1月31日に発売された「ザ・サーファーズ・ジャーナル」日本版13.5号の読みどころを同誌のコントリビューティング・エディターも務める李リョウが紹介。
アウターウォーターズ
(ライノ号の航海、深い学び、忍耐と魂の置き場所、ヴェラ号の冒険の四編)
今号はとっておきの『船旅特集』です。ご自宅のフカフカのカウチに腰を下ろし、ブランデーグラスでも傾けながらごゆっくりとお楽しみください。なんて冗談はさておき、海外のサーファーにはセーリング好きが多い。
いや、好きなんてレベルではなく「病気」と言った方が近いかな。その病みかたはハンパない、ハンドメイドでヨットを造ってしまうのは当たり前の世界なのだ。あのフィルエドワーズもそうだし、ミッキームニョスなんかはその腕を買われてアメリカズカップのレース艇の建造にも参加している。ちなみにホビーキャットの生みの親が、ホビーサーフボードの創始者ホビーアルターであることは言うまでもない。
さて船旅といってもメンタワイボートのような大名トリップではない。帆船を自分で操舵して目的地を目指すという究極のスタイル。よくよく考えてみればこれは古代ハワイアンが、アウトリガーカヌーでスターナビゲーションしながらボイジャーしたスタイルと同じだと断言していい。つまりここまでやって『真のリアルサーファー』といえるのかもしれないね。
そのような「サーファーの定義」を考えながら、まずご注意いただきたいのが、この特集の1ページ目を飾る写真。ただならぬ気迫を感じるのは、わたしだけではないと思うがいかかがでしょう。これは1986年にサリマノク号という古代船を復元してフィリピンからマダカスカルまで実験航海をしたときの一枚。近代的なナビゲーションシステムは使用しないというクレイジーな試みで案の定、航海中に1人が死亡するという悲劇も起こっている。撮影はドンキングで彼もスタッフの1人として乗船し、まさに「死の恐怖」を味わった。「帆船の旅って本当にヤバいんだから、心して読めよ」とこの一枚が言っている気がします。
サリマノク号に興味のある方はYoutubeで映像を閲覧できます。
さて、この特集は4人のサーファー(チーム)の4つの船による4つの旅の物語。そのどれもが一冊の冒険記になるほどの内容の濃さで、文句なしの金星五つ。さて、どれから読み始めたら良いかと尋ねられたら、強いて言えば、まずは最新のカタマランによるジョンジョンの記事からスタートかな〜。なんとハワイとフィジーを遠洋航海する話。それからトーレンマーチンたちのインド洋を巡る航海も面白い。これは「俺が夢見た世界じゃん!」って感じですね。これはただいま映像公開中です。とにもかくにも、他の話も含めてじっくり腰を据えて読んでいただきたい内容であることは間違いなし。サーフィンってサーフィンそのものよりも、ライフスタイルかな〜って思いますね。
トーレンマーチンの旅は下記URLで公開中。
インタビュー:レイン・ビーチェリー
「あの人は今?」的な内容ですね。レイン・ビーチェリーの現役時代って、世界チャンピオンでありながらヒールのようなレッテルを貼られていたような気がする。それは、彼女の生い立ちが醸し出していたのかもしれないってこの記事を読んで感じました。さて下世話な余談ですが、彼女がロックスターと結婚していたとはビックリです。その旦那は、INKSのカークペンギリーっていう人らしい。なぜ驚いたかというと、彼女はハワイのビッグウェイバーと仲が良かったからてっきり…と思ってました。とにかく結婚生活は順調のようです。
ダートバイク狂騒曲
ジェリーロペスの回想録です。ジェリーさんと言ってもパイプでもなければGランドでもない。メキシコバハの砂漠をバイクで友人たちと走った話。このまま映画になるようなハードボイルド調のストーリー。極限状態に置かれた人間の本性が、明るみになるとはこう言うことかと思ったりする。それを例えれば、このチームのリーダー、グラビークラーク。彼はクラークフォームの創立者で、世間では歯に衣を着せぬ人物として忌み嫌う人もいると耳にします。しかし砂漠の中では、彼は沈着冷静な判断を発揮しチームを目的地へ安全に導きます。人は見かけとは大違い〜噂を信じちゃあいけないねえ〜笑。
All photos and illustrations from TSJJ 13.5
(李リョウ)
THE SURFER’S JOURNAL(ザ・サーファーズ・ジャーナル)日本版13.5号
●世界でも選りすぐりのフォトグラファーによって捉えられた、サーフィンの美しく迫力に満ちた瞬間。
●新旧様々なライターたちに綴られる、本質的でバラエティに富んだストーリー。
最も信頼されるサーフィン誌として世界中のサーファーたちから愛され、書店では買うことができないライフスタイル・マガジン。
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