F+(エフプラス)
コンペシーンについてちょっとネガなことを書いたら、いろいろ言われてめんどくさい。人間年取るし、丸くなるし、30年同じこと言っても何も変わらなければ、よほどのアホでない限り、どこかであきらめをつけるのがオリコウさんというものだ。まぁ、あきらめたというのとはちょっとちがうけど、疲れるから静観しようかな、という気分だ。
なので、国内に関してはただ静観だったのだけど、いろんなことが起きていて、まぁ、目立つところはS.LEAGUE(Sリーグ)という新しいムーブメントなわけだけど、実際のところの詳細に関しては誰に聞いてもわからない。
チェアマン大野修聖、副チェアマン橋本恋、木下デビッド、田中樹。2024シーズンから始動する、JPSAが世に放つ、既存のJPSAツアーに変わる国内最高峰のプロツアー。そこまではみんなわかってる。ただ詳細な活動内容とか具体的なことは誰も知らない。それはそれですごい謎めいていて、アーニャ、わくわく。
まぁ、あくまで個人の見解ですが、いろいろな話を総合して私なりに50字以内で説明すると、「JPSAツアーが現場のスタッフの若手への刷新と共に、Sリーグに名を変え、その活動の自由度を増す」、ということなんだと思う。
ジャニーズからスマイルアップへ、ツイッターからエックスへ、まあ、同じようなことなのかなぁ、と思う。これ、誰でもこの手法には騙されがちだけど、名前が変わると何か新しいことが起こるって期待感が増すんですよね。トップの肩書がチェアマンになっただけでなんかすごい感じがする(笑)。
それと同時に、元の名前が引きずっていたしがらみとかネガティブなイメージとか、負の遺産が外れる。例えばJPSAだから見に行かないって人が、Sリーグだから一度は見に行ってみよう、となるかもしれない。ただし、選手も運営も中身は今までと同じ日本のプロサーフィンのツアーなわけだから、そう大きく変わりようが無いわけで、まぁ、なんだろう、JPSAってだけで拒否反応を起こしていた古き鎖国時代をよしとしない人々の抵抗を避けることも、目的のひとつとして考えられるんじゃないのかなと思う。
今のサーフィンのメイン世代である50代60代の青春時代のJPSAといえば、各エリアのうるさい親父たちの封建的な集まり、国粋主義、古い考えのローカリズム、業界内のスポンサー各社とのベタななれ合い……みたいなイメージが付きまとうと思う。でもこれがあるからJPSAはここまで生き延びてきたと言っても過言ではないし、それは悪いことかもしれないけど、結果としてプラスだったと私は分析している。
ただそれは、国内スポンサーの支援あってのたまもので、今のようにサーフブランド大手各社がみんな揃ってサーフイベントに背中を向ける時代になっては、成立しない。日本発のインターナショナルブランドが皆無な業界では、サーフィン文化すべてが輸入品ともいえる。先週の話ではないけど、サーフィンってやっぱオーストラリアとアメリカのものなのだ。そして今は既存の業界大手には頼れない。それでも日本のプロサーフィン、プロツアーの灯を消してはいけない、盛り上げなくてはいけない。だってオリンピックスポーツなんだから……みたいな。いやぁ、厳しいなぁ、と思う。オリンピックってある意味ものすごく重い足かせ(笑)。
オリンピックはベタなコンペシーンだから、業界にオリンピック効果としての利益があったなら、それは必ずコンペシーンに還元されるはずだ。でもそうはならなかったので、苦肉の策のSリーグでなんとかならんか、ってことなんでしょ。
う~ん、どうしたら試合に足を運んでもらえるか、日本人プロのサーフィンを見て、楽しんでもらえるか、というベーシックに立ち返れば、それはエンターテインメントなわけだから、面白くないと、エキサイティングじゃないとダメっていうシンプルな答えに行きつく。それはツアー名とかシステムとかそういう小手先の演出ではないと私は思う。
とても厳しい言い方だけど、日本のプロサーファーみんなに問いたい。
あなたは自分のサーフィンを人が見て、もう一度見てみたいとか、わざわざ足を運んで見に行きたいと思わせることができていると思いますか?
そうなるように頑張ってます、じゃ、ダメなんだよ。「頑張ってる」にポイントはつかない。コンペは結果がすべてだ。
CT選手たちがCT選手になってなお、どれだけの努力をし続けているか、考えてみてほしい。あのレベルでさらにレベルアップしていくことがどれだけすごいことか……。
あのレベルの選手がいれば、ギャラリーは呼べる。ギャラリーが呼べればスポンサーもつきやすい。すべては個々の選手のレベルアップにかかっているのだということを、もう一度選手たちは考えたほうがいい。ふたこと目には賞金が安いとかいうけど、あのレベルのサーフィンにあんな高額賞金の出てる国は他にないよ。