イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が続く中、2024年1月13日(土)からシアター・イメージフォーラム他で、ガザのサーフドキュメンタリー『ガザ・サーフ・クラブ』が日本語字幕付きで全国順次ロードショーされる。
イスラエルとエジプトに挟まれたガザ地区は、約200万人の人々が狭い土地に閉じ込められている。経済封鎖が続くガザでは船舶の自由な出入りはなく、入る物資も出ていく物もほとんどない。若い世代は仕事もなく、未来への展望のないまま日々を送っている。2014年のハマスとイスラエル間の紛争は、イスラエル軍の地上侵攻に発展し、多くの人命が奪われ、多くの建物が破壊された。しかし、このような状況下でも、若い世代は自由を求めて海に繰り出し、サーフィンに興じている。厳しい制裁にもかかわらず、多大な努力の末、約40本のサーフボードがガザに持ち込まれ、ガザ市のサーフ・コミュニティはにわかに盛り上がっているのだ。海で感じられる刹那の幸せや自由を求めて集う若者たち。彼らの視線の先には自由な世界が広がっているが、果たしてその扉は開くのだろうか?
映画『ガザ・サーフ・クラブ』オフィシャルHP
2016年に初公開されたこのドキュメンタリー映画は、タイトルはサーフ・クラブだが、焦点はそのコミュニティに所属する若者たちの「ある一日」に当てられている。経済封鎖が続くガザ地区に暮らすガザ人は外へ出ることができない。イスラエルの監視カメラとフェンスで囲まれている「世界最大の監獄」「天井のない監獄」とも言われる軍事閉鎖地帯へ、人の出入りはもちろんサーフボードのような物資の輸入は今でも予測不可能な状態だ。
1950年代このエリアに初めてサーフボードを持ち込んだと言われているのが、本ニュースでも以前ピックアップしたユダヤ系アメリカ人のドリアン・パスコウィッツだ。
50年近くの時を経てイスラエルを再訪したドリアンはSurfing 4 Peaceの設立に関与。2007年にハマスがガザ地区を占領し、イスラエル政府が人道支援物資以外の持ち込みを禁止している中、サーフボードの不足をニュースで知ったドリアンが中古ボードをかき集め、戦争で荒廃した地域に直接届けたことが話題となった。検問所での緊迫したやりとりは、Surfing 4 Peaceの歴史ページで知ることができる。
また、その後ケリー・スレーターによるサーフスクールやケリーとマクア・ロスマンをヘッドライナーに据えたコンサートを開催する一方で、ロサンゼルス拠点でガザへ送るサーフボードやサーフギアを集めるプロジェクトと、Surfing 4 Peaceアンバサダーでもあるマシュー・オルセンがガザ地区で青少年向けプログラム実施するにあたり立ち上げた「ガザ・サーフ・クラブ」が協力し、粘り強い努力により押収されていたサーフボードをようやくガザ地区に届けることができた。
攻撃を始め、物資や水の不足、高い失業率など厳しい状況の中、海へ向かい波に乗る若者たちが求める自由と平和、開放とは。彼らの1日や言葉を通じてガザをより広く知るきっかけとなるだろう。
映画『ガザ・サーフ・クラブ』は2024年1月13日(土)から全国ロードショー。ぜひチェックして欲しい。
映画「ガザ・サーフ・クラブ」概要
監督・脚本:フィリップ・グナート、ミッキー・ヤミネ
製作総指揮:ミッキー・ヤミネプロデューサー:ベニー・タイゼン、ステファニー・ヤミネ、アンドレアス・シャープ
撮影:ニクラス・リード・ミドルトン
編集:マレーネ・アスマン、ヘルマール・ユングマン
音楽:サリー・ハニー
出演:サバーフ・アブ・ガネム、モハメド・アブー・ジャヤブ、イブラヒーム・アラファト
原語:アラビア語 / 英語 / ハワイ語 字幕:日本語 / 英語
配給:ユナイテッドピープル 字幕:額賀 深雪 字幕監修:岡真理
2016年/ドイツ/87分
https://unitedpeople.jp/gazasurf
(THE SURF NEWS編集部)