パリ2024オリンピック、サーフィン競技の最後の出場枠をかけた大会「2024 ISA WORLD SURFING GAMES」への出場選手を決める、日本代表選考合宿が12月24日(日)に静波サーフスタジアムで開催。
男女各3名の代表選考のうち、残る男子1名、女子2名が決定し、2024WSGの日本代表選手が出揃った。
コナー・オレアリー、都筑有夢路、前田マヒナが残る代表枠を勝ち取る
「2024 ISA WORLD SURFING GAMES」は、パリ五輪の出場権をかけた最後の選考大会であり、かつパリ五輪出場選手の参加が必須とされている大会。日本代表選手には、すでにパリ五輪内定の五十嵐カノア、稲葉玲王、松田詩野が確定しており、残るメンバーは、静波サーフスタジアムで行われていた日本代表選考合宿で争われていた。
結果、残る男子1枠はコナー・オレアリー、女子2枠は都筑有夢路、前田マヒナに決定。2024年2月のWSGプエルトリコで戦う6名の日本代表選手が確定した。
これにより、コナー・オレアリーのパリ五輪出場が事実上決定したこととなる。
「2024 ISA WORLD SURFING GAMES」日本代表選手
<男子>
五十嵐カノア
稲葉玲王
コナー・オレアリー
<女子>
松田詩野
都筑有夢路
前田マヒナ
選考合宿では「ポイント減算方式」で代表選手を選考
2日間の選考合宿のうち初日は公開練習、2日目にクローズドで行われた選考会は、試合形式の開催ではなく、ひとりひとりのライディングを見て審査を行った。
その選考方法は、チューブライディング、マニューバー、エアーなどそれぞれにマキシマムポイントを定めて、各選手のライディングをジャッジ。
さらに当日のライディングのほか、CT、CS、QSランキングなども含めた全ての要素を点数化し、合計点の高い順に代表選手を決定した。
新たに代表入りした選手とその理由、選手本人コメントは以下
コナー・オレアリー
「さすが、CTトップレベルのパワーとテクニックは本物でした」
日本代表入りして率直な気持ちは
とても嬉しいです。ISAプエルトリコ大会に向けて、そしてその後のオリンピックに向けて頑張りたいです。
はじめて日本代表、チームについて
ほか選手も、子供のころから友達なので、とても楽しみです。
チームは良い感じですね。みんな本当に良いサーファーなので、僕のレベルでさらにプッシュできたら本当に嬉しいです。オーストラリアはチームサポートが本当に強いので、そのサポートをしたいと思います。
少しだけコーチングもして(今回一緒に代表入りした)あむちゃんと、マヒナと、オリンピック選手になれるように頑張ります。
プエルトリコの経験について
行くのは初めてで、非常に楽しみです。プエルトリコは非常に良い波があって、僕のように、パワフルな波に適応できる選手にとっては有利になる、今日来ている女子の選手も、そういう特徴のある選手たちなので、チームで良い結果を残せるよう頑張りたいです。
都筑有夢路
「オリンピアンとしてのスキル、実力ともに改めて確認ができました」
日本代表入りして率直な気持ちは
本当に頑張りたいなという気持ちと、金メダルを取るしかないという気持ちでいて。
昨日の4人での選考会では、(松岡)亜音、(都築)虹帆も一緒で、誰が選ばれてもおかしくないような選手が集まって。私が行って良かったなと思えるような選手でいたいし、2人の悔しさ、想いもしっかり自分の心に刻んで、金メダルを取りたいという気持ちです。
女子7位以内、プエルトリコ大会までの準備
ひとつずつ目の前のヒートをこなして、自分のやるべきことをやっていくことが、優勝への、7位以内に入るというよりは、優勝を目指して、自分のやるべきことをしっかりやっていきたいです。
前田マヒナ
「バックボーンがハワイ・ノースショアということで、これからのプエルトリコ、チョープーの波を考えますと、彼女のビッグウェーブに対してのラインが、充実したものと考えて選出しました」
日本代表入りして率直な気持ちは
すごく嬉しいです。今年WSLの試合はあまり出ていなくて、オリンピックのために、凄く集中したいなという気持ちでした。1つのことに集中できることが、一番大切だと思っていて。まだ時間もあるし、自分のサーフィンも大きく成長できると思っています。
選考合宿に向けてやってきたこと
私はハワイに住んでいるから、大きい波に集中することができたと思います。この合宿の前にはパイプマスターズに出ることができて。普段試合を回っていると、大きい波に集中することもできないけど、パイプラインはチョープーは似ていますし、このパイプを目指せば、チョープーでも同じ良い成績を残すこともできると思っています。
