西湘がホームですが、湘南は波がなくてレッスンが延期になることが多いです。なので、千葉でやることも多い。東浪見や太東のキワですね。地元のショップに話を通して、自分が許可をとっている場所で行います。でも、例えば茨城のローカルの人が受けたいとなれば、地元に挨拶してやることもありますし、浜松や宮崎では、ショップが呼んでくれて、レッスンをしました。
Qエアーに適した波は
初めてエアーをしたい人たちがやりやすいサイズは腹、胸、肩ぐらい。たるい波ではなく、エンドセクションでしっかりリップが立って掘れる波です。ダンパーではないけど、ワンターンできるセクションがあれば大丈夫です。
Qレッスンの内容は
海で実際にエアーにトライしてもらい、動画を撮って、動作を確認します。やってて、どう感じてるのかを本人に聞いて、そこから動作の修正に入ります。その人にうまくはまるかはまらないか、やってみて、動作がどれぐらいできてるかも動画で確認して、また海に入ってもらって、という繰り返しになります。
Qレッスン日の波がエアーに適さない場合は
レッスンを受けてくれる人にはエアー以外も、もちろん教えます。エアーに適さない波の時にエアーのレッスンをやったりはしないです。そういう時は、たとえば、2時間のレッスンのうち、1時間半は基礎的なもの、直した方がいいことのレッスンをして、残り30分で、実際にエアーをした時の動画を見せてもらって助言するとかでも大丈夫です。
Qレッスン時間と料金は
2時間で大人1万円、高校生以下は8,000円。人数は最大3人まで。人が集まらなくてマンツーマンになっても料金は変わりません。最初からマンツーマン希望者はプラス2,000円でできます。
Q陸でのアドバイスは
動ける体は重要。ジャンプして足を胸まで引き上げられるとか、やっぱり本気で動ける人ですね。エアーは波のリップを、どううまく自分で利用して飛び出すかなので。それ以上のすごいものをしようとなると、足の筋肉、背筋を鍛えたり、スケボーでバンクを使ったエアリバの練習とか、自分はやりました。危ないけど(笑)。あと、フィギュアスケートの選手みたいに、その場で回ってぶれずに1回転できるとか、そういうことも大事です。
Q申し込みは
公式ラインアカウントを用意したので、友達追加してください。料金など詳細の確認、質問、問い合わせ、レッスン希望日の入力などができます。
Qレッスン希望者にひとこと
プロサーファーもたくさんコーチングをやっているじゃないですか。その中でも、自分が他の人と違ってできるのがエアーだったのかなって。周りからもやってほしいという声がありました。エアーをやりたいと来てくれれば、自分がやってきたエアーを教えます。他の誰よりもエアーを教えられるのが自分のスタイルだし、強みとして出していきたいです。もちろん、来てもらえれば、ほかのことも教えます!
(沢田千秋)