現在、宮崎のお倉ヶ浜で開催中のJPSA最終戦『さわかみ 日向プロ』
ショート、ロング、シニアが併催され、ショートの女子、川合美乃里を除くとここで全てのグランドチャンピオンが決定する。
最終戦での勝者がグランドチャンピオンとなる事から、注目される戦いの一つとなるのが、男子ロングボード。2022年は、開幕から3連勝で3度目のJPSAタイトルを獲得した浜瀬海と、ファイナル常連ながら一度もグランドチャンピオンを獲得したことがない地元宮崎の秋本祥坪のタイトル争いだ。
この二人の争いの始まりは、2017年までさかのぼる。
2017年、ショートボードのプロとして活躍していた浜瀬海がバリ島の開幕戦でトライアルから勝ち上がり、ロングのプロ資格を獲得してその年のグランドチャンピオンに輝く快挙を達成。
ちょうどその頃から、WSLではスラスターからシングルフィンが主流になり始めた。2019年にカリフォルニアのデヴォン・ハワードがロングボードツアーのツアーディレクターに就任してからはその流れが鮮明となり、シングルフィン、ノーリーシュ、インターフェアなしの独特のフォーマットでWSLとは違うツアーを運営している『Vans Duct Tape Invitational』の首謀者、ジョエル・チューダーまで巻き込んでツアーが一新。
クラシック回帰が明確となり、現在に至る。
JPSAでもその流れを受け継ぎ、ジャックライテリアも改変。
軽いEPSを使用したモダンマニューバー中心からPUの重いボードによるノーズライドやクラシックなスタイルのターンにスコアが出るようになった。
かねてよりクラシックなスタイルでシングルフィンと重いボードに乗っていた秋本祥坪の評価も上がってきたが、浜瀬海や井上鷹、森大騎などに阻まれ、タイトルを逃してきた。
一方、浜瀬海は2017年の初タイトルの後、2018年に5戦中3勝で2年連続のタイトルを獲得。
コロナ禍を挟んで休んだ後、復活した2022年には開幕から3連勝で3度目のグランドチャンピオンを獲得した。
浜瀬海も当初はモダンマニューバー中心のボードデザインだったが、ジャックライテリアに合わせてクラシックになり、サーフィンもアジャストしてハングヒールやリバースと完璧なロガーに転身。
もちろん、短いボードも乗るが、浜瀬海=ロングボードのイメージの方が強くなっている。
また、本人が指導するサーフィンスクールは1年先まで予約が埋まっているほどの超人気だと言われている。
タイトルのシナリオ
2023年のJPSAロングボードシリーズは全4戦。
上位3戦のポイントで争われる。
ランキングトップは優勝1回、2位1回、3位1回の秋本祥坪。
浜瀬海は出場した2戦共に優勝しているが、『ISA World Longboard Championship』出場のため第2戦を欠場している。
もし、秋本祥坪と浜瀬海がマンオンマンのファイナルに残り、秋本祥坪が優勝した場合でも同率になる。
その場合、4戦のポイントがカウントされるため、秋本祥坪が初のタイトルを獲得する。
一報、浜瀬海が優勝した場合は、浜瀬が4度目のタイトル獲得となる。
現時点では秋本祥坪が一歩リードした形で最終戦が行われる。
秋本祥坪が地元宮崎で念願の初タイトルを手にいれることができれば、それは感動的な瞬間になるだろう。
しかし、前回の茅ヶ崎でパーフェクト10を出して圧勝していた浜瀬海が非常に怖い存在であるのに変わりはない。
注目の一戦、JPSA最終戦『さわかみ 日向プロ』は10月26日〜28日(予備日29日)に開催され、ABEMAでライブ中継が配信される。
JPSA公式サイト:http://www.jpsa.com/
photo: 日本プロサーフィン連盟(JPSA)
(空海)