東京五輪を体験して
東京五輪では良い成績を残せなくて、凄く悲しかったけど、またチャンスをもらえたことで、頑張りたい想いです。チョープーと地元の波は似ているし、このチャンスが、人生でもう1回あることが普通じゃないことだから、もっと気合が入るし、凄く楽しみにしています。
大野修聖コーチ、田中樹コーチの質疑応答
続けて会見の後半は、日本代表のコーチを務める大野修聖コーチ、田中樹コーチへの質疑応答も行われた。
2人の役割について
大野:タヒチでいうと、フィールドコーチとして一緒に海へ入って、うねりの向き、波が割れる場所、リーフ位置どこなのか、というようなことをやってきました。
田中:僕は選手が乗ったライディングを見ながら、チューブの中の姿勢だったり入り方など、細かく自分のニュアンスを伝えながらサポートをしていました。
オリンピック(タヒチ)ではどのようなライディングが評価されるのか
大野:掘れ上がるチューブの中に、どれだけ際どいテイクオフで、どれだけ深く、長く入っていられるか。見ている方としてはシンプルで分かりやすいと思いますが、チューブ後の技はそれほどないので、そのスキルを持った選手が上に行くと思っています。
田中:タヒチはスペシャルな場所だから、普通のビーチブレイクとは異なる戦術などもありますが、五輪にはエキスパートの選手しか出ないので、1本1本が非常に大事になる。その1本でどれだけ自分のスキルを出せるか、どういう波に乗ってスコアを出すことができるのか、選手側の調整も凄く大事だなと思います。
プエルトリコ大会への準備とサポート
大野:あと2ヶ月しかありませんが、これからノースショアのシーズンでもあります。選手はこれからパイプラインに向かってトレーニングしていくのだと思うし、2月まできっちりやってくれるのではと思います。メンタル面とかはそれぞれのコーチとかいると思うし、自分たちは、現場へいったときに、彼らがベストのパフォーマンスを出せるようなサポートを整えるのみです。
田中:僕も一緒です。1月~2月はハワイのシーズンで練習をしてもらって、CT選手は1月から大会も始まるので、それに向けて調整していくだろうし、他の選手もプエルトリコに向けてしっかりやってくれると思っています。
日本代表の補欠枠は、脇田泰地と松岡亜音
なお今回の選考合宿では、WSG日本代表選手のほか男女それぞれに補欠枠も定めており、男子は脇田泰地、女子は松岡亜音に決定。
今回は惜しくも代表入りを逃したが、病気や怪我など代表選手に万が一の自体が発生した場合は、代表権が補欠選手へ繰り下がりとなる。
東京五輪では、ジョーディ・スミスやフレデリコ・モライスらが出場資格を得ながらもやむなく補欠選手へ交代となった経緯もあり、怪我と隣り合わせのサーフィン競技では、この補欠枠の選考も重要だ。
※日本国内の補欠選手へ繰り下がりができるのは、3人目の追加枠(国枠)のみ。五十嵐、稲葉、松田が持つ個人枠の補欠は他国の選手となる。
パリ五輪最後の選考大会「2024WSG」は来年2月開催
現時点で日本が獲得済みのパリ五輪出場枠は以下。
男子は既に最大数まで得ているが、女子は2024WSGの結果によって残る2枠を獲得できる。
パリ2024オリンピック 出場権獲得状況
<男子(最大で3名)>
① 五十嵐カノア(2023年WSLのCTランキング枠より条件付き獲得済み)
② 稲葉玲王(2023年WSGアジア2位/1位だった五十嵐カノアがCT枠となったため条件付き獲得済み)
③ 男子1枠(2022年WSG国別1位により獲得済み、日本独自の選考で決定できる。本枠は事実上コナー・オレアリーに決定となるが、怪我や病気等でパリ五輪欠場となった場合は脇田泰地となる)
<女子(最大で3名)>
① 松田詩野(2023WSGアジア1位により条件付き獲得済み)
② 未定(2024WSGで7位以内に入った選手が獲得できる)
③ 未定(2024WSGで日本が国別1位の場合、日本の女子追加枠として獲得できる)
パリ2024オリンピック、サーフィン競技の最後の出場枠をかけた大会「2024 ISA WORLD SURFING GAMES」は、2024年2月23日~3月3日にプエルトリコで開催される。
(THE SURF NEWS編集部)
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